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プロフィール


残間里江子
(ざんま・りえこ)
プロデューサー
1950年、仙台市生まれ。アナウンサー、雑誌記者、編集者を経て、1980年に企画制作会社を設立。雑誌『Free』編集長、出版、映像、文化イベントなどを多数企画・開催。 2005年「愛・地球博」誘致総合プロデューサー、2007年には「ユニバーサル技能五輪国際大会」総合プロデューサーを務め、29万人を超える来場者を記録する。2009年には既存の「シニア」のイメージを払拭した新しい「日本の大人像」の創造を目指し、会員制ネットワーク「クラブ・ウィルビー」を設立。国土交通省「社会資本整備審議会」、財務省「財政制度等審議会」、文部科学省「生涯学習審議会委員」、内閣府「男女共同参画推進連携会議」など行政諸機関の委員を数多く歴任。 近著は『もう一度 花咲かせよう』 『閉じる幸せ』 『人と会うと明日が変わる』


【10/4】今年も「ハロルドとモード」を観て涙が溢れました。

2024/10/04 18:45

第5902回


今日は、
2020年から毎年上演されている、
黒柳徹子さんの、
ライフワーク作品と言われている、
「ハロルドとモード」を、
EXシアターに観に行きました。

この作品は、
1971年にアメリカで公開された、
映画「ハロルドとモード/少年は虹を渡る」をもとに、
舞台演出家・劇作家であるG2さんが、
上演台本・演出を手がけている舞台作品です。

狂言自殺をしては、
周囲が驚く反応を見て楽しんでいる、
生きる意味を見失った19歳のハロルドと、
規則に縛られることを嫌い、
ひたすら自由に生きる79歳の女性モード。
60歳の年齢差がある2人を結びつけたのは、
縁もゆかりもない他人の葬式に参列すること。
ハロルドは次第に、
生きることを楽しみながら、
天衣無縫に行動するモードに惹かれていき、
モードと結婚することを決意するのですが、
モードは80歳の誕生日に、
自ら死を選ぶことを決めていたのです。

黒柳さん演ずるモードは、
黒柳さん自身ではないかと思わせるまでに、
見事に昇華され、
とりわけ黒柳さんが発する言葉は、
台本の存在を忘れさせるほどに、
リアリティーがあって、
ハッとさせられます。


【黒柳さんは益々お元気でとても素敵でした】

ハロルド役は、
これまで生田斗真、藤井流星、
佐藤勝利、向井康二と、
絶大な人気をほこる、
アイドルたちが演じてきて、
今回はtimeleszの松島聡さんが、
演じているのですが、
松島さんはハロルドが泣くような、
場面ではないところでも、
ポケットから白いハンカチを出しては、
涙を拭っていました。
(カーテンコールで、
「黒柳さんの台詞が胸に突き刺さって、
僕が泣くシーンではないのに、
ついつい泣いてしまいました」と、
語っていました)

彼の経歴を見ると、
幼いころに母親を亡くしたことや、
仕事を始めてからも、
「突発性パニック障害」に罹患して、
療養のため約2年間活動を休止するなど、
自分ではどうにもならないことを、
体験して来たからなのか、
どこか儚げで、
これまでのアイドルたちとは、
少し感じが違っていました。

途中、
2人で夕陽を見ている時に、
「ハロルドはモードの腕に番号が記された、
タトゥーがあるのを見た」という、
一節があるのですが、
この舞台では、
そこをそれ以上は深入りせずに、
サッと通り過ぎるのですが、
何となく気になって、
調べてみると、
原作や映画によれば、
これはナチスによる入れ墨だとされていて、
モードが若き日をナチスの強制収容所で、
過ごしたことを物語っているのです。
つまり、モードもまた、
抑圧を受けた存在であり、
彼女の自由な言動の根底には、
哀しみと反逆の思いがあるのではないかと、
推察されます。

そんなことを思って、
この舞台を観ると、
黒柳さんは当然その辺のことを、
十分理解して演じていることと思いますから、
表面的には軽やかな台詞に聞こえても、
陰影に富んだ言葉として、
胸に迫ってくるのだと思います。

年々「80歳」に近づいている私も、
「自由闊達な老女と、
年の離れた青年の恋」というよりも、
波乱の生涯の果てに青年と出会い、
一瞬の輝きを得てもそこに埋没せず、
自分の人生の最期は、
自分で選びとるのだという、
敢然たる姿を見たような気がするのです。

……年を経るごとに、
「お前はそこまでしっかり生き切っているのか」と、
問われているような気がして、
深く感じ入り、
年々涙の量が多くなっています。


(今日のけむり)


【「りえこさんは何かを観てくると、
しばらくは元気です。
今日はとりわけ、
尊敬する黒柳さんのお芝居でしたから、
夜中まで興奮気味でした】








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