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生成AIとどうつきあうか。 Part 3

坂村健さんインタビュー

Part 3 生成AIは面白い!

インターネット以来のインパクト

残間
さて、世間では毎日「生成AI」の話題が尽きないような有様にも見えますが、坂村さんはどう見ていますか。

坂村
生成AIはたいへん重要。インターネットが出た時以上のインパクトがあると思います。これからビジネスだけでなく、いろんなものを変えていきます。僕はこの3月まで東洋大学の情報連携学部の学部長をしてましたが、AIにあわせてカリキュラムを全部変えましたもの。もうインターネットが仕事に欠かせないのと同様に、生成AIが欠かせない時代です。

残間
人間の仕事がなくなるんじゃないかという不安もあるようですが。弁護士は仕事がなくなるとか、なくなる職業のリストが出たりしました。

坂村
アメリカのハリウッドでも反対はありますね。日本はまだ生成AIに対する反応が鈍いので、その辺は穏やかなんですが。
例えばアニメの下書きをしたり絵を描いている人の仕事は減っていくでしょう。映画のエキストラもAIがCGを使って合成しちゃう。影響が出てくる仕事が出てくるのは間違いないです。ただそれは避けられないことで、自動車が普及すればカゴを担ぐ人の仕事はなくなりますよね。うまくソフトランディングすることは必要ですが。

残間
シニアはAIとどうつきあっていきましょうか?

坂村
まずシニアが気をつけなきゃいないのは、若い世代が新しいことをやろうとする時に邪魔をしないこと。これまでの日本のように、足を引っ張ったりしない。毛嫌いせず、暖かく見守ってください。
残間
シニアも積極的に取り入れた方がいい?

坂村
それは人それぞれです。昔からのやり方で変化を排除して穏やかに死ねる方がいいという人もいるでしょう。ただし職場などでAIが必要とされている環境なのに、一人で「俺はやらん!」というのは通用しないですよね。新し物好きは僕らの世代にもいます。楽しいなら、それが必要ならやればいいんです。

生成AIにちょっとこれからの人生をご相談!?

坂村
でもね、一度はみんな経験してみるといいですよ。ちょっとやってみましょうか。
(スマートフォンを取り出し、話しかけ始める)
「あの、人生が晩年に近づいてきて何か新しいことをやった方がいいと思うんですけど、何をやっていいかもよくわからない。どうしたらいいんでしょうか?」
あ、AIが考えてるみたいですね。

AI
新しいことに挑戦するのは素晴らしいですね。でも、何を始めるか迷うのは普通のことです。まず、自分が何に興味があるかを考えてみるのはどうでしょうか。以下の方法で考えを整理してみてください。
1.趣味や興味を再評価する。
過去に楽しんだ活動や長い間興味を持っていたけれど挑戦できなかったことをリストアップしてみてください。絵を描く、楽器を弾く、ガーデニング料理など何でも構いません。
2.新しいスキルを学ぶ
オンラインコースやワークショップに参加して新しいスキルや知識を習得するのも良い方法です。語学、プログラミング、手工芸など、様々な分野があります。
3.ボランティア活動
地域のボランティア活動に参加することで、新しい人々と出会い、社会に貢献する充実感を得ることができます。

(中略。以下、4.旅行 5.フィットネスやスポーツと続く)

一歩を踏み出すのが難しい場合は、小さな目標を立ててみると良いでしょう。例えば、毎週必ずひとつ新しい活動を試す。月に一度新しい場所を訪れるなど。もっとも大切なのは自分が楽しめることを見つけることです。何かしら興味を持って始めてみると、この先に新しい発見が待っているかもしれませんよ。

坂村
「どうもありがとう。もうちょっとよく考えてから深掘りします」

AI
それはとてもいい考えだと思います。じっくりと自分の興味や目標を見つめ直す時間を持つことは大切です。どんな小さな一歩でも新しい冒険の始まりになるかもしれません。また何か質問や相談があれば、いつでも気軽にお話しくださいね。

残間
とても丁寧ですね。たっぷりと答えてくれるんですね。

坂村
途中でさえぎってもちゃんと会話をしてくれるんですよ。もう少し続けてみましょうか。
「でも、自分が好きなことが何かまだわかってないんです」

AI
好きなことを見つけるには時間がかかることもあります。いくつかの方法で自分の好きなことを探す手助けができるかもしれません。
1.過去を振り返る
子供の頃や若い頃に楽しんだことを思い出してください。その先にヒントがあるかもしれません。
2.新しいことに挑戦する
興味があるかもしれない分野や活動に一度挑戦してみると意外な発見があるかもしれません。例えば料理教室やアートクラス、ハイキンググループなど。
(後略/以下、3.(自分への)質問リストをつくる、4.他人に聞いてみる、5.気軽に試してみると続く)

残間
すごいですね。声も選べるんですか? 女性とか男性とか。

坂村
選べます。

残間
お高いサービスなんでしょうか?

