1/28(木)26年前の有楽町西武は、若者文化の発信源だった。

icon_zamma.jpg1月28日(木)24時35分

数日前の新聞報道で、
「有楽町西武が、今年12月下旬に閉店」
という記事を読んで、感無量だった。

有楽町西武は1984年に開業したのだが、
一ヶ月に亘るオープニング・イべントは、
会社を創って4年目の、
弊社・キャンディッドが執り行なったのである。

当時、私の会社には、
東京芸大や筑波大などに在学中の、
ユニークな学生たちが出入り(たむろ)していた。
社員の中に彼らの兄貴格の人間がいたことから、
一人二人と訪ねて来るうちに、
誰が誰の友だちなのかも解らない感じで、
多い時は十人ぐらいが、
表参道の一本裏に入った質素なマンション・オフィスに集まり、
深夜まで話し込んでいた。

ある日、後に西武系の広告代理店に就職した筑波大の学生が、
「もうすぐ有楽町に西武百貨店が出来るんだけど、
宣伝担当の人から20代、30代が面白がる、
イベントが出来ないかって相談されたんですけど、
残間さん、一度西武の担当者と会って貰えませんか。
僕らだと仕事の話にならなくなるんで」
というようなことから始まった話なのである。

その頃、「不思議、大好き」や「おいしい生活」など、
西武のコピーを糸井重里さんが書いていたことから、
糸井さんに編集局長になって貰って、
日刊紙(夕刊)を発行し、
有楽町西武に来店した人たちに、
配布するという企画を立てたのである。

全部を糸井さんがやるのは大変なので、
日替わり編集長を糸井さんの友人たち、
天野祐吉、南伸坊、秋山道男、みうらじゅん、
泉麻人らに頼んで、(敬称略)
30日間タブロイド版の新聞を出し続けたのである。

まだパソコンはなかったので、
輪転機を入れようと思ったのだが、
小型でも重過ぎて、床荷重が足りず、
仕方なく数台のコピー機を駆使して作ったのであるが、
書き手も切り口も斬新で、
西武側がターゲットに狙っていた層にはとても好評だった。
(来店しないと手に入らないので、徐々に来店者が増加し、
最後の頃は終刊が惜しまれた)

この他にも、
展示とパフォーマンスを重ねた奇妙なインスタレーション、
「天使が通る」(というタイトルだと思ったが.......後に、
浅田彰と島田雅彦はこの題の対談集を出している.)
というイベントも実施した。
ここには前年1983年に「構造と力」がベストセラーになった、
26歳の京大助手・浅田彰や、
「優しいサヨクのための嬉遊曲」で文壇デビューしたばかりの島田雅彦、
東京ADC賞の最高賞を受賞した直後の日比野克彦ら、
新しい時代の到来を予感させる人たちに、
先輩格の中沢新一が加わり、(同じく敬称略)
正直何が何だか解らないアバンギャルドなイベントだった。

私は、あくまで我が社にたむろする若者たちの、
「営業窓口」という位置づけだったので、
完全な裏方だったのだが、(企画立案には関わったが、
ブツキングは「たむろ青年」たちだった)

今思うと、西武もよくあんな過激なイベントを、
実施させてくれたものだと思う。
(当時の西武は今は作家となっているが、
当時は旧セゾングループ総帥の堤清二氏が社長だった)

この流れが、
当時これまた毎日のように我が社を訪れては、
原稿を書いていた筑紫哲也氏が、
同じ1984年に「朝日ジャーナル」の編集長になった際、
「たむろ青年たち」のアドバイスを受けて立案したのが
「若者たちの神々」の企画だったのである。
(今だから言えるのだが、筑紫さんは、
「たむろ青年」たちとの出会いがなかったら、
「若者たちの神々」は出来なかったと思う)


.........あれから26年、
筑紫さんは旅立ってしまったが、
浅田さんをはじめとして、
みんなそれぞれの世界で影響力を持つ存在になっている。
しかし、浅田彰や島田雅彦や日比野克彦の面白さを、
いち早く感知し、世の中に知らしめようとした、
あの「たむろ青年」たちの行方はよく判らない。
中には音楽評論を書いている人もいると聞くが、
広告代理店に就職したというあの筑波大生のAクンは、
今でもあの時のような熱い思いを発しているだろうか。

いろんな領域の人たちが越境し、
不思議なエナジーを結集させて、
新しい文化基地になっていた有楽町西武も、
ほどなく幕を閉じる。

このあと、あの場所には、
どんな人たちの、
どんなエナジーが結集するのだろう。
そして、「立派な大人」になった、
かつての「若者の神々たち」は、
どこに歩みを進めるのであろうか。

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コメント(3)

 人々の文化への情熱の落日はどうして
起きてるのでしょう?

 無駄と思えるような事へのこだわり、
打算的ではない行為の消滅。

 結果主義、成果主義への人々の移行、
全てにランクをつけたがる人達、
そしてそれに群がる人達、
なんだか悲しい。

私達は大事なものを毎日の情報過多の中で
無くしてはいないかと
今日の『雨、アラレ』を
読んで感じました。

こんにちは。

いつもブログ拝見させて貰ってます。
毎回、楽しい話題が多くて更新が楽しみです。

また遊びに来ま~す!

デパートの閉店の話、これから、どうなってしまうのだろう?ネット通販…デフレ。店員さんと、話しを、しながら、洋服、化粧の流行を、直接聞きながらの楽しみあるのですが、人と人の触れ合いが、デパートにあると思います。あのデパートでしかない!と、言った商品、イベント…。デパートへ出掛けた子供の頃のワクワク感もう一度!

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1月16日(月)

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プロフィール

残間 里江子【プロデューサー】

1950年仙台市生まれ。アナウンサー、編集者などを経て、企画制作会社を設立。 プロデューサーとして出版、映像、文化イベントなどを多数手がける。著書多数。