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描きたかったのは自分の足で立つ女 1/3

わずか16歳でデビューを飾り、以来50年余り、少女漫画を中心に500近い作品を生み出してきた里中満智子さん。ウィルビーメンバーの中にも、彼女の作品を読んで育った方も多いのではないでしょうか。近年は壮大な歴史ロマンも手がけ、さらに大学での後進への指導、漫画を通した国際交流など、挑戦は今も続いています。(残間)
里中満智子さんの公式ブログ
里中満智子さんの公式ブログ
(聞き手/残間里江子 撮影/岡戸雅樹 構成/髙橋和昭)
Part1 少女漫画にニューヒーローを
従来の女らしさ、男らしさへの疑問
残間
里中さんは小さい頃からかなりの読書家だったそうですね。ストーリーテラーとしての原点でしょうか。
里中
子供の頃から物語が好きで、誕生日に何が欲しいかと聞かれると、決まって本が欲しいと答えていました。中学からはもう図書室に入り浸っていましたね。最初は芥川龍之介や太宰治、ヘッセなどの詩や小説をよく読んでいました。とにかく読む本が山ほどあるのが嬉しくて、毎日、下校時間になるまで図書室にいました。
様々な本との出会いがあったんですが、ある時『万葉集』を読んでいて、ハッと気がついたことがあります。『万葉集』の中には、世間で言ってる昔の日本男児と全然違う殿方がいっぱいる。泣く男、恋にすがる男、彼女が振り向いてくれてこんなに嬉しいことはないと素直に歌を詠んじゃう男。あるいは、やんごとなきお方が身分の低い女の気持ちが欲しくて、一生懸命歌を贈っている。
あれ? と思いました。時代劇などを見て、偉い方は「あの娘がいいな」となったら好きにできたと思ってたんですけど、あら違うじゃないと。大人が言ってる昔の日本男児というのは、武家社会の時にできたイメージを言ってるだけではないのかと。
そこから武家社会以前の時代に、一気にのめり込んでいきました。なんなのこの時代はと。でも、私も勝手に決めつけていたんですよね。昔の日本男児はこうで、女性には同じことをする術がないと思い込んでいた。じゃあ本当はどうだったんだろうと調べたわけです。ノンフィクションや歴史書など、小説以外のものを読む楽しさも出てきましたね。
様々な本との出会いがあったんですが、ある時『万葉集』を読んでいて、ハッと気がついたことがあります。『万葉集』の中には、世間で言ってる昔の日本男児と全然違う殿方がいっぱいる。泣く男、恋にすがる男、彼女が振り向いてくれてこんなに嬉しいことはないと素直に歌を詠んじゃう男。あるいは、やんごとなきお方が身分の低い女の気持ちが欲しくて、一生懸命歌を贈っている。
あれ? と思いました。時代劇などを見て、偉い方は「あの娘がいいな」となったら好きにできたと思ってたんですけど、あら違うじゃないと。大人が言ってる昔の日本男児というのは、武家社会の時にできたイメージを言ってるだけではないのかと。
そこから武家社会以前の時代に、一気にのめり込んでいきました。なんなのこの時代はと。でも、私も勝手に決めつけていたんですよね。昔の日本男児はこうで、女性には同じことをする術がないと思い込んでいた。じゃあ本当はどうだったんだろうと調べたわけです。ノンフィクションや歴史書など、小説以外のものを読む楽しさも出てきましたね。
残間
私たちの世代は(里中さんは1948年生まれ。残間と同じ団塊世代)、そういうことをはっきり意識した最初の世代かもしれませんね。つまり昔から言われていた男女の関係性とか、上下とか、役割分担に対する反動。逆に女性であっても、ずっと自立というのを強いられてきたとも言えます。
里中
というより、そもそも私たちの世代は人口が多くて、それに比べて、ちょっと年上の男性がものすごく数が少ないんですよ。女の子はマセてますから、12~3歳にもなるとお友達と放課後、私たちのうち半分は一生結婚できないねとか話してました。当時はちょっと年上の人と結婚するというのが常識でしたから、相手がいないわけです。
