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大切なことは母に教わりました 3/3

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vol.3 「ねばならぬ」からの解放


残間
冒頭にも申しましたが、73歳の今もおきれいで元気です。それからだいぶ前に髪を染めるのをやめましたよね。“染めない派”でお仲間も作られて(『チーム・ソルトン・セサミ』他のメンバーは飯野晴子・小室知子・中尾ミエ)。とても自然で素敵です。

加藤
染めなくなったきっかけは、メンバーそれぞれだったと思いますけどね。

私は24歳で結婚しましたが、28歳で離婚となった頃から急に白髪が増え始めました。ストレスでしょうね。当時はストレスという言葉もありませんでしたが。
まだ28歳でしたから鏡を見るたびに落ち込んで、とにかく染めなきゃと。でも45年前の話ですから、ヘアダイも限られているし、カラーリンスなんてまだほとんどない時代です。髪はどんどん傷む。それで「ヘナ」という髪染め剤がいいと聞いて、アメリカに行く度に買い込んで、自分で染めていました。

今となっては笑い話ですけれど、ゴルフをやっていたら「大丈夫? なんか黒い汗が出てるけど」と言われて。鏡を見たらびっくりですよ。染めた翌日には枕が真っ黒だし。でも、当時はそれしかなかったんですよね。
その頃カーリーヘアが流行っていましたから、アフロにしてごまかしたり。

残間
そんな時代があったのですか?

加藤
とにかく劣等感。染めてもすぐに白髪は生えてきますし。どうしようといつも気がかりでした。 ところが45歳の頃アメリカへ出張した時に、エレベーターで全然知らないアメリカ人に声をかけられたんです。
「ハーイ、すてきなメッシュ・ヘアね。どこの美容院?」

え! メッシュ? ごま塩とか白髪と思っていたのに、もうその時から嬉しくなって。そうかメッシュだ!

残間
なるほど。ヘアダイではなくて、ヘナだと濃淡がつきますから。

加藤
だと思います。「ベリー・ナイス・メッシュ!」と言われて、もう「ワオ!」ですよ。 それで日本に帰って夫に言うと、そうかメッシュだねと。日本の美容師さんにも、これからの時代はナチュラルですよと。では、このまま覚悟を決めて白髪のままにしてみるかと思いました。

でも、色が落ち着くまでは頭頂のところが白く目立って、「天使の輪っかちゃん」とか夫や息子に言われていました。だからその頃は、ターバンとかベレー帽とかをよくかぶっていましたね。5年間ぐらいでしょうか。

残間
そんな事情だったとは知りませんでした。


外に出る勇気が女性を輝かせる


残間
中尾ミエさんたちと一緒に何かやろうとなったのは、いつぐらいからですか?

加藤
それは60歳を過ぎてからです。みんな、気がついたら染めてないね、ということになって、それで還暦も越えたし、みんなで何かやろうかということになりました。
ひとりではできないことも、4人集まればそれぞれキャリアも積んでいることですし、何か身の丈にあった社会への恩返しができるんじゃないかと。それで『チームごま塩』、つまり『チーム・ソルトン・セサミ(Team Salt'n Sesame)』が生まれたわけです。

残間
『チーム・ソルトン・セサミ』はチャリティを中心に活動していますが、4人はもともと仲良しだったのですか?

加藤
それほど親しくしていたわけではなく、パーティで見知っていたり、仕事で接点があったり。それが、この名称と目的のもと、急速にご縁が結ばれて。

それで手作りのチャリティとして、最初に何をやろうかとなった時、ちょうどミエさんが介護をテーマにしたミュージカル(『ヘルパーズ』)を立ち上げたのです。でも、お金が足りないと。若い人に舞台のチャンスを与えたいという意気にも共感し、まずはそのミュージカルを応援しようとなったのが、そもそもの始まりです。

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残間
動物のためのチャリティをやったこともありましたね。

加藤
その辺のことはいつも小室さんが提案し決めているのですが、“私たちらしいチャリティ先”というのを、見事に見つけてくるんです。
それはどちらかというと単に「人」というよりも「活動」に対してのもので、あとはアートが絡んでいるとか、姿勢に勇気を感じるとか。そういった活動を応援しています。

