ホーム>連載>ジョフロワ江美のパリ便り vol.11

ジョフロワ江美のパリ便り vol.11

2025.03.20

パリでの子育て

公園の犬散歩が楽しくなる季節を迎えました。
透き通る青空、光輝く太陽、
生命力に溢れる新緑、
ビタミンカラーの花々、
そして子ども達の賑やかな遊び声。
暗くて長い冬が終わったことを実感します。


【春の訪れ、
鮮やかな黄色の、
Jonquille(ラッパスイセン)】



【シャンゼリゼ公園の桜】

先日、友達の初孫が受ける、
Baptême (洗礼式)に列席しました。
赤ちゃんのママは友人の娘、
幼稚園の頃から親しくしています。
家族同士で田舎のバカンスも、
一緒に過ごしていたので、
嬉しい気持ちがいっぱいでした。
小さな赤ちゃんを見つめながら、
初心者ママとして娘達を育てることに、
一生懸命だった頃のことが次々と思い出されました。

異国で初めての育児に、
不安と心配ばかりの日々を過ごしていた時、
同じアパートの年上マダム達や、
近所のパン屋さん、マルシェの人達に、
「vous allez bien ?(調子はいいですか?)
「Elle est très mignonne (赤ちゃん可愛いね)」
「en pleine forme (元気に育っているね)」……等々、
会う度に短い言葉で話しかけてくださいました。
ベビーカーでの散歩でも、
通りがかりのマダムが、
赤ちゃんと私に、
ニコッと笑顔を向けてくださる。
何気ない日常の一コマでしたが、
育児の孤独感が癒されたものです。
子ども達が幼稚園の頃は、
通園途中のチーズ屋ご夫婦のお店を、
頻繁に立ち寄りました。
幼稚園のお絵描きや作品を見ていただくためです。
ご夫婦の息子さん家族はアメリカ在住、
孫達に会えるのは夏のバカンスだけ。
そして、我が家の娘達が、
日本の祖父母と過ごすのは年 1~2 回。
お互いに大切な家族が遠い国にいるということで、
大好きな祖父母、愛おしい孫への思いを、
感じとりながら交流していたのです。


【週末、公園のプレイスクール。
民間団体が主催。
赤ちゃんから小学生まで参加します】


自己主張が強く、
プライドの高いフランス人のイメージからは、
意外かもしれませんが、
温かくさりげない”おせっかい”が、
よく見受けられます。

電車の中で隣り合わせた親子と、
会話するマダム。
公園や歩道で子ども達が走り回り、
少々危ない行動をした時、
優しい声で注意するムッシュ。
バスの乗り降りや地下鉄の階段で、
ベビーカーを手助けする若者。
私が育った日本の昭和時代を思い出して、
温かい気持ちになります。

赤ちゃんや子どもを連れての外出時、
周りの方々の何気ない親切や声かけを受けることで、
育児中の精神的な負担やストレスが、
軽減されると思います。
慣れない子育てに、
疲れ気味なパパとママに心の余裕が出来ると、
子ども達も笑顔になります。

20 年前の私は初心者ママとして、
周囲の人々に支えていただきました。
現在は逆の立場になりましたが、
街中で出会う子ども達や若い世代との、
繋がりを楽しむ毎日です。


【愛犬ソラの幼稚園?
トレーナーさんと、
仲間達との森散歩】









ジョフロワ 江美
1963年広島県生まれ。
神戸松蔭女子学院大学卒業。
1995年からパリ在住。
日本在住時は雑誌『CLASSY』編集部勤務。
渡仏後は雑誌『25ans』の
パリ現地コーディネーター、
ライターを担当。
在仏日本人会「絵本の読み聞かせ」、
生活困窮者を支援するフードバンクなどの
各種ボランティア活動に従事中。



【ご感想などのメッセージ】
こちらのフォーム(クラブ・ウィルビー事務局宛て)から
お送りください。