1/18(月)浅川マキさんが作ってくれた茗荷の味噌汁。

icon_zamma.jpg1月18日(月)25時33分

浅川マキさんが亡くなった。
この1、2年、急に思い出しては、
どうしているのかなぁと気になっていた。

1970年代、
ニューミュージックを聴きながら、
浅川マキも聴いていた。
ライブも何回か行った。
黒いロングドレスと黒いブーツ。
いつのころか黒い服が好きになり、
この30年はほとんど黒ばかりを着ているが、
根底には「大人の黒」をまとった、
浅川マキがいたような気がする。

プロフィールを見ると、
「石川県金沢市出身」と書かれてあるのだが、
浅川マキに「現実」は不要で、
どこに生まれようが、どんな親に育てられようが、
誰と愛し合おうが、
日常や生活は一切関係なく、
存在そのものがカッコよかった。


もう二十数年になるだろうか。
「神田川」の作詞家・喜多絛忠さんと飲んでいた時、
「そうだ、この裏にマキが住んでいるんだ。
これからマキの家に行ってみよう」と言われた。
どこのマキか解らないままついて行くと、
六本木交差点近くの花屋の上の、
古いアパートの一室に浅川マキさんがいた。
やはり、そこも黒の世界で、
マキさんは、
暗い照明の中で黒っぽい服を着ていた。

真夜中に近い時間に突然訪ねた私たちを、
マキさんは喜んでいる風ではなかったが、
嫌がっている風でもなく、
数日前に来た人を再び迎えるように、
「あゝ、来たのね」という感じで招き入れてくれた。

喜多絛さんとは旧知の間柄らしく、
気軽に喋っているのだが、
(ステージトークと同じようにボソボソと.........)
私は距離感をどうとっていいのか判らないまま、
堅くなっていた。

小一時間の時が流れた頃、
マキさんは私たちに「お腹空いてない?」と問い、
返事も聞かないうちにキッチンに入って行った。
あの浅川マキが何か食べものを作っている.........。
何だか夢幻(ゆめまぼろし)の中にいるようだった。

ほどなく戻ってきた時、
お盆に味噌汁椀が二つ乗っていた。
これだけでも意表を突かれたが、
お椀の中を見て、
またもやちょっと驚いた。
味噌汁の実が、
こまかく刻んだ茗荷(だけ)だったのである。

私は茗荷好きの母の影響で、
幼い頃から茗荷が大好きだったので、
もちろん嬉しくいただいたのだが、
出しがよくでていて、
本当においしい味噌汁だった。

浅川マキと茗荷の味噌汁。
考えてみればピッタリのイメージだ。
浅川マキがポタージュスープというのも変だし、
豆腐や若芽の味噌汁も微妙に違うと思う。
あれから、私も時々作ってみるのだが、
あの夜のあの味は越えられない。
花屋の上のアパートは、
新しいビルに建て替わり、彼女の姿も消えた。

一時身体を壊したとも聞いたが、
風の便りに最近はまたライブをやっているよと聞いていたので、
どこか探し当てて、
聴きに行きたいと思っていたのに.........。

.........少し遅い時間になってしまったが、
「ちっちゃな時から」「かもめ」「夜が明けたら」
「愛さないの愛せないの」「赤い橋」「こんな風に過ぎて行くのなら」
そして、私が一番好きな曲「ふしあわせという名の猫」を聴いた。

60代の浅川マキの歌を聴いてみたかった。

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コメント(3)

淺川マキさんへの追悼文、胸にぐっときました。

 カルメンマキ、淺川マキ、60年代の象徴でした。
60年代寺山修司や唐十郎の赤テント、世間に背をむけ、
世をすねて懸命にそしてなげやりに生きてきた
団塊の世代。

 美味しい味噌汁も美味しいと素直にいえない世代、
静かに亡くなった人を偲ぶ世代。

 そんな世代がふと蘇りました、ありがとう!

すばらしい追悼文に乾杯!
そして
すばらしいコメントに乾杯!

残間さん、はじめまして。
浅川さんのことをブログに書こうと思って、残間さんのこの記事を読んでしまったら、あまりにも心に染みてきて、昔のことをどんどん思い出してきてしまって、ジーンと来てしまいました。
これだけの文章の中に、どれだけたくさんの深い思いが詰まっているか。
本当に素晴らしい追悼文だと思ったので、ブログで紹介させていただきました。http://blog.goo.ne.jp/nanapon_001/e/2ec758497d66b2554f14b9feef7a6b70
ありがとうございました。

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プロフィール

残間 里江子【プロデューサー】

1950年仙台市生まれ。アナウンサー、編集者などを経て、企画制作会社を設立。 プロデューサーとして出版、映像、文化イベントなどを多数手がける。著書多数。