6/14(日)「アラ還世代」の年令認識。

icon_zamma.jpg6月14日(日)23時10分

今朝の新聞で、面白い記事を読んだ。
映像作家で多摩美術大学教授の萩原朔美さんが書いた、
「年令同一性障害」(?)についての記事だ。

萩原さんは団塊世代のすぐ上の、1946年生まれ。
祖父が詩人萩原朔太郎、
母は作家でダンサーだった萩原葉子さんである。

私は萩原さんが、
寺山修司の主宰する「天井桟敷」の俳優として活躍していた頃から、
憧れのまなざしで見ていたのだが、
当時は都会の早熟で繊細な男の子というイメージだった。
その後、70年代に入った頃から映像制作に取り組んだり、
芝居の演出をしたり、
雑誌「ビックリハウス」を創刊したりしたが、
いずれの時も年令を感じさせない、
少年の憂いをたたえていたので、
あの萩原朔美が還暦を過ぎたというのが、
ピンとこないのである。
私の「少し上」の世代という認識だから、
数字の上では「そうだろうな」と思うのだが、
リアリティーがないのである。

「最近、やっと自分の心身の奇妙なズレの原因が分かった」
という書き出しで始まる新聞原稿も、
まさにそのことだったので、
とても興味深く読んだのだった。

「たとえば、会議などでメンバーを見渡した時、
全員自分より年上のおじさん達だと思ってしまうのだ。
あとで考えてみると大半は年下の人だったりする。
現在私は62歳。どうみたっておじさんだ。
ところが、心の方が62歳になっていない。
40代ぐらいに思っている。
このアンバランスが、
なんとも落ち着きの無い日常を生んでいるのである」

これを萩原さんは、
「性同一性障害」ならぬ、
「年令同一性障害」と位置づけたのだった。
そして、同時に、
80代になっても自分を老人だとは思っていなかった、
母・葉子さんも「同じ病」だったことに気づくのだった。

萩原葉子さんは足を怪我するまでは、
80代でも若いダンサーと踊っていたし、
亡くなったあと、年譜を調べてみると、
62歳の時に自宅にダンスの稽古場を作っていたのである。

「今の私がそんな事を計画するなど考えられない。
62歳の人が激しい運動をずっと継続して出来ると思っていたのだ。
(中略)今思えば、母親は稽古中に足を骨折してから、
「年令同一性障害」に襲われたのだろう。
歩けなくなると、老人の身体の衰えは加速する。
母親はどうして自分の身体が動かなくなったのか不思議がっていた」

ここまで読んだ時、
私も「同病」だと思った。
私だけでなく、
「これから何とかいい作品を書いて、世に問いたい」と、
今も言い続けている93歳の母も同じだと思った。

たまたま建築家の隈研吾さんから電話があったので、
この話をしたら、「僕も同病だな。
感覚的には30代ぐらいにしか思っていないから、
萩原さんよりもっと重症かもしれない」
と言っていた。
女よりも鏡を見る頻度の低い男のほうが、
この病気には罹りやすいといえるかもしれない。

鏡に映る自分の姿には敏感でも、
身体の老化に鈍感という人も少なくない。
先週「寝違えた首がなかなか治らないのよ。
こんなこと今までなかったのに.........」と、
嘆いていた女友達が、
「今までこんなことはなかった」と、
何度も医者に言ったところ、
「加齢ですから、これからはしばしばあります」
と言われたことを憤慨していたが、
彼女も「年令同一性障害」に罹患しているかもしれない。

考えてみると、
自分の年令感覚を「実年齢より10歳から13歳は若いと思う」と、
答えている(弊社が実施したアンケート調査によると)
ことからしても、「アラ還」世代は多かれ少なかれ、
この病気に罹かっているような気がする。


自分の若さを信じ、
この先の人生に可能性を追求する姿は素敵なことだが、
対する若い人は、
どう扱ったらいいものか困るだろうなとは思う。

治したほうがいいのか、このままでいいのか、
それが問題だ。

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コメント(4)

まさしく私も「年令同一障害」です。でもそれでいいと思ってます。それだから頑張れてます。元女優さんで今熱海に住んでる方は70才を超えてますが、今でも結構ハードなダンス教室を開いでます。ストレッチに近いかな。今でも独特のオーラがあり、綺麗で、背筋がピンとして年齢には見えません。その方も年は忘れる事にしているそうです。私の目標にしている方です。誕生日がくるたび年を取ってます。

私もSATOUさんと同意見です。治さなくていいと思います。
昨日、60歳の誕生日でした。「アラ還」真っ只中です。子供を持てなかったせいか、精神的に大人になりきれなくてまさに「年令同一障害」です。
三田誠広さんの<60歳は不安のない20歳です>同感です。
新たな成人式を迎えて、これから何が出来るかまだまだ、模索の旅です。


> 年令同一障害
> 自分の若さを信じ、この先の人生に可能性を追求する姿は素敵なことだが、
> 対する若い人は、どう扱ったらいいものか困るだろうなとは思う。
> 治したほうがいいのか、このままでいいのか、
【願望】 ○男性は直した方が良い! ○女性は治さない方が良い。
【理由】男性は会社でも社会でも老害を引き起こす元凶だから。かと言って、ただ単に内に籠もり晴耕雨読(単なる読書)の安易な生活に埋没する事なく、田園詩人:陶淵明や、憂国の詩人:陸游の様に、畑仕事の合間に漢詩を作り、より高い次元や視座から、世の中に向って更に強い影響力を行使すべきなのでは?
 ※面は、加齢が醸し出す「好々爺」の趣きが出せずに焦っている60歳です。
女性は精神的にも肉体的にも、いつまでも若くあって欲しい!・・・から、治す必要性を感じない。特に、少年期から最近の同期会まで続く、「憧れの君」にこそ、それを強く願っています。
(text end)

私は17歳から進歩していないと思います。肉体的に衰えてきていることは自覚してます。知識と経験の量が増えることが進歩ではないと思うので。

最近、自分のハンドルネームを紅麗舎馬齢(こうれいしゃばれい)に変えてみました。高齢者(55歳以上を言うらしい)であることを認め、重ねてきた年齢が必ずしも豊穣に満ちたものではないと言う反省もこめてのことです。ところが、10歳ほど若い友人から「老け込んだのか」と厳しく叱責されてしまいました。いや、老け込む気は毛頭無く、行動的な隠居を目指してますが。

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プロフィール

残間 里江子【プロデューサー】

1950年仙台市生まれ。アナウンサー、編集者などを経て、企画制作会社を設立。 プロデューサーとして出版、映像、文化イベントなどを多数手がける。著書多数。