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32nd:ワニが死んだ

2020.03.23

このコラムが始まったばかりの頃、
Twitterについての記事を書きました。
その際、私が最近ハマっている
コンテンツとして
「100日後に死ぬワニ」を
ご紹介したことを覚えていてくださる方は
いらっしゃるでしょうか?

あの日からも毎日、
ワニくんの日々は過ぎていき、
3月20日、
ついにワニくんは死にました。

友達たちとお花見をする予定で、
この日を楽しみにしていたワニくん。
集合時間になっても現れず、
友人のネズミくんが迎えに行く途中、
ワニくんは道路に飛び出した
見知らぬヒヨコちゃんを助け、
そのまま交通事故に遭って
命を落としてしまいました。

「100日ワニ」は
毎日19時に更新されていたのですが、
最終日の19時になっても
なかなか更新されず、
友人とLINEで
「更新されなくない?!」
「もしかして、
 死んじゃったから100日目の
 更新はないってオチなんじゃ?!」
などと、あぁだこうだ、
推察しながらTwitterを
何度も更新してすごしました。

そうすると19時20分頃、
ようやく更新され、
ワニくんの死が描かれました。

最後の日の前日まで、
ワニくんの日常は平穏そのものでした。
まさか3月20日に命を落とすなどと、
本人も友人も想像するわけもない、
ごくごく当たり前の時間を過ごしていました。

実はこのストーリーは、
作者の実体験が背景にあるそうです。
友人をあるとき交通事故で亡くしたというのです。
ワニくんが友人で、
ネズミくんが作者本人。
作者はこの悲しい経験を通じて、
明日があることは誰にとっても当たり前ではないことを
伝えたかったのだと思います。

ワニくんは、
他者に優しくて、
ささいなことにも喜べて、
他者を守る勇気があって、
少し繊細で、
アルバイトを頑張る、
「いいやつ」でした。

そのワニくんを毎日、
「あと〇日で死んでしまうんだ…」と、
思いながら見続けてきた私は、
3月20日19時20分、
スマホを見つめ、ポロポロ泣きながら、
代官山の線路沿いを歩いていました。
(歩きスマホだめ、絶対×)

「100日ワニ」は日に日に話題を呼び、
朝のワイドショーをはじめ、
いろいろな場所で取り上げられていたので、
目にされていた方も多いことでしょう。
新型コロナで話題が持ち切りのこの時期に、
3月20日「ワニくん」は
Twitterで世界トレンド1位となるほどでした。

残念ながら、その後、
「ワニくんグッズ発売」
「ワニくん×人気アーティストのコラボ動画発表」
「ワニくん映画化決定」
などなど、
様々な発表があり、
それを見たネット民が
「結局金儲けか!」「電通が絡んでいるんじゃないのか?!」と
いちゃもんをつけ始め、
炎上してしまいました。

私個人の意見としては、
これまでの100日間
TwitterやInstagramを通じて、
無料でこのコンテンツを楽しませてもらったのだから、
作者には可能な限り儲けて欲しいし、
ぜひそれを糧にまた新しい素敵なコンテンツを
生み出して欲しいと感じます。

それに、これだけ多くの人を魅了したのだから、
様々な人たちがさらに盛り上げるべく、
いろいろな話(映画化やグッズ制作など)を
持ちかけてくるのは当然だと思うし、
それは「儲けてやろう」というものではなく、
「さらに盛り上げよう」という気持ちが
前提だと想像します。
多くの人が喜ぶものは、
その分「利益」はついてくるでしょうし、
くるべきです。

それに対して、
「金儲け」を悪だとし、
これまで楽しませてくれた作者を非難するのは
非常に悲しい人の性だなぁとガッカリしました。

友人に言わせれば、
「死を取り扱うからには、
 やはりそれを軽んじてはいけない。
 弔う気持ちや人々の悲しみを
 踏みにじったり、冷めさせてはいけないよね。」
とのことで、それは納得できなくもないですが、
情報の早いネット時代、
49日も寝かせれば忘れられてしまうかもしれないし、
難しい判断が必要だなぁと思います。

100日間愛されたコンテンツも、
1日も経たずして、攻撃の的となる…。
ネット時代に完全に
愛されるコンテンツを作るのは
不可能なのだろうと
ゆるやかな確信を持った週末でした。

とにもかくにも、
100日楽しませてくれた
ワニくんに敬意を表します。

ワニくん、ありがとう。
そして安らかに…。
wakudamailto