するとこりゃダメだと。お嫁さんになりたかったら、もっと可愛げがあってしおらしくないといけないから、私たちはどうせ結婚できない。じゃあ何して生きていこうかと。まずは自活ですよね、自立じゃなくて。だから自活というのは、みんな真剣に考えていましたね。
するとこりゃダメだと。お嫁さんになりたかったら、もっと可愛げがあってしおらしくないといけないから、私たちはどうせ結婚できない。じゃあ何して生きていこうかと。まずは自活ですよね、自立じゃなくて。だから自活というのは、みんな真剣に考えていましたね。
残間
精神的な自立も大切ですが、まずはそこだったかもしれません。
里中
とにかく生きていかなきゃいけない。自分で食べていかないと。では何の仕事をするかというと、できれば男女関係ない仕事がいいと思った時に、ちょうど漫画というものがあったんですね。
実際、漫画って描いているのが男性か女性かわからないわけですよ。だからこれはいいなと。私自身、ちばてつや先生を最初女性だと思ってましたから。(※ちばてつや氏は、キャリアの初期は少女漫画で活躍)
女性だからと甘やかされたくないし、バカにされたくもない。読者には作者が男性か女性かは関係ないでしょ? その人の背景も何も関係ないわけです。こういう仕事はいいなあと思いました。
実際、漫画って描いているのが男性か女性かわからないわけですよ。だからこれはいいなと。私自身、ちばてつや先生を最初女性だと思ってましたから。(※ちばてつや氏は、キャリアの初期は少女漫画で活躍)
女性だからと甘やかされたくないし、バカにされたくもない。読者には作者が男性か女性かは関係ないでしょ? その人の背景も何も関係ないわけです。こういう仕事はいいなあと思いました。
残間
そして16歳の高校在学時にデビューを果たしたわけですね。(『ピアの肖像』1964年/第1回講談社新人漫画賞)
目指したのはシンデレラではなく人魚姫
目指したのはシンデレラではなく人魚姫
里中
ただ昔の少女漫画って、その時の状況に泣く女の子がいっぱい描かれていて、なんか、みんなすぐ泣くんですよ。泣くのが女の子の特権みたいな作品が多くて、それが私は気持ち悪かった。現実を見ると女の子はしぶといですから、そんないちいちシクシクなんて泣かない。
それから母親がいないのは不幸であるとか、お金持ちはズルいとか、すぐ決めつける。そんな風に、立場で人の心が決まるわけじゃないのに。
それから母親がいないのは不幸であるとか、お金持ちはズルいとか、すぐ決めつける。そんな風に、立場で人の心が決まるわけじゃないのに。
残間
確かにそういうところ、ありましたね。
里中
それから判で押したようなイメージって、女の子だけじゃないんですよ。
私は小さい頃から体が大きかったんです。運動は苦手なんですけど、体の大きさに比例して筋肉の力はあったんです。子供の頃ってそうですよね。
それで小学生時分の男の子って口下手のくせに、すぐに何か手を出したり、馬鹿なことをするんですよ。女の子にちょっかい出して。するとひ弱そうな女の子が私に寄ってくるわけです。「里中さ~ん、あの子がいじめる~」って。
それで私が何でそんなことをするのかって問い詰めると、男の子が「どけよ、殴るぞ、やってみろよ」とか言うのでやってみると………こっちが勝っちゃうわけです。当然ですよ。私の方が体が大きいし、男の子は成長が遅いから。
ところが男の子が泣きながら「覚えてろ」とか言いながら行っちゃうと、今度は他の男の子に囃されるわけです。「男のくせに女に負けて泣いてやんの、やーい」と。だけど無理ですよ。この体の大きさの違いを見てよって言いたかったです。
私は小さい頃から体が大きかったんです。運動は苦手なんですけど、体の大きさに比例して筋肉の力はあったんです。子供の頃ってそうですよね。
それで小学生時分の男の子って口下手のくせに、すぐに何か手を出したり、馬鹿なことをするんですよ。女の子にちょっかい出して。するとひ弱そうな女の子が私に寄ってくるわけです。「里中さ~ん、あの子がいじめる~」って。
それで私が何でそんなことをするのかって問い詰めると、男の子が「どけよ、殴るぞ、やってみろよ」とか言うのでやってみると………こっちが勝っちゃうわけです。当然ですよ。私の方が体が大きいし、男の子は成長が遅いから。
