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プロフィール


残間里江子
(ざんま・りえこ)
プロデューサー
1950年仙台市生まれ。アナウンサー、雑誌記者、編集者を経て、1980年 株式会社キャンディッド・コミュニケーションズを設立。
雑誌「Free」(平凡社刊)編集長、山口百恵著「蒼い時」の出版プロデュース、 2001年には、栗原はるみさんから小泉総理(当時)まで、各界で活躍する119人のパネリストによる10日間連続大型トークセッション 「大人から幸せになろう」をはじめとする自主企画事業など、映像、文化イベント等を多数企画・開催する。
2007年には「ユニバーサル技能五輪国際大会」総合プロデューサーを務め、29万人を超える来場者を記録した。
著書に『もう一度 花咲かせよう』(中公新書ラクレ)『閉じる幸せ』(岩波新書)など。



<近著>
『もう一度 花咲かせよう』(中公新書ラクレ)

【10/13】金滿里さんのソロ公演「寿ぎの宇宙」を観てきました。

2017/10/13 17:00

第3354回
29時34分

去る8月30日の、
当ブログに、
書かせていただいた、
金滿里さんのソロパフォーマンス、
「寿ぎの宇宙」を観に、
荒川区東日暮里の、
d-倉庫に行ってきました。
ヒロモリ、ナカヤマにも、
「身体を晒す」という金さんの、
哲学を体現する姿を見せたくて、
連れて行きました。
青山からd-倉庫まで、
体調を考えて、
タクシーで行ったのですが、
雨だったからか、
金曜日だったからか、
1時間15分もかかりました。

外堀通りから、
後楽園の裏を通り、
西片、本郷弥生、言問通りに入って、
根津、千駄木を通って、
日暮里駅の跨線橋を渡って、
日暮里駅と三河島駅の中間ぐらいの、
商店街から住宅街に入った一画に、
d-倉庫はあります。

「倉庫」と、
ネーミングされていますが、
演劇やダンス・パフォーマンス、
映画撮影などに使われている、
味のある小劇場です。
キャパシティは100名程度と、
聞いていましたが、
金さんの東京初公演には、
ざっと数えたところ、
150名は入っていて、
満席でした。
雨で、
時間通り会場に、
辿りつけない人もいらしたので、
開演時間は10分遅れ、
19時10分でした。

19時10分になると、
場内は真っ暗な闇となり、
目を凝らしていると、
階段状になった劇場の下方に、
設えられた舞台に、
うっすらと照明が点り、
金滿里さんがレオタード姿で、
動かない足を投げ出して、
前方を凝視していました。
鋭い眼光。
天が地上に送り込んだ、
女豹のような野生の輝き。
ニッポン放送のスタジオで、
お会いした金さんとは別人です。

パフォーマンスは、
5場に分かれていましたが、
金さんは、
首から下がほとんど動かない身体を、
臀部と手指を駆使して、
舞台上を掻き、這い、
稼働可能な部位を回転させながら、
移動します。

隣席のナカヤマの緊張感が伝わってきます。
おそらく生まれて初めて見る、
光景なのだと思います。

金さんの動きのリズムに、
観客が慣れた頃、
動く手指の2、3本を巧みに操りながら、
縄を手繰り、
円を描くように巡ります。

2場の「魂の集い」は、
劇団創立以来34年の間に、
亡くなったパフォーマー7人の、
鎮魂のための宴で、
一人ひとりをゆっくりと箱から取り出して、
愛おしそうに頬ずりをしたり、
胸元に引き寄せたりしながら、
語りかけて酒を酌む金さんの姿に、
涙を流している観客がいました。
私も亡き母を思い、
今なお生きている自分自身を、
見つめていました。

「寿ぎの宇宙」という作品は、
3.11の東日本大震災を受けて、
生者が死者に語りかけ、
生者も死者と共にあることを、
表現しようと、
「駆り立てられるような思いで創った」と、
金さんはおっしゃいます。
その後、昨年7月に起きた
相模原市の「津久井やまゆり園」で、
19人もの障碍者が、
殺害された事件を体験して、
尚いっそう、
演じる意味を感じたようです。

「私も約10年間、
施設で暮らしましたから、
解るのですが、
私が『津久井やまゆり園』で、
殺されていてもおかしくなかったと、
思えるんですよ。
まだ自分の中で、
整理がついていないのですが、
この作品を演じながら、
考え続けていきたいと思っています。
そんな中、最近感じるのですが、
生者と死者の境目を危うくさせる、
人間の価値の優生思想の台頭は、
ますます強くなっているような気がします」
作家・田口ランディさんとの、
アフタート―クの席で、
金さんがおっしゃった言葉です。

