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上向きの日も、下向きの日も、今を楽しむ 4/4

浅葉克己さん(アートディレクター)

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vol.4 誘いが来ないなら、自分から行けばいいんです



残間
今のデザイン界はどうですか? 70年代、80年代のデザイン界の勢いと比べて。

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浅葉
そうですね……学生や若手のデザイナーたちを見ていても、昔と遜色ないなと思うんです。
領域は昔ほど限定されていなくて、アートディレクターをやれば、タイポグラファーもやる、みたいな人が増えています。僕もそうですけどね。

残間
どこかのインタビューで、「仕事、あらゆるパーティの誘いは断らない」と仰っているのを見ましたが……。パーティーって、年をとるごとに面倒になりませんか?

浅葉
今もできる限り行っていますよ。
パーティに行くと、必ず新しい人との出会いがありますから。面白い人を探してるんだな。
同世代はみんな亡くなってしまいますからね。寂しいのと、困るのと。

残間
日本全体はどうですか?

浅葉
借金が多いとか、オリンピックの問題とか、色々あるとは思うけど、僕は「どっこい、ニッポン。」だと思っているんです。全然駄目じゃない。そんな簡単には負けないんじゃないかな、と。

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※クリックで画像が大きくなります。

でも、今の若い子は発声がよくないから、桑沢デザイン研究所で僕が担当しているゼミでは、生徒に発声練習をやらせようかな、と考えているところ。

残間
発声……ですか…………

浅葉
そう。昔は僕、テレビぴあという番組の司会者を1年やったことがあるんですが……。

残間
それってあの、1年間一言もしゃべらなかった司会者として伝説の……。

浅葉
そう(笑)。

残間
あれ、語り草になっていますよ。
「今週こそ浅葉さんが喋るんじゃないか」という緊張感で毎回見ていました。今も、番組の内容は覚えていないけど、浅葉さんの挨拶だけは強烈に覚えています。

確か浅葉さんと誰かもう1人司会者がいたんですよね。
浅葉さんは番組の最初に「こんにちは」、最後に「さようなら」とお辞儀して、あとは無言。

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浅葉
あれは、台本に僕の言葉だけが書かれていなかったんだよ。突っ込んでもいいとは言われていたけど、台本を乱しちゃうでしょ。仕方ないよね(笑)。
それで、その番組は毎週収録前にボイストレーナーが発声練習を施してくれたんですね。「ばらばりばらばる」、みたいな。

残間
一回もしゃべらなかったのに?

浅葉
そう。で、発声練習はを今もやってるんです。毎朝5分ぐらい。これをやると調子が良くてね。
ゼミ生にもやらせようかなと。

残間
浅葉さんって、ひとつのことがずっと続きますよね。
節目節目で年齢を感じることってないんですか?

浅葉
うーん……ないな。卓球で体を鍛えているお陰でしょうかね。いつでも今が一番楽しいですよ。
僕、辛いことってあんまりないんです。全部修行だから、やってれば解決しますよ。

僕が卓球を好きなのは、来るものを打てばいいからなんですが、人生も同じだと思っています。
来たものをその時々で打ち返していたらここまできた、という感じ。来るもの拒まずで。

残間
それって簡単そうに見えてなかなか難しいんですよね。上手く打ち返せることのほうが少ない。空振りしちゃいますから。
私は「来るもの」が来なくなってしまったらどうしよう、と考えることがあるんですが……。

浅葉
僕は来なくなったら自分で行っちゃうかな。
この間、伊勢丹とドコモのコラボイベントで、手ぬぐいのデザインをやったんですけどね。「上向く」と、「下向く」というタイトルで2枚作りました。このデザイン、気に入っているんです。
たとえば宴会なんかで気分がいいときは「上向く」、書を書いたり卓球の特訓をするときは「下向く」。それぞれを使うんです。
人生、全部上を向いていても馬鹿みたいですから(笑)。

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残間
上向くと下向くかあ。いいですね。下向くがあってもいいんだ。
いやあ、こんなに屈託なく、楽しいインタビューは初めてでした。こちらまで元気になります。
今日はありがとうございました。

浅葉
ありがとうございました。
(終り/2015年7月取材)

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vol.1 アートも卓球も書道も、まだまだ続きます

vol.2 卓球も人生も、来たものを打ち返してここまで来た

vol.3 実現し損なったアイデアが、年々増えていく

vol.4 誘いが来なくなったら、自分から行けばいいんです




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