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新春特別インタビュー 栗原はるみさんのお宅に、遊びに行ってきました。
第1回
第2回
第3回
第4回
第5回
最終回
 
第1回
「私なら、その器は使わないな」
残間 栗原さんの料理家としての原点って、何になるんですか。

栗原 え、原点って、初めにやった仕事ということ?

残間 いえいえ、料理というものが、
この先、自分の人生で大きな部分を占めるんだろうなあと
思った出来事というか。

栗原 あぁ……、それは私が5冊目に出した
『ごちそうさまが、ききたくて。』(92年)という本が
売れた時ですね。
もうその時には
10年くらい今のように仕事をしていたんですが、
それは、私が以前からやりたいと思っていたことを
実現させた本だったんです。
だからこの本が共感されなければ、
料理は私には職業としては厳しいなあと思ってました。

残間 続編とともにミリオン・セラーになった本ですね。
では、その「やりたかったこと」というのは。

写真:残間里江子、栗原はるみ

栗原 その頃は料理ブームというのもあって、
料理の本や雑誌では、
完全に撮影現場での役割分担が出来上がっていたんですね。
つまり料理は料理家が作るけれど、
器選びやテーブルコーディネートはスタイリストがやると。
すごいんですよ、
撮影となると、ワンボックスに食器を満載して
持ってくるんです。
でも「私ならこの料理にその器は使わないな」って思うことが、
結構多かったんですね。
スタイリストさんも、
撮影前に完全に料理の内容を
把握しているわけではないですから、
無理なところもあったと思いますが、
次の本を作る時は、料理もスタイリングも、
どうしても全部自分でやりたかったんです。

残間 それまで、どうして自分でやらなかったんですか?

栗原 言えませんよ! 
その頃はペーペーなんですから。
それに料理家だからといって、みんながみんな、
それほどたくさん器を持っているわけではないですし、
本の中でバリエーションをつける意味で
仕方がない面もあったんです。

写真:栗原はるみ

残間 食器メーカーとのタイアップなんて事情もありそうです。

栗原 そういうことも、ありましたね。
でも考えたらおかしいじゃないですか。
私は普段、家族が美味しいと思うものを作って、
自分の好きな器に盛って出しているので、
本にする時もそうしたかったのです。

残間 家族が美味しいと思ってくれる料理を、
そのままの世界で伝えたかったと。
そういえば栗原さんのお宅でご飯をご馳走になると驚くのは、
本に出ていた料理や器がそのまま出てくるところです。
「うわあ、本と同じだ」って(笑)。

栗原 うちの食器は、撮影用と自宅用を全然区別していません。

残間 料理家の方って我が家の家庭料理と言いつつも、
仕事となると、ついどこかスペシャルにしてしまうんですよ。
家庭そのままではないんです。
女優さんにしても「プライベートライフ」とかいっても、
スタイリストが用意したお仕着せを着てることって
多いですものね。
栗原さんのセンスが良かったのはもちろんなんですが、
そこのところの、
家庭の食卓からの“直出し”感が新鮮だったんでしょうね。
『ごちそうさまが、ききたくて。』を見た人たちが、
何かこの本は違うぞと感じたんだと思います。
なるほど。あの本が売れて、
このやり方でいいんだと自信を深めたわけですね。


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