ところが男の子が泣きながら「覚えてろ」とか言いながら行っちゃうと、今度は他の男の子に囃されるわけです。「男のくせに女に負けて泣いてやんの、やーい」と。だけど無理ですよ。この体の大きさの違いを見てよって言いたかったです。
残間
(笑)
里中
要するに男だというだけで、女に負けちゃいけないみたいなものを背負ってるわけです。それで男同士で馬鹿にして囃し立てる。これはこれで男の子のほうも大変だなあと。そういえば昔から男の子って、何かと「男なんだから」と言われがち。
残間
最近、それもやっとセクハラになってきましたが。
里中
早く男の子が、僕は本当は弱虫ですって言って、笑われない時代が来ますようにと思ってました。それにはまず女の子もいざとなった時に、「だって女だもん、無理よ」って言うのはやめようね、という気持ちはありましたね。
残間
それは里中さんの作品にも反映されてますよね。

里中
すぐ泣く女、何かのせいにする女、つまり状況のせいにしたり、恋愛なら男のせいにしたり、社会のせいにしたり。そういう主人公は書きたくなかったです。
その前に自分にできることがあると気づいた方が、絶対強く生きていけます。本当は強いんだから、弱いふりをやめた方が気持ちいいはず。やればできる能力があるかもしれないのに、やらないままでいるのはすごく嫌らしい。
その頃からですよね。自活じゃなくて自立を意識したのは。
恋愛物を描くにしても、自分がこの人を選んだんだと。うまく行かなくなっても、その結果は自分で受け止めて、絶対に相手のせいにしない。そして自分の人生を自分で選ぶためには力を持たなきゃいけない。
力を持つというのは、権力とかじゃなくて、自分の力で立っているということですよね。そういう女の子を描きたいなあと思って、幸いにして早くデビューできたんですけど、そこからが大変でした。
その前に自分にできることがあると気づいた方が、絶対強く生きていけます。本当は強いんだから、弱いふりをやめた方が気持ちいいはず。やればできる能力があるかもしれないのに、やらないままでいるのはすごく嫌らしい。
その頃からですよね。自活じゃなくて自立を意識したのは。
恋愛物を描くにしても、自分がこの人を選んだんだと。うまく行かなくなっても、その結果は自分で受け止めて、絶対に相手のせいにしない。そして自分の人生を自分で選ぶためには力を持たなきゃいけない。
力を持つというのは、権力とかじゃなくて、自分の力で立っているということですよね。そういう女の子を描きたいなあと思って、幸いにして早くデビューできたんですけど、そこからが大変でした。
残間
その頃の少女漫画には、なかなかそういうヒロインっていなかったですよね。みんななよなよしていて。
里中
そう、何か可哀想でしょって言われる状況があって、その中にヒロインがいる。例えばシンデレラは継母とお姉さんたちにいじめられている。
あれも継母が継子をいじめるというパターンで、こんなバカな話はなくって、実の親でもひどい親もいれば、血が繋がっていなくても素晴らしい人もいっぱいいるわけですよ。だけどお定まりみたいにいじめる。いじめられても抵抗はできないんだけど、健気に働いて、みんなその健気さをよしとするわけです。
それで健気にやっていると、ある日幸運がやってくる。
あれも継母が継子をいじめるというパターンで、こんなバカな話はなくって、実の親でもひどい親もいれば、血が繋がっていなくても素晴らしい人もいっぱいいるわけですよ。だけどお定まりみたいにいじめる。いじめられても抵抗はできないんだけど、健気に働いて、みんなその健気さをよしとするわけです。
それで健気にやっていると、ある日幸運がやってくる。
残間
なぜか一発逆転。
里中
舞踏会に行けたと。ところがここからが本当に気に入らなくて。
王子様はシンデレラを見て、「なんて美しいお嬢さん、僕と踊ってください」っていうわけ。じゃあブスだったら幸せになれないのか。
王子様はシンデレラを見て、「なんて美しいお嬢さん、僕と踊ってください」っていうわけ。じゃあブスだったら幸せになれないのか。
