1/12(火)こうして、時代は変わるのだろうか。

icon_zamma.jpg1月12日(火)25時12分

民主党政権になって、
いろんな場所で「変化」が表われている。
これが「変革」(単に変わるだけでなく、改まること)
までいくのかどうかは、未だ何とも言えないが、
表層はかなり変わってきている。

「審議会制度」もその一つで、
今日は「財政制度等審議会」が実質的に終焉を迎えた。

今日の会合の正式名称は、
「審議会委員等による懇談会」というもので、
通常の審議会ではないため、
いつもなら私たちと向き合う形で、
財務省のお役人と並んで着席する、
座長役の西室泰三会長は、
今日は私たちと同じサイドに席が設えられていた。

開催のお知らせが届いた時には、
「藤井財務大臣との懇談会」となっていたのだが、
急遽管大臣に交代となったため、
菅さんの予定が立たず、
今日は「副大臣二人との懇談会」に変更となっていた。


会合の開始時間は15時だったのだが、
いつになく西室会長が遅れている。
これまでの審議会なら座長が遅れていたら、
会は始まらなかったと思うのだが、
今日は定刻に開始された。

司会役は大串博志大臣政務官だ。
「昨年政権が交代し、
秋以降、審議会は開催されておりませんでしたが、
今後は委員構成・人数の見直しなどをして参りたいと、
思っております。
審議会の皆さまにはこれまでのご労苦に感謝し、
今後の財政制度に対しましてもご意見をいただきたく、
よろしくお願い申しあげます」

氏の冒頭の挨拶は、
紙を読むこともなく、滑舌もしっかりしている。
その後の配布資料の説明も淀みなく、
財政用語にも精通している感じで、
経済畑の新人キャスターといったところか。

それもそのはず、
あとで調べてみたら、
大串氏にとって財務省は「古巣」だったのである。
氏は1965年生まれの44歳。
東大法学部から旧大蔵省に入り、
入省後2年目でUCLAに留学してMBAも取得している。
その後大臣官房財務官室の係長を経て、
30歳で長野県諏訪税務署長を経験したあと、
IMF( 国際通貨基金)の日本理事室審議役等をやって、
2005年に財務省を辞めて政治家に転身したという、
経歴の持ち主だったのである。

道理で、説明がうまいはずだ。
それにしても、氏の両脇を固めていた財務省幹部は、
かつての氏の上司という関係だろうに、
そんなことは全く意に介さない、
ある種堂々とした隙のない態度は、
(人によっては慇懃無礼と感じたかも知れない)
政治家そのものだった。

「それではここで野田副大臣よりご挨拶をさせていただきます」
大串氏の紹介の後、
野田佳彦財務副大臣がおもむろに口を開いた。
「~事業仕分けという新しい道具仕立てを使いながら、
チャレンジした結果、財政規律もギリギリで守ることが出来て、
ホッとしております」というような、
やゝ自画自賛に近い話だった。

.........と、そこに西室泰三氏が遅れて入ってきた。
すると、大串氏はすばやく、
「只今西室会長が到着されました」とアナウンスし、
西室氏に、開会からここまでの6分間の説明をし、
そのあとでもう一人の財務副大臣である、
峰村直樹氏の挨拶に繋げたのである。

峰村氏の挨拶が終わって、
西室会長からの挨拶があった。
「新政権になって以来、
残念ながらお呼びがかからない状態が続いておりました。
本日、縷々申し上げても詮ないことかもしれませんが、
私たち財政審の委員は『自民党だから』というので、
申し上げたことはありません。
(「一切、ありません」という感じで)
この国のあるべき財政について丁寧に議論して参りました。
今後は別の形でおやりになるのだと思いますが、
どうぞ(「この国の為に」という感じで)
しっかりおやり下さいますようお願い申し上げます」
二人の副大臣の目を見据えながらキッパリと言い放ち、
しかし同時に慈悲に満ちたやわらかなニュアンスも漂っていて、
「これぞ、本当の大人」と思わせられた。

その後、委員らとの懇談が続いたのだが、
委員の中には、
20年以上も税制審の委員を務めて来た人もいて、
いきなりここで任期が終わることに、
複雑な思いを抱いている人も少なくなかった。

「この審議会は多方面の人たちが参加していて、
いろんな角度から国の財政を論じてきた。
私もここでさまざまなことを学んだ。
政治は大切なだけに、政治家にだけ任せてはおけない」

「我々を自民党の御用委員と思っているのかも知れないが、
会長もおっしゃったが、断じてそんなことはない。
異論も反対意見もすべて出し合って激論も闘わせた。
そのことだけは覚えていて貰いたい」

「民主党は公開すべきことを公開せず、
公開しなくてもいいようなことを公開しているが、
この審議会は、誰が何を言ったかがすべて公開されている。
今度は政務三役と学者など専門家だけでやるらしいが、
是非全面公開をしていただきたい」等々、
民主党にとっては厳しい意見が続出した。

他にもマニフェストと財政規律(特に公債)の関係、
子ども手当てと子どもの扶養控除の関係など、
各論にいたる疑問が寄せられ、
予定されていた時間を20分オーバーして閉会となった。

副大臣と政務官は何を言われるか、
あらかじめ予測出来たとは思うが、
「ここまで凄いことを言われるとは.........」と思ったのか、
あるいは「すべて織り込み済みなので楽勝だった」と思ったか、
本音を聞きたいものだが、
私は双方五分五分だったように思った。

もう当分は財務省に来ることもないだろうと思いながら、
化粧室を借りて、
みんなより少し遅れて玄関に降りて行くと、
車に乗りかかっていた西室さんとバッタリお会いした。
氏は、私に向かってニッコリ笑いかけながら、
軽く手を振って過ぎ去った。

時に財務省とも闘っていた氏の勇姿を思い出しながら、
時代が流れて行くのを実感した。

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コメント(1)

間違っても足を踏み入れることの出来ない空間を想像しながら楽しみました。
「伝える力」は知る歓びに確実に繋がっていきます。
遠い昔、まだ流れ星に願いが叶うと信じていた頃、
きれいな「三ツ星」を見つけ、それが「オリオン座」と呼ばれていることを知り、今ではその冬の大三角の一つが映像付きで終末期を迎えているらしいことも知ることが出来る時代へと流れています。
生きているってことは、「伝える力」を通じて知る歓びを楽しむことなのかも知れませんね。
「このブログに会えて、よかった。Thanks」

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プロフィール

残間 里江子【プロデューサー】

1950年仙台市生まれ。アナウンサー、編集者などを経て、企画制作会社を設立。 プロデューサーとして出版、映像、文化イベントなどを多数手がける。著書多数。