質問コーナーでは、
思わぬ出来事がありました。
金さんが施設にいた時代の、
職員だった方が、
会場にいらしていたのです。
前方に座っていらした白髪の女性が、
最初は名乗ることもせず、
美しい言葉で素晴らしい感想を、
語っていたのですが、
そのうちふと、
「私は滿里ちゃんがいた施設におりました」と、
漏らしてしまわれたのです。

金さんに「名前を教えてください」と請われて、
控えめにお名前を名乗ると、
金さんはとても驚いて、
「私は17歳で施設を出て、
家に帰ったのですが、
今でもあの施設では3人だけ、
会いたいと思う方がいるのです。
そのお一人があなたです。
私に本を買ってくださって、
『これを読みなさい』と、
言ってくださったり、
私が『弥勒菩薩を見に行きたい』と、
言ったら、
連れて行ってくださいましたよね。
あゝ、あの時の方!
今日ここに来て本当によかった!
是非住所を書いて受付に預けて、
帰ってくださいね。
周りのみなさん、
そのまま帰りそうだったら、
取り囲んで、
逃がさないでくださいね」と、
サプライスに感謝していました。

終演後、
金さんにお会いしたら、
手を握り締めながら喜んでくださって、
私が、
「今日のお客さまは介助の方を除くと、
大半の方はお一人で来ていましたよ。
一人でも行きたくなる舞台って、
あるようでないのですよ」と言うと、
「東京は初めてだから、
どうなるかと不安でしたけど、
こんなに沢山の方が来てくださって……、
感謝、感謝です。
やはり東京は、
大阪とは違った感じでした。
……というか、
東京で演じたということで、
私自身が変わったのかもしれません」と、
しみじみとおっしゃっていました。

全編を「鎮魂」と「祈り」が、
貫いている舞台だと感じましたが、
金さんも、
「今日は身を大地に挺して捧げる、
五体投地をしながら初めて泣きました。
演じながら泣いたのは初めてです」と、
おっしゃっていましたが、
これまで抱いてきた「憤怒」が、
浄化されて、
宙に溶けて行く瞬間を、
見たような気がしました。

家に帰ったらヒロモリから、
感想メールが届いていました。

「終わった後、何とも言えない、
初めての感覚が残りました。
最初のシーンから、
『うわっ、何が始まるのだろう!』と思って、
見入ってしまい、
続く『60のゆりかご』がリピートするシーンでは、
金さんのパフォーマンスや空間、
何もかもに圧倒されました。
この体験を多くの人に、
してもらいたいと思う舞台でした。
アフタートークでの金さんが、
舞台の上とは全く違った、
やわらかな関西弁で語る、
普段の金さんも素敵でした」

金滿里さんの公演は、
明日(14日)と明後日(15日)もあります。
詳しくは劇団「態変」の、
ホームページをご覧ください。


残間里江子活動情報

YouTube「東海林のり子&岡野あつこ 新大人の時間」
10月のゲストとして出演! 毎週水曜日昼頃更新。
第一回はルーツである宮城県や静岡県、アナウンサー時代を語ります。

10/12(土) よる11時~12時00分
BS-TBS「Together~だれにも言えないこと~ 」

あなたの悩みにTogetherならではの相談員が答えます! 残間は社会学者の古市憲寿さんと司会を務めています。

10/22(火・祝) 12時~東京
日経ウェルエイジングフォーラム
「人生100年時代、健康で豊かなシニア時代を拓く」

プロジェクトのキックオフイベント。弘兼憲史さんと対談します。参加無料、要事前申込。

11/12(火) 13時~東京
指定都市市長会シンポジウム「文化芸術立国の実現に向けた指定都市の役割 ~文化芸術がもたらす都市の豊かさ~」

基調講演「文化芸術が持つ力」。参加無料、要事前申込。

月刊「清流」
残間里江子対談「人生、まだまだ進行形!」

10/1発売11月号 中尾ミエさん
11/1発売12月号 芳村真理さん

毎週土曜日 あさ7時40分~8時
ニッポン放送「おしゃべりラボ~しあわせSocial Design~」

私たちの暮らしをちょっと明るくする仕組みをゲストの方をお迎えしながら楽しくご紹介していきます。

毎週日曜日 あさ9時30分~9時55分
文化放送「大垣尚司・残間里江子のおとなファンクラブ」

楽しいセカンドライフを送るためのご提案などがたっぷり!金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司と、団塊世代プロデューサー残間里江子が 大人の目線でお届けします。

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