残間
(笑)
里中
そう言いたくなります。それに他の女の子たちも、王子様だからというだけでポーッとなってる。王子様ってたまたま王様の息子だっただけでしょ? 自力で何かやったわけじゃないでしょ? 要するに美しく生まれた娘と、権力者の息子として生まれた男が出会った。それがどうしたって言いたいんですよ。
しかもシンデレラは12時が来るのを忘れてしまう。約束忘れるの良くないですよね? それで靴を置いたまま逃げ帰っちゃうわけです。挨拶もせず失礼な振る舞いだし。
ところが王子様はその靴を見てさらにのぼせ上がって、国中を探させるわけですよ。自分で探せって言いいたいです。しかもその靴は小さくて、国中の娘の足に入らなかった。足の小さな女がいいという、これもまたムカつくところで。
しかもシンデレラは12時が来るのを忘れてしまう。約束忘れるの良くないですよね? それで靴を置いたまま逃げ帰っちゃうわけです。挨拶もせず失礼な振る舞いだし。
ところが王子様はその靴を見てさらにのぼせ上がって、国中を探させるわけですよ。自分で探せって言いいたいです。しかもその靴は小さくて、国中の娘の足に入らなかった。足の小さな女がいいという、これもまたムカつくところで。
残間
(笑)確かに。
里中
もう全てが気に入らなくて。
同じおとぎ話でも『人魚姫』の方が好きです。人魚姫も王子様に恋しますよ、ろくにつきあってもいないのに一目惚れで。
それで王子様のそばに行きたい、私は人間の世界に行きたいから足が欲しいと魔法使いに頼んだ時に、交換条件を出されるわけです。お前に足を与えてやろう。でもそのかわりに声をもらうよと。
何かをもらうと、何かを犠牲にしないといけないんですよね。当たり前。お金が欲しいんだったら働かなきゃいけないというのが当たり前。だから足が欲しいなら声を犠牲にする。だから足は出来たけど王子様のそばに行っても喋れない。
さらに王子への恋が成就できればいいんですけど、王子が他の女と結婚したりすると、海の泡になっちゃうんだよという恐ろしい呪い、リスクがあるわけですよ。
将来は約束されていなくて、楽しい未来と恐ろしい未来がある。どっちに転がるかわからないけど、飛び込むかと言われて、人魚姫は飛び込むわけですよね。
ところが結果的には、王子様は隣の国の王女様と婚約が決まってしまう。明日は結婚式という時に、別の人魚に短剣を渡されるわけです。王子様が死んだら呪いが解けて元の人魚に戻れると。人魚姫は王子様の寝室に忍び入るんですが、やはり殺すことはできない。
さらに言えば相手の王子は、人魚姫が何を犠牲にして自分のそばに来たのかわかっていない。そもそもの出会いだった、荒れ狂った海の中で自分を助けてくれたのが人魚姫だったことも、何も覚えていない。彼女の真意を知らないわけでしょ? だけど人魚姫は自分の恋に殉じるわけですよ。
最後は夜が明けると王子様は何にも知らずに隣の国の王女様と結婚しちゃって、人魚姫は海の泡になって消えちゃうわけです。愛した人のために命をかけたのに、何にも得られない。
だからシンデレラはダメだけど、人魚姫じゃなきゃと思いました。自分の意思というのがすごく大事だから。シンデレラではなく、目指せ人魚姫! と子供心にも思ってましたね。
同じおとぎ話でも『人魚姫』の方が好きです。人魚姫も王子様に恋しますよ、ろくにつきあってもいないのに一目惚れで。
それで王子様のそばに行きたい、私は人間の世界に行きたいから足が欲しいと魔法使いに頼んだ時に、交換条件を出されるわけです。お前に足を与えてやろう。でもそのかわりに声をもらうよと。
何かをもらうと、何かを犠牲にしないといけないんですよね。当たり前。お金が欲しいんだったら働かなきゃいけないというのが当たり前。だから足が欲しいなら声を犠牲にする。だから足は出来たけど王子様のそばに行っても喋れない。
さらに王子への恋が成就できればいいんですけど、王子が他の女と結婚したりすると、海の泡になっちゃうんだよという恐ろしい呪い、リスクがあるわけですよ。
将来は約束されていなくて、楽しい未来と恐ろしい未来がある。どっちに転がるかわからないけど、飛び込むかと言われて、人魚姫は飛び込むわけですよね。
