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未来へ、一歩前に出る勇気を 3/3

(聞き手/残間里江子 撮影/岡戸雅樹 構成/髙橋和昭)

Part3 過去ではなく未来を語ろう


“元気”が大事なのにはわけがある

残間
一柳さんは日頃から「日本を元気にしたい」とおっしゃっていますが、一柳さん自身、いつも元気ですよね。会う度にいいなあと思います。一柳さんの写真を見ると、たいてい笑ってますし。

一柳
20年前に会社を始めた頃、考えたんですね。自分の何が売れるんだろう? 自分のバリューってなんだろう? 何しろ実績はない。収入もない。アピールするものがなくて困りました。だったら世の中暗いから、せめて明るく振る舞おうと思ったんです。

それで商談で「社長、もっと前向きに明るく行きましょうや!」という調子で喋っていたら、別れ際に「今日は一柳君ありがとう! 君に元気もろうたわ。顧問契約しましょう」と言われました。
その時に思いました。ああ、“元気”というのは売れるんだって。

残間
(笑)

一柳
それまでは知恵とか付加価値が売れるんだと思ってたんですが、元気が売れる。確かに元気に明るくやってると、いい人が集まって来るんですよ。

残間
私は二十歳過ぎたら、元気は“なる”ものではなくて“する”ものだと思ってます。私も元気な人に会うと「よし!」って思いますから。

「元気が売れる」というのは、私も今、改めて感じ入りました。いろんな経営理論とかあるでしょうけど、最後には何だか今日は前向きになった、元気になったというのをみんなは喜ぶ。それはある意味、コンサルティングの最上位に位置するものかもしれません。組織を活性化させてるわけですから。

一柳
ビジネススクールでは教えないでしょうね。でもあんまり明るく笑いすぎてると軽く見えるかも。「アホちゃうか」って。

残間
(笑)それでも笑った方がいいですよ。ある程度の領域まで行った人ほどそう。才能も見識もあるけど、もう少し笑顔を見せればいいのに惜しいなあ、という人いますから。
人生二毛作・三毛作時代、過去は振り返らない

残間
最後に日本のシニアに向けて何か一言いただけますか。

一柳
ある医師の方に聞いたことがあるんです。私も70代ですから、ピンピンコロリで逝きたいと思うんですけど、どういうことを心がけたらいいんでしょうと。すると先生は五箇条あると言われました。

①美味しいものをちょっとずつ食べる②よく寝る③運動はした方がいい
ここまではよくわかります。
④ワクワクドキドキ
これはなんでもいいんです。そういえば恋は長寿の薬だとか言ってましたよ。ワクワクドキドキは免疫力を高めるそうです。そして最後、ここなんですよ。
⑤自分が社会から必要とされる役割を担っているという認識
これがなくなるとガクッと来るそうです。

残間
組織から離れたり役職を解かれたりすると、そんなものはないように思いがちですが、小さいものなら作ろうとすれば作れますよね。社会というと大げさに聞こえますけど、近隣や身の回り、家族の役に立つことで十分だと思います。

一柳
そうです。クラブ・ウィルビーだって、残間さんはそんな思いから作られたんじゃないですか?

残間
老後に2千万円必要だというのが一人歩きしたせいか、日本のシニアが何か後ろ向きになっているように見えます。退職金もビタ一文使わず、老後に備えなきゃと。

一柳
何歳まで生きるにはどれくらい必要かは計算できるんですが、自分が何歳まで生きるかは計算できません。確かに不安になりますよね。

残間
出かけようと思ってもやめたり、何か買おうと思ってもやめたり。

一柳
とりあえず、体が動く間は働いた方がいいと思います。そうやって社会と関わる。一人暮らしの高齢者にお弁当を配達しつつ、安否を確認したり、ちょっと話し相手になったりするとか。世の中に必要とされている仕事って、いろいろありますから。アルバイト的な賃金でもいいと思うんですよ。

残間
そこはプライドの問題があって難しいみたいなんです。そうしてるうちに体が動かなくなってしまい………。

一柳
そこがダメなんですよね。過去のプライドは捨てて、未来を見て生きて欲しいです。今は人生二毛作、三毛作の時代ですよ。その度に切り替えなきゃ。過去の話には、みんな耳を貸さないですよ。未来を語らないと。

残間
そうですね。未来を語っているのを聞くと、自然とその人の過去に興味が行きますが、聞かれてもいないのに過去を語り始めるのは、まずいですよね。

一柳
今の世の中は先行きが見えづらいです。ともすれば後ろ向きになりがちです。でもそこをあえて行動的になると、いろんなことが変わっていくはずなんです。そしてそれを支えてくれるのは、夢であったり理想だと思います。よく引用される吉田松陰の言葉がありますよね。
「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に夢なき者に成功なし」

「何を夢みたいことを言ってるんだ」と言う人がいますが、夢を見るかどうかが人間と動物の違いだと思います。動物はただ生きて子孫を残すだけですよね。夢を見られるのは人間だけですよ。

残間
たとえそれがささやかなものでも、夢は大事ですね。心に留めたいと思います。今日はありがとうございました。


(終わり/2019年12月取材)








Part1 肩書きで仕事はしない

Part2 一流の経営者が日本を強くする

Part3 過去ではなく未来を語ろう



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