ホーム>Member News>サポーティングメンバー>大垣尚司さん(青山学院大学教授)
大垣尚司さん(青山学院大学教授)
2023.04.26
新著『家の買い方、持ち方が変わる! 残価設定型住宅ローン』


〔内容紹介〕 出版社のウェブサイトより
役職定年の普及によって日本人の給与は55歳頃から減少する時代になった。70歳定年になっても60歳以降の収入はさらに激減する。しかし、その頃から子供が大学に行って教育費がピークとなる一方、親の介護が始まる。将来が見通せない時代にあって、30代で期間35年の住宅ローンを借りて、最後まで返しきれるのかという老後返済不安がこれまでになく高まっている。
人生100年時代、定年後に引退して悠々自適の生活を送れる人は稀。働けるうちは働き続ける時代にあっては、壮年期を過ぎたら、転職・起業・再教育・住みかえといったライフチェンジを考えることがむしろあたり前となる。このとき重荷になるのが家とローン。
60歳以上の日本人にとって「自己居住住宅」は全財産の5割超を占める最大の「資産」。しかし、人生100年時代にあっては、親が子供に家を相続させるころには子供は60代。もう必要のない家は空家予備軍となるのみ。また、2045年頃には3割近く人口が減るとされる時代に都心等ごく一部の場所を除けば土地は値下がりこそすれ、値上がる可能性は低い。こうしてみると、老後に住み続けるしかない家は「相続財産」や「資産」ではない。
このように、庶民が漫然と「期間35年の住宅ローンを借りて家を買う」ことには、大きなリスクが生じている。そして、この背景には欧米にはない上記のような「特殊日本的」要因が非常に大きい。
筆者は、こうしたわが国固有の「住宅ローンの問題」を解決するために、15 年前に大学発ベンチャーとして、マイホームの借上げ行う非営利機関(JTI)を公的支援を受けて作り、政府の公費補助事業を通じて資金を確保し、新しい住宅金融の技術開発とそのためのリスク管理に必要なデータの蓄積を行ってきた。こうしたできあがったのが JTI の公的借上げ制度により実現できる価値をもとにした住宅の将来価値保証(残価保証)と、これを活用した残価設定型住宅ローンである。
本書は、注目されているが手ごろなガイドがまだない残価保証や残価設定型住宅ローンの仕組みを一般の読者に分かりやすく説明するとともに、それが、住宅産業や住宅金融にどのような革命的意味を有するか、また、今後この仕組みを認定長期優良住宅一般に広げるために何が必要かについて論じる。
〔目次〕
第1章 住宅ローンは借金ではない?
1. 消費者ローンと住宅ローンの違い
2. 住宅ローンを借りて家を買うことは、庶民にとって最高の「投資」
3. オイシイ話にはリスクが伴う
4. 将来の返済不安を解消できないか?
第2章 残価設定型住宅ローンって何ですか?
1. 自動車の残価ローン
2. 残価設定型住宅ローンへの期待と課題
3. 新しい家の買い方が可能に
4. 実例
5. 自動車残クレ型との比較
第3章 なぜ、残価設定型住宅ローンなのですか?
1. 視点①――ローンからの自由
2. 視点②――家という束縛からの自由(人生100年時代とライフシフトの時代)
3. 視点③――家が負の資産とならないための工夫
4. 視点④――相続財産という幻想からの自由
5. 視点⑤――住宅の世代循環
6. 視点⑥――期間所有の実現
7. 視点⑦――老後居住保証
第4章 残価設定型住宅ローンについてより詳しく教えてください
1. どんな住宅でも利用可能ですか?
2. どんな住宅ローンにもオプションはつけられますか?
3. 残価設定月はどうやって決まるのですか?
4. 2つのオプションはどうやって契約するのですか?
5. 残価設定月以降に住み替える場合、買取オプションを行使する必要がありますか?
6. 買取オプションを行使した代金はどのように支払われるのですか?
7. 残価より高く売れるときはどうなるのですか?
8. 返済額軽減後はいつ完済するのですか?
9. 借主が死んだら残された人はどうなるのですか?
10. 将来のローン負担を軽減するには、残価設定型住宅ローン以外にどんな方法がありますか?
第5章 何年も先の住宅の価格を保証できるのはなぜですか?
1. 最先端の住宅ローン技術?
2. 出発点――収益還元価値への注目
3. 実現できる収益還元価値という発想
4. 非営利法人による残価保障の提供
5. かせるストック証明書(定額型)と郵便番号別事前査定
6. 複線的なリスク管理の枠組み
7. ネットワーク型の業務システム
第6章 残価設定型住宅ローンの利用例
1. 地方都市の場合
2. 都内1億円超物件の場合
3. 超長期ローンと2つの残価オプションの組み合わせ
4. 50歳で家を建て替え
5. その他のケース
6. すでに借りている住宅ローンに2つのオプションをつけることはできますか?
第7章 住宅ビジネスや住宅金融のあり方はどう変わるでしょう?
1. 銀行にも顧客にも問題が多い現在の住宅ローン
2. 残価設定型住宅ローンは住宅金融のあり方を変える
3. 残価設定型住宅ローンで住宅ビジネスが変わる
家の買い方、持ち方が変わる!
残価設定型住宅ローン
大垣尚司/日経BP 日本経済新聞出版/2,750円(税込)