大石
坂村さんがおっしゃるように、技術も制度も
どんどん変わっていかなきゃいけないし、
そうしないと世界に置いていかれると
危機感も覚えましたけど、私の仕事は、
その中で変わらないものを描くことだと思うのです。

「昔は良かった」って言っても意味ないですけれど、
かつては人の心には、「お天道さまは見てる」
という意識がありました。
誰も見てなくても、こんな事はやっちゃいけないとか、
真面目にやんなきゃいけないとか、
そういうものがあったはずなんですけど、
今そういうものがすごく失われてきてると思います。
私はそれをドラマの中で
語り継いで行きたいとも思うんですよね、この頃。

『セカンドバージン』っていうのは、
目茶苦茶アナーキーな話なんだけど、
その中でも挑戦する心であるとか、
誰かを大事にする心だとか、
そういう変化しない美しさを語り継ぐのが、
私たち作り手の使命だと思っています。
忘れがちなものを拾い上げるというか。

日本語もそうで、
今どきの若い人はこんな言い方しないんでしょうけど、
あえて書いている言葉もあります。
「たゆたう」だとか、
美しい日本語も残していきたいと思ってます。

だから坂村さんのように"変化"に携わる人たちには、
頑張ってリードして欲しいし、
外国には行かないで欲しいんですが、
私は"変わらないもの"を求めたいなあと思いますね。






残間

外国といえば、大石さんは韓国のドラマにも
脚本を書きましたね。(2009年『顔と心と愛の相関関係』)



大石 ええ、韓国で連ドラの話もあります。
他にもハリウッドですとか、
国境を越える話は結構あるんですが、難しいのは、
「寒いね」と「寒いですね」では全然違うわけで、
そこの細かい日本語の勝負に私は賭けているから、
これが韓国語や英語になったらどうなるのかな、
という気持ちはあります。
ストーリーだけ売ってる分にはいいんですけど、
そこは微妙ですね。

ただ今のままでは市場は小さいですから、
国境を越えていかないと、それこそ
ゆったり生きることは出来ないでしょうから(笑)、
挑戦はしてみたいとは思っています。



残間 『セカンドバージン』は小説版も人気ですけど、
あれは脚本が先にあったんですよね。



大石 脚本が先です。
今、テレビドラマって、
漫画や小説が原作のものが多いじゃないですか。
私はオリジナルが出せないのなら
脚本家でいる意味はないと思うので、
私はオリジナルに命を賭けています。
ですから『セカンドバージン』も
全くオリジナルで脚本を書いたんですが、
それを面白いと出版社が言ってくれて、
それで小説にもしたんです。
ただ、脚本の方が10倍くらい迫力がありますけれどね。

そういえば『セカンドバージン』は
主人公の相手が金融マンなので、
いろいろと取材したんですが、
株とコモディティ(先物取引き)を同じ口座で
取引きできないのって、日本だけなんですってね。
みんな10年くらい前から、
みんな同口座でやりたいと思ってるのに、
制度をなかなか変えられない。

それで取材であった金融庁、通産省関係の方も、
このままでは日本の金融市場は
ローカル・マーケットに落ちてしまうと、
すごく危機感を持っていました。
彼らも、日本がいかに制度を変えるのに
時間がかかるかを嘆いていましたよ。
私は「コモディティ」って何ですか? 
みたいな調子だったので、
バカと思われてたでしょうけど(笑)、
さっき坂村さんがおっしゃってた事と、
同じ事を言ってましたね。



坂村 分野は違うけど同じ事ですね。





大石

法律を変えるのに時間がかかり過ぎて、
そのことがいかに国民を貧しくさせるかを
熱弁されました。



残間 役所の人もそう思っているんだ。



大石 みんな、同じ事を言ってましたね。



坂村 閉鎖的だったらいいんですけどね。
それこそ鎖国とか。
でも他とやりとりしてるんですから、
よそとの差とかが出てきてしまいます。



残間 坂本龍馬がいればいいんでしょうけど、
そんなものはいないし、いたって33歳で死んじゃうし。



大石 龍馬いいですね。
私なんか60まで生きる気なんてなかったのに、
ホントに嫌だわ。生き急ぎたい!



残間 (笑)それでも還暦になるんですが、
いかがでしょう2011年は?