ところが結果的には、王子様は隣の国の王女様と婚約が決まってしまう。明日は結婚式という時に、別の人魚に短剣を渡されるわけです。王子様が死んだら呪いが解けて元の人魚に戻れると。人魚姫は王子様の寝室に忍び入るんですが、やはり殺すことはできない。
さらに言えば相手の王子は、人魚姫が何を犠牲にして自分のそばに来たのかわかっていない。そもそもの出会いだった、荒れ狂った海の中で自分を助けてくれたのが人魚姫だったことも、何も覚えていない。彼女の真意を知らないわけでしょ? だけど人魚姫は自分の恋に殉じるわけですよ。
最後は夜が明けると王子様は何にも知らずに隣の国の王女様と結婚しちゃって、人魚姫は海の泡になって消えちゃうわけです。愛した人のために命をかけたのに、何にも得られない。
だからシンデレラはダメだけど、人魚姫じゃなきゃと思いました。自分の意思というのがすごく大事だから。シンデレラではなく、目指せ人魚姫! と子供心にも思ってましたね。

残間
それをいくつぐらいの時に思ってたんですか。
里中
11~2歳、小学校の頃です。
とにかく私が漫画家になりたいと思った時、少女漫画にシンデレラがいっぱいたんですよ。白馬の王子様もいっぱいいて、ただただ耐えて、泣いて、おとなしく耐えてたら、ある日いいことがあるみたいな。
冗談じゃないですよね。自分でなんとかせんか! そう思うんですよ。だから自分でなんとかする女の子、自分の意思で決意して自分で選びとる子を描きたいと思ってました。絶対に読者の女の子たちは強いんだから。
とにかく私が漫画家になりたいと思った時、少女漫画にシンデレラがいっぱいたんですよ。白馬の王子様もいっぱいいて、ただただ耐えて、泣いて、おとなしく耐えてたら、ある日いいことがあるみたいな。
冗談じゃないですよね。自分でなんとかせんか! そう思うんですよ。だから自分でなんとかする女の子、自分の意思で決意して自分で選びとる子を描きたいと思ってました。絶対に読者の女の子たちは強いんだから。
残間
待望してるだろうと。
でも当時の少女漫画誌の編集部は、ほとんど男の人でしたよね。「そういうのは受けないですよ」とか、言われませんでした?
でも当時の少女漫画誌の編集部は、ほとんど男の人でしたよね。「そういうのは受けないですよ」とか、言われませんでした?
里中
言われましたよ。「里中さん、読者はねえ、主人公が可哀想だから感情移入してくれるんだよ。この辺で泣かせなくっちゃ」とか、「ここで一度絶望したほうがいいんじゃない?」とかね。女の子のそういうか弱いところを見て、ああ幸せになって欲しいと読者は思うんだよって。
でも、こっちも駆け出しの頃はそうは逆らえないです。それならいいよと言われれば、仕事がなくなってしまいますから。「そうですね、はいわかりました」と言って、そこは最小限に留めながら、なんとか上手くやってました。それでも、「もうちょっと素直で可愛げのあるほうがいいんじゃないの?」とずいぶん言われましたけど。
編集の人も良かれと思って言ってるんですよ。ずっとそれでやってきて、そういうのが女の子に受けるっていう実績がありますし。でもそう思いながら、内心反発するわけです。おじさんだから何にもわかんないんだとか。それで何とかジリジリと圧力を押し返す感じでしたね。
でも、こっちも駆け出しの頃はそうは逆らえないです。それならいいよと言われれば、仕事がなくなってしまいますから。「そうですね、はいわかりました」と言って、そこは最小限に留めながら、なんとか上手くやってました。それでも、「もうちょっと素直で可愛げのあるほうがいいんじゃないの?」とずいぶん言われましたけど。
編集の人も良かれと思って言ってるんですよ。ずっとそれでやってきて、そういうのが女の子に受けるっていう実績がありますし。でもそう思いながら、内心反発するわけです。おじさんだから何にもわかんないんだとか。それで何とかジリジリと圧力を押し返す感じでしたね。
(Part2に続く)

Part1 少女漫画にニューヒーローを
↓
Part2 万葉の世界を描く
↓
Part3 感動の共有は国境を越える