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空と大地の間で生きている 2/2

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後篇 ネイティブ・アメリカンのスピリットに魅せられて



私は“東京インディアン三つ編み族”(小さく自称)

残間
今日もターコイズの指輪やネイティブ・アメリカンのアクセサリー、そして髪は三つ編みと、いつもながらのインディアン・スタイルですね。そしてパートナーの真鍋太郎さん(アーティスト/イラストレーター)はカウボーイ・スタイルですよね。
インディアンへの興味というのは、太郎さんと出会ってからですか?

藤原
確かに私にとってのインディアンの種は、太郎がくれた、goro’sのシルバーフェザーかもしれません。これが太郎からの初めてのプレゼント。ただ、子供の頃からジーンズやアメリカが好きで、そのベーシックな部分のインディアンにたどり着いちゃった感じでしょうか。それに青色が好きな私は、以前からターコイズの石も好きでした。

このフェザーをつけていたら、「藤原ようこってインディアンなんだね。明日、イベントの壮行会があるからおいでよ」とある人から誘われました。 イベントというのはアメリカからやって来たインディアンたちが、東京から広島までをランニングするというもので、私はその時に初めて本物のインディアンに会ったんです。

それで私、聞いたんですね。
「アメリカからはるばるやってきて、何のために東京から広島まで走るの?」
その初めて会ったインディアンの彼が言ったのは、「もし、原爆が使われたら、地球が壊れちゃうでしょ。僕たちはファーザー・スカイとマザー・アースの間に生きている。空も大地も壊れたら、どうやって生きていくんだい? だから『原爆に、NO!』って伝えるために、僕たちは走るんだよ」

WE ARE LIVING BETWEEN FATHER SKY AND MOTHER EARTH.

この言葉を聞いて、「そうだよなー!」と思いました。私たちは確かに、空と大地の間で生きているんだ! って、ものすごくスポーンと腑に落ちた感じだったんです。

それに私はサンタフェとかに行くと、よくインディアンに間違えられるんですけど、思うにベーリング海がアジア大陸とつながっていた頃は、モンゴリアンの行き来があったでしょうし、インディアンの赤ちゃんにも蒙古斑があるって聞いたことがあって。長いスパンで考えると、自分と彼らはつながってるんだなあ~と。
そんな流れで「私は東京インディアンである」と思うようになって………東京インディアン三つ編み族って、小さくですが自称しています(笑)。
残間
実際にアメリカへ、インディアンに会いにも行ったんですか?

藤原
アメリカは都市もカントリーも行ってます。インディアン居留地に入ることはできないんですけど、自分で車を運転して、コロラド、ユタ、アリゾナの大地を旅したり、アラスカでキャンプしたこともあります。
そんな雄大な場所に立つと、地面についている足の部分までは地球だけれど、そこから上は宇宙だなって感じました。すごい気持ち良かったし、私もこういうところで生まれたのかな、と思ったぐらい。

自分に嘘をつかずに生きていたい

残間
それにしてもカウボーイとインディアンの夫婦というのも、絶妙な取り合わせですね。

藤原
知り合った頃の(真鍋)太郎は馬ばかり描いていて、昔は、パーティというとカウボーイハットを被って行って、みんなに変なやつと思われてましたが(苦笑)、何かの展覧会でアメリカ大使館の人たちが私たちのところに来て、ニコニコしながら
「今の時代はカウボーイとインディアンが楽しく暮らしてるんだね!」って言われたことがあります。昔のアメリカ映画では馬泥棒のインディアンが悪者でしたからね………。

とにかく、自分の命が空と大地の間で生かされていることを、心と体で感じていることは、100%の真実。そのことに感謝して、できるだけ自分に嘘をつかずに生きたいと思うようになった、ということです。

残間
10年以上続けているブログのタイトルが『空と大地の間で』ですよね。時おり朝ご飯の写真を載せていますが、とっても美味しそう。
それから弓道をやってるそうですね。どうして始めようと思ったんですか? ちょっと意外です。

藤原
近くにある道場で射会があると聞いて見に行ったら、静寂の世界!?! 白い胴着と黒い袴の人が5人ずつ出てきて2本ずつ、弓を引き、中ったり外れたり。それだけなんです。そして、2本とも中った時だけ、観客は拍手をしていいという決まりがあることも知りませんでしたが、弓を引く音以外、何にも音がしない世界に興味が湧きました。(※中る=あたる 弓道用語)

稽古を見学させてもらったんですが、年齢、性別、さまざまな人がいて、年齢の高い人も多い。85歳を超えた師範の射形のなんと美しいこと!? ますます興味が深まり、入門させていただきましたが、うまくいかないことばかり………。心がそのまま矢に伝わるから、余計なことを考えているとすべて乱れます。
でも、新しい自分に驚きながら、7年目に。昨年ようやく参段をいただき、着物稽古にも参加できるようになりました。(※道着ではなく着物での稽古が許されるのは参段から)

残間
すごいですね。本格的なんですね。

藤原
いえいえ、まだまだ、ダメダメ~~ごく稀に気持ちよく引けたときも、次の射技はうまくいかない………。還暦過ぎて始めましたが、生まれ変わったら中学くらいから始めたい! って思います(笑)。

そうそう、弓道を始めて2年目くらいかな? CM制作でご縁のあったプロデューサーから全日本弓道連盟のHP制作のコピーを依頼されました。射技や弓道の心などは連盟の先生の原稿を整える作業でしたが、キャッチコピーはいくつも提案した中で「弓道は、永遠に求道。」が選ばれて。その時はレトリックに走った気もしたけど、今は、まさに、その通りだと痛感しています。

残間
うーん………、藤原さんを見てると、気持ちのいいことをして生きてるなって思います。
私なんかまだまだですね。この歳になっても、妙な自意識や見栄にひきずられてしまいがちです。藤原さんの自然体な生き方にあやかりたいと、今日は改めて思わされました。嘘のない生き方っていいですね。ありがとうございました。

藤原
ありがとうございました。インディアンは嘘がつけないので………。ほんと! 楽しかったです。




(終わり/2022年7月取材)


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