残間
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料理はもう若い頃から作っていた感じですか?
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栗原 |
そうですね。娘時代から結構やってました。
大学時代は兄と同居してたんですが、
かなり自炊してましたよ。
トンカツ揚げたりポテトサラダ作ったり、
まあ、普通の奥さんが作るものは一通りできましたね。
実家も店屋物や外食をほとんどしませんでしたし、
ごく普通に作るようになりました。
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残間 |
仕事で地方も多いと思いますが、
今も東京にいる時は家族に晩ご飯とか作ってるんですよね。
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栗原 |
ええ、作りますね。
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残間 |
仕事で途方もない量の料理を作ってると思いますが、
さらに家で作ってると、嫌になったりしません?
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栗原 |
それはないですね。体調でも悪ければ別ですけど。
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残間 |
なんでこんなことを言うかというと、
主婦の方でいるんですよ。
子どもがいるうちは何とか頑張ったけど、
いなくなったら、もうイヤと言う人。
時にはキッチンにも入りたくなくなるんですって。
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栗原 |
私がよく主婦の方に言うのが、
一回の料理で一回の食事の準備だけをしてちゃダメですよ、
ということです。
つまり晩ご飯の仕度に、メインを作って、煮物を作って、
サラダ、お味噌汁と作ったとしますよね。
でも、それだけだと、
晩ご飯を食べてしまえば全部なくなっちゃいますし、
次の食事はまた一からやらなきゃいけないですよね。
たとえばメインがエビフライだとします。
だったら衣の材料は同じなんですから、
エビフライだけじゃなくて、
魚も肉もフライの下ごしらえをして冷凍しておくんですよ。
すると次回以降の食事の仕度がとても楽ですよね。
急な来客も平気。
そんな風に次から次へと考えながら
料理をしていく習慣をつけると、かなり楽になる
と思いますけど。
エビフライだったらこんなやり方もありますね。
立派なエビが手に入ったらいいんですけど、
小さなエビだと、身の上の方は
ふっくらしていていいんですが、
尻尾に近い方は固くて美味しくないじゃないですか。
だからフライにするのは、上半分だけにして
小さなフライにするか、
卵と小麦粉を練ってそれを三つくらいつなげて揚げるんです。
これだと美味しいです。
それで残った方は身を叩いて冷凍保存して、
後でそれに鶏ひき肉、玉ねぎ、シャンツァイを加えて、
ナンプラーで味つけして、
ベトナム風の春巻きにしたりします。
そういうふうに次のために作ったものが、
冷凍庫にあると思うだけで楽しくなります。
あれをハンバーグにしようとか、つくねにしようとか。
セロリを入れて歯触りをよくしようとか、
サーモンと一緒に叩いちゃおうとか、
いろいろ思いつきますし。
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残間 |
なるほどねえ。
私、つくづく思うんですが、
料理って仕事と同じで段取りですよね。
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栗原 |
そう、段取り、段取り!
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残間 |
材料探しにしても、
そういえばスーパーであれが安売りしていたなとか、
まずマーケティングリサーチがあって、
それで家にはコンロがいくつあって、
鍋や器がこんなのがあると自分の陣容を考慮した上で、
下ごしらえがあったり、いろんなことをしますよね。
温かいもの温かく、冷たいものは冷たく出すには
どの順番に火を通すとか、いろんな段取りがあります。
世の中の仕事とまったく同じですよ。
だから料理の段取りが悪い人は、仕事の段取りもダメですよ。
すぐキッチンがとっちらかっちゃう人はダメ。
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栗原 |
いやあ………、じゃあ私が仕事ができるかというと、
そこは別なんですけど(笑)、確かに料理に段取りは必要です。
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