残間
見ていて感じるのですが、あの活動は自然体な雰囲気がいいですね。

加藤
すごく自由です。年中、4人で顔を突き合わせているわけではなく、実際には年に何度かしか会わないですね。そこはメンバーが大人だからできるのではないでしょうか。
要するに無理はしない。みんな言ってみれば、「~ねばならない」から解放されてる人たちなんです。「髪の毛を染めねばならぬ」から解放されているのですから。

残間
そこが基本なのですね。

加藤
それぞれのきっかけはあるにしても、それを実践している人たちなわけで。だから「結婚せねばならぬ」でもないし、みんな離婚を経験していたり、ミエさんみたいに一度もしていない人とか。とにかく「~ねばならぬ」ではないのです。

残間
ウィルビーのメンバーにもいますよ。とっても綺麗な方で、数カ月前に「もう染めるのをやめます」と宣言して実行された方が。ところがある育毛剤を使ったら黒髪が生えてきてしまって「もうこの育毛剤はやめる」って言っていました。他の人は「その育毛剤教えて!」って言っていましたけれど。

加藤
(笑) 私がキャラクターモデルを長年務めている商品のシリーズにも、黒髮が増えるのがあります。

残間
最近髪を染めない人が増えているように思うのですが、それにつけても加藤さんたちの影響は大きいみたいですよ。それなりに手入れの工夫ってあるのですか?

加藤
まずカットをまめにすること。特にショートの方。ロングはむずかしいけれど、鳥居ユキさんなんかは上手くまとめてらっしゃいますね。島田順子さんもきれいです。器用な方はロングでも素敵だと思います。私自身は肩より少し長めで、日頃はポニーテールです。

残間
28歳から続けていた髪染めをやめてみて、やはり心身ともに解放されます?

加藤
いやあ、もう〜! 劣等感から自分が解放されて、こんなに自由になれるとは!
だって階段の昇り降りも嫌だったんですよ。上から人に見られるから。エスカレーターなんて絶対に嫌。エレベーターも最後の方に乗るとドア前の最前列に立つじゃないですか。今、見られているな、って思っていましたから。お辞儀もあまり頭を下げなくなるし、髪の毛は傷み放題。今はそんな苦労は何一つありません。

残間
最後になりますが、加藤さん、おきれいなだけでなく、活力を感じるというか、たいへん健康に見えます。何か秘訣ってあるんでしょうか。

加藤
私、64歳からダンスを始めたんですよ。きっかけは『チーム・ソルトン・セサミ』のパーティで披露しようということだったのですが、67歳半から発表会にも出るという目標をもって本格的に、週2回はレッスンを続けています。私はこれで劇的に体が変わりましたね。体重は10キロ、体脂肪も10パーセント激減して、しかも筋肉がつきました。ちょっとダンス中の動画を見てみます?

(タブレットで動画再生)


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2018.04.30 TWD Spring Party 2018にて

残間
これはすごいですね! パートナーの男性に任せっぱなしの、ある種の社交ダンスじゃなくて、一人で踊るパートが長い。しかも衣装が素敵です。後ろ姿がスッキリしているから、背中のあいたドレスがよくお似合いです。

加藤
背中の脂肪も腕の振袖肉も落ちましたよ。
ただ、長年ダンスをしていても体型が変わらない人もいます。その違いは、やはり向上心かな。

残間
人に披露することも大事なんですね。

加藤
ハイ。私の場合は、ただステップを踏むだけの踊りではなく、指先や後ろ姿への意識もしています。とにかくダンスは楽しいですよ。音楽を聞きながら異性と組んで、頭も使って。若い方も大勢いらっしゃいますが、認知症予防にも効果があるとアメリカの医大で発表されていますから、中高年世代には是非オススメです!

それから改めて大事だなと思うのは、再婚して早36年が経ちましたが、当初から夫にアドバイスされていた、「家事や育児だけでなく、きちんと社会とも接点を持ち続け成長していってほしい」ということでしょうか。その意識が今の私を支えているとも思います。

残間
ありがとうございます。先達からのありがたいお言葉の数々、かみしめます。

加藤
こちらこそありがとうございました。



(終わり/2018年7月取材)

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vol.1 母から学んだ女性としての生き方

vol.2 出産の際に贈られた“言葉のプレゼント”

vol.3 「ねばならぬ」からの解放

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