【3/29】今年の桜は……。

2018/03/29 10:45

第3521回
32時25分

朝から、
3ヶ月に一度の、
消化器内科の検診があり、
3ヶ月分の薬を貰い、
6月の検診予約と、
12月の大腸内視鏡検査を、
申し込んで来ました。
（もう12月のこと！）

次の仕事まで、
少し時間があったので、
回り道をして、
青山墓地に行き、
この季節、
生前の母と散策した、
桜がトンネル状になっている、
並木道を歩きました

これまでは、
毎年桜を観る度に、
「来年の桜が咲くまでは！」と、
いろいろな決意をしたものですが、
今年は淡々とした気持ちで、
散りかけている桜を観ています。

50代半ばくらいまでは、
満開の桜を観ながら、
「来年の桜までには夫を捨てたい！」とか
「来年の桜が咲く頃までには、
子どもが自立して、
家を出て行って欲しい！」などと、
言っている女友達もいましたが、
還暦を過ぎたあたりから、
「あと何回桜を観られるのかしら」とか、
「来年の桜まで元気でいようね」などと、
穏やかな感想に変わってきました。

私には（残念ながら）
長きにわたって夫もいませんし、
息子も時々冷たいとさえ思うほど、
自立志向の強い人間ですから、
これまで桜に寄せる思いはただ一つ、
自分自身の行く末、
突きつめると「仕事」のことしか、
ありませんでした。
「来年の桜までには、
新しい仕事にチャレンジをしたい」とか、
「来年、再びこの桜が開花する時は、
もっともっとスキルアップをして、
いい仕事をしていたい」と、いうように、
「より良き仕事人生」を祈念しながら、
桜の花を観ていました。

それが、
今年は憑き物が落ちたみたいに、
何も思わないのです。
「余程のことがない限りは、
来年も咲くんだろうな」とか、
「綺麗だとは思うけど、
これもまたすぐに散って、
350日以上もの雌伏の日々に、
入るのだろうな」と、いった具合で、
桜の花に、
特段の思いが重ならないのです。

これは、
諦めなのか。
年をとって感性そのものが、
鈍ってしまったのか。
……そう思うと、
ちょっと淋しい気がしたので、
「タクシーの中からガラス越しに、
観ているせいかもしれない。
もっとじっくり観れば、
何かを感じるのではないかしら」と、
自分を再確認するために、
満開を過ぎて、
散りそうになってから、
慌てて、
各所の桜を観に行きました。

桜吹雪が舞い散る中、
独りで桜の樹の下を歩きながら、
この変化を分析（？）してみたところ、
好むと好まざるとに関わらず、
ここまでこうして、
生きて来てしまったのだから、
もう桜に代表される「他者」に、
思いをかけることなどせず、
自分に出来ることを、
ただただ静かに、
やり続けるしかないという、
心境になったからではないかと、
思い至りました。

……もっと正直に言ってしまえば、
桜の花に自分を重ねて、
「一年間」という、
猶予期間を貰ったがごとく、
「来年までは〜」と、
思いながら過ごすほど、
「時間はない」ということに、
気づいたのです。

出来ない人は、
いつまでたっても出来ない。
やれないのは、
やろうとしないから、
否、やらないから。
……それが解ってしまった今、
桜を「克己心」の目安にするのは、
桜に申し訳ないと思ったのです。

老木になって、
伐りとられるまで、
何人もの人を感動させ、
来し方行く末を考えさせる桜は、
本当に凄い存在ですよね。

気の変わりやすい私のことですから、
来年はどう考えているか判りませんが、
今年の桜は、
無欲で心静かに、
観賞したいと思っています。