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服は人をハッピーにさせる 2/2

(聞き手/残間里江子 撮影/岡戸雅樹 構成/髙橋和昭)

Part2 今こそおしゃれ心を忘れずに


残間
今年で76歳におなりですが、今は何が一番楽しいですか? やはり仕事でしょうか。

鳥居
私は歳なんて考えたことないです。でも何年続けても、仕事は本当に面白い。考えれば考えるほど何かが出てくる。出ないようだけど、出てくる。

残間
もう50年以上、年に2回のショーをやっていらっしゃいますが、アイデアは尽きませんか?

鳥居
アイデアはそう簡単には出ませんよ。考え抜いてやっと出てくるし、出すから出てくるとも言えます。アイデアってあんまり大事にとっておくとダメなんですよ。外に出してやると、また違うことに気づいたりして、形になっていくものです。

ショーは3月と10月にあって、そのあとにそれぞれ展示会があります。今は来年の春夏をやりつつ、来年の秋冬のアイデアを練っている状態です。特に毛皮などの手間がかかる素材は、今から準備が必要です。服飾の世界も生産体系が変わってきて、そう右から左には服ができなくなってきていますし。


  

残間
ところで日本もいろんなファストファッションが入ってきたり、消費者から見ても、ファッションの世界が目まぐるしく変わってきたように思います。
それからサステナビリティーなどということも盛んに言われてますし、経済が大変になってきているので、みんな洋服に限らず物をどんどん買える時代でもないですよね。特に若者たちは。こういう状況をどんな風にご覧になってますか?

鳥居
ファッションに関して言えば、安く手軽にいろんな服にトライできるようになったとも言えます。それはいいことだと思います。
いつまでも「私にはこれは似合わない、着てもどうせダメ」とやってると、ファッションって身につきません。どんどんトライすることが大事。試行錯誤を繰り返しながら、自分の装い方を見つけていかないと。だから最初は安いもので構わないんです。着物だったら浴衣から始めればいいし。

残間
そういえば、私たち団塊の世代というかベビーブーマーの人たちって、なんだかんだ言いながら、いろんなものを体験したんですよね。

とにかく誰もがミニスカートをはきましたから。当時は畳で育っていますから、みんな脚の格好が悪かったし、ツイッギーどころか大根足も多かったんですが、そんなのお構いなしといった感じで。それからマキシやミリタリールックもありました。ジーンズやTシャツも最初の世代でした。男性も長髪にしてみたり。あの時代はすごく面白かったですよね。突飛なものもありましたけど。
鳥居
みんな一通り身につけましたよね。すごい時代でした。

残間
先ほどの「コーディネート・ブック」は、ちょっと忘れていた感覚を呼び起こされた気もします。ああ、こういうのもありなんだと。

  
シニアになったらスポーティな要素を取り入れてみる

残間
改めてお聞きしますが、今、我々世代はどういうものを着たらいいですかね。古希に近い人間としては。

鳥居
ファッションに年齢は関係ありません。自分が着たいと思えばなんでもいいんです。私も服を作るときは、基本は自分が着たいと思う服を作ってますから。

だから何でもいいんですけど、ひとつアドバイスするとすれば、ある程度の年齢になったらスポーティな要素を取り入れるといいと思います。デニムでもTシャツでもいいですし。すると気分が一段変わるんじゃないでしょうか。そしてそれをいかにエレガントに見せるか。


  



残間
鳥居さんは昔から「服は人をハッピーにさせるもの」という持論がありますね。世の中だんだんハッピーじゃなくなってきましたが、私はそんな時だからこそ、ファッションの力が必要な気がしています。

鳥居
服が自分にすごく似合ってきれいに見えると、自分だけじゃなくて周りも楽しくなるし、それは世の中全体にもすごくハッピーなことだと思います。似合うものにトライして喜ぶという気持ちは、本当にいいものです。大事にして欲しいですね。


(終わり/2019年9月取材)








Part1 ファッションはもっと自由なもの

Part2 今こそおしゃれ心を忘れずに


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