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41st:差別の心

2020.04.15

自宅にこもる時間が長くなってから、
youtubeやamazon prime、netflixなどの
コンテンツを以前に増して
見るようになりました。

中でも、今はNetflixで配信中の
「テラスハウス」がマイブームです。
以前はフジテレビで放送もされて居たので、
ご存知の方も多いと思いますが、
見知らぬ男女6名が共同生活する様子を
ただただ記録した番組です。

洗練された素敵なおうちと、
素敵な車が用意された生活の中で、
価値観の違いによるぶつかり合い、
それぞれが夢を追う様子、
恋愛など、
様々な人間模様が描かれており、
非常に見応えがあります。

Netflixで世界190カ国に向けて配信されているため、
海外でも見ることができるのですが、
とても人気があるようで、
2018年にはアメリカの
「2018年のベストテレビ番組トップ10」、
第6位に選ばれて居ます。
出演者が海外旅行をすると、
「テラスハウスに出て居たね!」と
声をかけられることも少なくないそうです。

2012年から神奈川・葉山を舞台にスタートし、
東京編、ハワイ編、軽井沢編、再び東京編と、
シリーズ化され今日まで続いて居ます。

ちょうど一昨日、
新型コロナウィルス感染拡大の影響で、
共同生活がストップとなり、
配信も延期されると発表されニュースになりました。

さて、そんなテラスハウスを
2012年の番組開始当初以来、
久しぶりに見始めたのですが、
これがなんとも面白い。
人気番組だけあって、
出演希望者も非常に多いのですが、
その狭き門をくぐり抜けてきた
登場人物なだけあって、
それぞれ個性豊かなのです。

自粛生活になってからというもの毎晩、
土日に至っては一日中、
テラスハウスを見ているのですが、
昨晩、軽井沢編を見ている中で、
「全米が泣いた!」と触れ込みのある
感動ヒューマン映画を見たばりに、
号泣してしまうシーンがありました。

ある日、21歳のメイアクアップアーティストを目指す、
ジャニーズの子かと思うほどの美形青年が
入居してきたのですが、
(生活の中で各人の決断による、
退去が許されていて、
一人メンバーが卒業すると
同性の新メンバーが入居してくるシステムです。)

入居目的を
「自分はもしかしたらバイセクシャルかもしれない。
これまで男性とお付き合いをしたことはないし、
女の子と恋愛をしてきたのだけど、
なんとなくそんな気がしている。
友達にも相談できずに来たけれど、
そんな自分の気持ちをはっきりするために、
ここに来ました。」
と、話すのです。

バイセクシャルとは、
恋愛対象が異性だけではなく、
同性も含まれる性的指向のことです。

最近ではLGBTなんて言葉もよく聞かれるようになり、
そういった性的マイノリティに対する、
偏見は少なくなって来て居ます。
というよりも、そういった指向の人たちに対して、
「差別をするのはやめよう」という
運動が盛んになっていると言った方が正確かもしれません。
(LGBTとは
レズビアン、
ゲイと言った同性愛者、
バイセクシャル、
トランスジェンダー:身体的性別と心の性別が一致しない障害
の頭文字をとった言葉です。)


言葉も考え方も、
浸透して来てはいるものの、
LGBTの人たちはまだまだ
肩身の狭い思いをしていることでしょう。
特段日本においては、その傾向は強いと言われて居ます。

そんな中で「テラスハウス」に
「自分がバイかもしれないことを明らかにしたい」と
入居して来た彼の覚悟に、
私は初登場の頃から胸を打たれ、
注目して見て居ました。

共同生活の中で彼は、
ある日男性メンバーをお出かけに誘い、
軽井沢の素敵なお蕎麦やさんで食事をし、
アスレチック施設のようなところに出かけ、
アクティビティを楽しみました。

その日を終えた後、
仲良くしている女子メンバーに
「今日はどうだった?」と尋ねられると、
「とっても楽しかったよ!
でもやっぱり、同性の友達と遊んでいるというよりも、
憧れの人と遊んでいるって感覚で、
今日のお出かけは僕にとって『デート』だな、と感じたよ。
僕はやっぱりバイセクシャルだって確信した。
それがわかったからにはここに来た目的は達成したし、
明日、『テラスハウス』を卒業するね。」
と、答えたのです。

彼はメイクアップアーティストを目指しているので、
女性メンバーに練習がてら
お化粧を施してあげたりしながら、
それぞれの悩みを聞いたり、
親交が深まっていたこともあり、
突然の卒業宣言に
メンバーはみんな涙していました。

私はというと、
これまでの出演者たちは
「デート」を一度したら、
そこからさらに仲を深めていけるように、
家の中でも一緒にいる時間を増やしたり、
また一緒に出かけられるように、
誘ったりして、恋愛を楽しめるのに、
彼の場合は同居メンバーへの「恋心」に
気づいたにも関わらず、
相手の性的指向が自分に向かうことがないことから、
即座に諦めざるを得ない、切なさと、
これまで誰にも相談することができなかったことを、
世界190カ国の人が見る番組内で
カミングアウトしたその勇気と、
それによって霧が晴れたような、
清々しい表情に心を打たれ、
思わず号泣してしまいました。

自分の本当の内面に気付いたことで、
これから生きやすくなる部分もあれば、
心無い言葉をぶつけられ、
傷つくことがあるでしょう。
様々な葛藤を経て、
その環境に足を踏み入れた彼は、
とても強く、
汚れない心をもった人なのだろうと感じました。

そんなストーリーを見て、
もし誰かと一緒にいたら、
ちょっと引かれてしまうくらい、
号泣している自分に気づいたとき、
「私はLGBTの人たちに、
本当は差別心を持っているから、
こんなに泣いているのではないか。」と、
疑問を抱きました。

表面上は誰が誰を愛そうと、
それが同性であっても自由だと思っているし、
個々の愛の形を否定することこそ、
ナンセンス、間違っていると考えています。

それでも、バイセクシャルを自覚し、
公表した彼を見て、
「これまでさぞ心の葛藤があったろう」と
勝手に推測し、
「これから大変なこともあるだろう」と
勝手に予測したのです。

それは、私の頭の中に、
「LGBTの人たちは大変だ」という
思い込みがあるからだと思うのです。

「異性愛者であることを自覚しました」と
誰かが発表しても、
正直なんとも思いません。
むしろ、
「普通のことをなぜわざわざ発表するの?」と、
思うと思います。

この時点で、私の頭の中には
「異性愛者であることが普通で、
LGBTであることは普通ではない」という
決めつけがあるということは明らかです。
それは紛れもなく「差別の心」でしょう。

それは社会の風潮からの影響や、
様々な要素が重なり合って
生まれた考えだと思うのですが、
個人の性的指向に対する、
本当の平等を世の中が手に入れるためには、
個々の考え方も変えなくてはいけないと、感じました。

と言っても、無理矢理思考を強制することは、
不自然だし、それは意味がありません。
「差別」は結局は無知が産むものだと考えるので、
なんとなく「いつか平等が訪れれば良いな」ではなく、
現状を知るよう、
アンテナを張っていきたいなと思います。
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