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コロナ以後の日本に何を築くか。 3/3

202088


Part3 コロナ禍はチャンスでもある


今度こそ脱一極集中、地方分権

残間
冒頭で月尾さんは、コロナウィルスは大変だけど、社会を大きく変える絶好のチャンスだとも仰いましたね。

月尾
これまで人類は何度もパンデミックを経験してきました。ペスト、スペイン風邪、アジア風邪、香港風邪、21世紀になってもSARS、MERSなどです。とりわけ中世ヨーロッパは黒死病(ペスト)のせいで、当時のヨーロッパの人口の3割が死亡したと言われます。しかし、その代償としてキリスト教の呪縛から逃れ、中世からルネサンスという新しい社会へ移行しました。それと同じように、これからの社会をどう作るかということを我々は考えるべきだと思います。

残間
先ほど月尾さんがコロナ大流行の要因にあげた「密集や移動の増加」という問題は、かつても一極集中を是正しようとか、地方分権とかいろいろ議論されてきました。ちっとも進みませんでしたが、こうなると自然とそうなるんじゃないでしょうか。

月尾
そうなることを期待していますが簡単ではないと思います。リモートオフィスが話題になっていますが、まだ量的にはたいしたことはないし、コロナウィルス騒動が収まったら、やはり東京がいいということになるかもしれない。
テレワークも感染が怖いから実施しているけれど、不便を感じている部分も多い。普通に通勤できるようになったら、元に戻る可能性も否定できない。それでも変化しないといけないと思います。

例えば、直下型地震が東京を襲ったら、日本は本当に壊滅です。これだけ集中していて、他に代替機能がない状態です。このコロナ騒動の最中に起こったら大混乱です。そう考えると地方分権も急ぐべきだと思います。

さらに中世の黒死病の時に流行した「メメントモリ(自分がいつか死ぬことを忘れるな)」という言葉を思い出し、現在の社会をどのように変えていくかを考えるべきです。このまま現状維持してしまっては、今回、日本で亡くなった千人以上の方や世界で亡くなった80万人以上の方に申し訳ないと思います。

残間
これだけ手酷い目に遭ってるんですから、変わりたいものです。

“終活”はじめました!

残間
話は変わりますが、最近、終活をされているそうですね。
月尾
現在、蔵書やこれまで寄稿した雑誌などの書類を処分しています。1万冊ぐらいあった蔵書は、何箇所かに『月尾文庫』という形で引き取っていただきました。手元に残したのは500冊くらいですね。整理してわかったことは、蔵書の半分は1ページも読んでなかったということです(笑)。

残間
わかります! いつか読もうと思って手元に置くんですけど、読まないうちに時期を逸してしまって……。

月尾
それから海外旅行に行った時に撮った膨大なフィルムのスライドが段ボール箱で10箱以上あります。最初はデジタル処理して保存しようかと思いましたが、意外に手間がかかって、すでに挫折しています。

残間
月尾さんは60歳で大学教授と総務審議官を辞めてからは、大学からも官からも距離を置き、以後はチリでカヌーの冒険をしたり、日本各地に私塾を作ったりしてきましたが、終活や隠居なんて早すぎやしませんか。月尾さんは1942年生まれですけれど、まだこんなにお元気です。

月尾
そんなことはありません。山本寛斎さんや岡本行夫さんなど、私より若い友人が相次いで亡くなっていますから、覚悟はしています。

残間
終活というものに取りかかった上で、寂寥感とか、人生で思い残したことって感じていますか?

月尾
何もできなかったということです。
このようなところに偉大なニュートンを引き合いにしては申し訳ありませんが、ニュートンは晩年「私は海辺で遊びながら、普通より滑らかな小石や可愛い貝殻を見つけて夢中になっている少年のようなものである。真理の大海は未発見のまま広大に広がっている」と述べています。
ニュートンに比較すればゴミのような存在ですが、楽しい人生ではあったけれど、何もしなかったという寂寥感が強いのが現在です。

残間
30年以上のお付き合いになる月尾さんですが、そんなに早く隠遁しないで、あと20年くらいずっと終活を続けながら、世の中に発信し続けていただきたいと思っています。
目下開催を実現すべく計画中の今年の「willbeアカデミー」でも、またお話を伺いたいと思っております。今日はありがとうございました。


(終わり/2020年8月取材)








Part1 すでに日本は中流国なんです

Part2 ウィルスとは何か

Part3 コロナ禍はチャンスでもある


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