6/26(金)まだまだこの国も捨てたものではない、かも.........。

icon_zamma.jpg6月26日(金)24時35分

今日はいつにも増して、
忙しい一日だった。

朝4時に起きたのはいつものことだが、
ブログの校正をしてから朝ご飯の支度を済ませ、
息子を送り出してから、
8時半過ぎに代々木の整体に行き、
肩と背中と腰の凝りをほぐしてもらった。
(全身の凝りで吐き気をもよおし始めたので)

10時半には整体でグチャグチャになった髪を直しに、
美容院へ行ってシャンプー&ブロウをし、
(してもらいながら新聞3紙に目を通し)
11時45分には山形から訪ねていらしたお客さまと、
会社の近所のイタリアンレストランで、
打ち合わせを兼ねての昼食。
相手の方も私も13時半には出なければならなかったので、
あらかじめお店にはコースが、
80分間で終わるようにとお願いをしておいたから、
イライラすることなくスピード感のあるランチが楽しめた。

14時から16時までNHKで「どよう楽市」の打ち合わせをし、
16時半から紀尾井町の千代田放送会館ホールで開催される、
「放送文化基金賞」の贈呈式に出席した。
(結構ギッシリ詰っているでしょ)

「放送文化基金賞」のことは、過日ここにも書いたが、
私が審査を務めたのは「テレビエンターテインメント番組」の部で、
約一週間にわたる審査の結果、
「本賞」にはNHK/ヴィジュアルフォークロア/NHKエンタープライズの、
「築地市場大百科」が、「優秀賞」には中部日本放送の「スジナシ」が、
「番組賞」は毎日放送の、
「たむらけんじの学校に行こッ!イマドキのセイシュン」
に決まったのだが、制作者の顔を見るのは初めてだった。

私はこのあと総理大臣官邸での会合を含めて、
2つのスケジュールが入っていたので、
贈呈式に1時間程度出席したら、
次の会合に間に合うよう、
中座するつもりでいたのだが、
受賞した番組制作者たち一人一人の、
「受賞の弁」があまりに素晴らしく、
退席することが出来なくなってしまった。

昨今の番組制作現場は(特にテレビだが)
総じて「制作力」が落ちていると言われているが、
受賞した制作者たちの、
「放送に対する熱き思い」を聞いているうちに、
この国の放送文化には、
まだまだ大きな可能性があると感じさせられた。

プロデューサーには60代の人もいたが、
ディレクターの大半は、
30代後半から40代と思しき人たちで、
どの人も実に清々しい風情で、
制作現場にいる者にしか言えない、
リアルな言葉で、
番組に対する自らの姿勢を語ったのである。

女性は、ドラマ部門で「本賞)を受賞した、
フジテレビ「風のガーデン」の宮本理江子さん、
同じくドラマ部門で「番組賞」を受賞した、
NHK「お買い物」の中島由貴さん、
エンターテインメント部門で「本賞」を受賞した、
「築地市場大百科」の弘理子さんらがいたのだが、
3人とも少しのベタツキも感じられない、
クールでスマートな女性たちで、
彼女たちの日常をこそ、
カメラで追ってみたくなった。

昨年11月に亡くなった筑紫哲也さんと、
フジテレビ「風のガーデン」と、
NHK広島放送局制作の「帽子」で好演した緒方拳さんには、
「特別賞」が贈られたのだが、
筑紫さんの賞は、奥さんの房子さんが、
緒方さんの賞は、氏のマネージャーの女性が受け取った。

この時の房子さんの言葉も心打たれるものだった。
「亡くなるまでの最後の3ヶ月半、
筑紫は鹿児島の病院で放射線治療を受けておりました。
闘病を続けている筑紫と二人で、
今日もう一つの特別賞を受賞なさった、
緒方拳さんの『帽子』を観ました。
胎内被爆と癌がテーマの素晴らしいドラマでした。
忙しい筑紫とあんなにゆっくりテレビドラマを観たのは、
初めてのことで、泣いたり笑ったりしながら、
楽しいひとときを過ごしました。
今頃、天国で筑紫は緒方さんと一緒に喜んでいることと思います」

これまで追悼番組を含めて、
筑紫さんの映像はみな動画だった。
それが、目の前のスクリ−ンに映し出された映像は、
筑紫さんの写真だった。
人なつっこい笑顔の筑紫さんが動かず、そこにいた。

写真を背景に房子さんが「過去形」で筑紫さんを語った時、
私は初めて、筑紫さんの死を実感した。
不意打ちだった。
葬儀にも収骨にも参加したのに、
筑紫さんの死は実感出来ずにいた。
長い海外出張に出ている感じがしていた。
何故こんなところで.........と思いながら、
私は泣いた。
式が終わってロビーで会った房子さんにこの話をしたら、
房子さんも目にうっすら涙を溜めて、
「日に日に筑紫の不在が実感されるのよね」と言っていた。

「風のガーデン」のテーマ曲「ノクターン」を、
平原彩香が生で歌ってくれて、贈呈式は終わった。

NHKの福地会長が、
「いい番組はNHKだの民放だのと言わずに垣根を越えて、
放送したいと思っています」とおっしゃっていたが、
今回受賞した作品の全てをNHKで(BSでもいいから)
放送して欲しいと思った。

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プロフィール

残間 里江子【プロデューサー】

1950年仙台市生まれ。アナウンサー、編集者などを経て、企画制作会社を設立。 プロデューサーとして出版、映像、文化イベントなどを多数手がける。著書多数。