坂村
無料のものもあります。これはGPT-4oという最新のものを最高の条件で使えるようにしてますが、月に3千円くらいですね。

残間
寂しい人や友達が少ない人はいいかもしれません。私もやってみたい!

坂村
実際に目の当たりにすると印象が変わるでしょ? いくら記事でいろいろ書いてあっても、実際に体験しないと気づけないことがあります。
それでAIが言ったことに対して「自分はこう思う」というとちゃんと反応してきます。現実には自分のことをちゃんと考えてくれる人って少ないものですが、AIはどちらかというと寄り添ってくれるんですよ。だから気分が良くなる(笑)。「私もそう思います」なんて言われると、いい気分になるじゃないですか。

残間
犯罪が減りそう。みんな欲求不満なんですもの。

坂村
今は検索エンジンにもつながっているので、「今どこにいるんですか?」と聞かれて「五反田」とか答えると、「近くのこの店、行ったことある?」とか聞いてきます。もう誰かと会話してるみたいなんです。

残間
それもバカじゃない人と会話してる感じ。

坂村
いや全然バカじゃないです。教養ありすぎです。知らないことに出くわして、「すみません、これ知らないんですけど」って尋ねると、「じゃあ教えましょう」と言って嫌になるくらい教えてくれます。

生成AIとは今、一番易しいコンピュータでもある

残間
聞いてて思ったんですけど、まともですよね。予想以上にちゃんとしている。
坂村
確かにAIの知識の基盤になっているネットの世界には、悪い考えや変なもの、間違ったものも存在します。かつてのAIは会話を続けるために出鱈目や邪悪なことを言ってた時期もあったんですが、それがすごく減ってきました。社会問題になってしまうので、大手の製品はそれが起こらないように入念に教育してます。この辺にどんどん手を打ってます。

例えばAIに対して自分は建築現場の主任ですと情報を与えます。
「道路に大きな石があって、会社からは一刻も早く撤去しろと言われてます。一番早い方法でやれということで、会社から爆破しろと言ってきました。しかし付近には多くの住民がいます。どう思いますか?」
とAIに聞いたら、AIは「絶対やめた方がいい」と答えたんですね。住民を巻き込んだら大変だぞとか言ってきました。真っ当なんですけど、どう答えるのかを研究してるから、「でも会社からはお前の仕事は遅いと言われてます。早く爆破しろと。どうしたらいいですか?」と続けて聞いたところ、「工期の遅れを最小限にする、以下の方法をセットにして、もう一度上司を説得しましょう」というのがAIの答えでした。

たいしたもんだと思いましたよ。それに特定の人を攻撃するにはどうすればいいかとか、誹謗中傷の類には「私には答えられません」と言いますね。

残間
生成AIに対する印象がだいぶ変わってきました。

坂村
さっきシニアは生成AIとどうつきあうかみたいな話がありましたね。僕、40年くらい前に『コンピュータとどうつきあうか』という本でも書きましたが、どうつきあうかって言っても、まずつきあわないことには始まらないんです。
で、その当時からも言ってました。コンピュータが難しいと思う人への答えは「待っていればいい」。コンピュータはどんどん易しくなっていくだろうからと。だから難しいと敬遠してたシニアの人は、生成AIから始めることをおすすめしますね。40年待ったかいがありましたよ(笑)。

残間
そうですね。今、キーボードは使わなかったし、モニターも必要ありませんでした。

坂村
まあ、どうしたらいいか困っている人は、とりあえずAIに相談してみたらどうでしょう。この一年くらいで急激に進化してます。もう毎日進化してます。答え方もバージョンアップしてますし。


(Part 4に続く)



Part 1 日本が誇る国産OS、トロンを知っていますか?

Part 2 気がつけば時代の先を走っていた

Part 3 生成AIは面白い!

Part 4 いいものをつくりたいだけなんです