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那須高原に“田川ワールド”が誕生! 2/3

中篇 学芸員資格取得で知った学びの楽しさ
美術館と百貨店での展示はまったく違う
残間
美術館を作るにあたって、学芸員の資格も取ったんですよね。大変だったと仰ってましたが。勉強してみていかがでしたか。
田川
僕たちは百貨店で100回以上展覧会をやってきて、最初は美術館もそれの延長線上だと思っていたんです。箱さえあれば、そこで展示をすればいいと。そこに学芸員の資格が通信教育でも取れるという話を聞いて、よし、これから美術館をやるんだから、勉強してみようと思ったんです。
それで始めてみたんですけど、これがまあ難しい。
通信教育と言っても美術館や博物館に行っていろんなことを調べなくてはいけないし、覚えなくちゃいけないこともたくさんある。レポートの提出もあります。それでレポートに受かって初めて試験に進めて、試験に合格したら一科目の履修が終わるというものなんです。で、これが8科目あります。
8科目ぐらい大学時代のことを考えたらたいしたことないと思ったんですけど、甘かったですね。
受講者へのアンケートがあって、「この科目を履修するのに何時間くらいかかりましたか?」という問いの答えの選択肢が、40時間、50時間、60時間………とあって、最後に「90時間以上」とあるんですね。僕はもう全部の科目に90時間以上と答えました。
レポート提出や試験前にはもう殺気だっていましたね。パソコンの文字がどんどん見えなくなって、老眼鏡を3回替えたぐらい。大変でしたけど、一年かけてやっと取れました。
それで始めてみたんですけど、これがまあ難しい。
通信教育と言っても美術館や博物館に行っていろんなことを調べなくてはいけないし、覚えなくちゃいけないこともたくさんある。レポートの提出もあります。それでレポートに受かって初めて試験に進めて、試験に合格したら一科目の履修が終わるというものなんです。で、これが8科目あります。
8科目ぐらい大学時代のことを考えたらたいしたことないと思ったんですけど、甘かったですね。
受講者へのアンケートがあって、「この科目を履修するのに何時間くらいかかりましたか?」という問いの答えの選択肢が、40時間、50時間、60時間………とあって、最後に「90時間以上」とあるんですね。僕はもう全部の科目に90時間以上と答えました。
レポート提出や試験前にはもう殺気だっていましたね。パソコンの文字がどんどん見えなくなって、老眼鏡を3回替えたぐらい。大変でしたけど、一年かけてやっと取れました。

残間
確かあれは資格の勉強中の頃だったと思いますが、「デパートの催事と美術館って違うんですよね」って仰っていたのを覚えています。美術館って、いろいろ制約があるんですよね。
田川
ええ、制約があるし、美術館としての公共性を持たせたり、学びの部分とか、そういう部分が重要なんです。
残間
展示すればいいってものじゃないと。
田川
来た方に何かを学んでいただかないといけない。すると、そういう面も考えながら展示もしなくちゃいけない。ただ綺麗なだけで、「わぁ?、素敵!」というだけじゃ美術館として成立しないんです。
この勉強をせずに美術館を開いていたら………
残間
大変だけど面白いとも言っていましたよ。

田川
大学時代までは勉強することが大嫌いだったんですよ。授業中はあまり話を聞いていませんでした。
社会人になって洋服の勉強をした時は、初めて先生の話が頭に入ってきて、すごく楽しいと思ったんですけど、今はさらにインターネットがあるじゃないですか。ネットでどんどん深く調べていける。するとひとつの課題でも調べていくと、とても奥が深くて、「ええっ! こんなことになっていたんだ」というのに出会いながら学べるんですね。
面白いし、やって良かったと思ったのと、これを勉強しないで個人美術館を建てたら、すごく恥ずかしかっただろうと思います。
「あの人、趣味で美術館建てちゃって、何もわかってないわね」と思われていたでしょうね。
社会人になって洋服の勉強をした時は、初めて先生の話が頭に入ってきて、すごく楽しいと思ったんですけど、今はさらにインターネットがあるじゃないですか。ネットでどんどん深く調べていける。するとひとつの課題でも調べていくと、とても奥が深くて、「ええっ! こんなことになっていたんだ」というのに出会いながら学べるんですね。
面白いし、やって良かったと思ったのと、これを勉強しないで個人美術館を建てたら、すごく恥ずかしかっただろうと思います。
「あの人、趣味で美術館建てちゃって、何もわかってないわね」と思われていたでしょうね。
残間
資格が取れた時は充実感があったのでしょうね。
田川
ありましたし、面白いなと思ったのは、クラブ・ウィルビーもそうですけれど、資格の勉強にはいろんな世代の人が集まるんです。通信教育といっても実習があって、東京だと青山に90人くらい集まるんです。
自分より年上の人もいるし、20代の人もいる。最初のうちはあまり話せないんですけど、最後の方になると「この人、何やっている人なんだろう?」ってみんな気になってきて、最終日ともなると今聞かないと一生会えないかもしれないと思って話し始めたんです。
自分より年上の人もいるし、20代の人もいる。最初のうちはあまり話せないんですけど、最後の方になると「この人、何やっている人なんだろう?」ってみんな気になってきて、最終日ともなると今聞かないと一生会えないかもしれないと思って話し始めたんです。
残間
どんな人がいたのですか。
田川
いろんな人がいましたよ。多かったのは今、美術館に勤めていて、学芸員の資格を持っていない方。それから全然違う仕事をしているけれど、美術が大好きで後々そういう方面の仕事をしたいと思っている方。あとは美術大学に行っていたけれど、学生時代には興味がなくて資格を取っていなくて、社会人になってからやはり学びたいと思った方などですね。
それで僕は、実は美術館を作るためにここに来ていたんですと言ったら、みんなすごく驚いてました(笑)。
それで僕は、実は美術館を作るためにここに来ていたんですと言ったら、みんなすごく驚いてました(笑)。
残間
(笑)そういう人は滅多にいないでしょう。
田川
最後の日にLINEを交換しました。いまでもおつきあいが続いている人もいて、美術館ができたら、ぜひ来てくださいと連絡しています。

(続く)
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