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第13回 最後に一言(総括篇)

2017.01.20



50代は健康の曲がり角。体が大きく変わり始める頃です。
元気だと思っていた人も、以前のような健康管理は通用しません。
そして今や人生90年、100年という超高齢社会。
50代からの体のメンテナンスが、後々のシニアライフを左右します。
私たちのもっとも身近なお医者さん=ホームドクターの常喜眞理さんに
予防医学の視点から、健康管理の秘訣を語っていただきます。

☆常喜眞理さんプロフィール

☆このコーナーでは、常喜さんへのお便り・体に関する疑問を募集しています。
こちらまでmember@club-willbe.jpまで。


加齢とどう向き合うのか



これまで12回にわたり、加齢による体の変化と、それに見合った健康管理について取り上げてきました。一年余りにわたってお話しをさせていただきましたが、このへんで一度まとめてみたいと思います。


151023joki_karada_icon超高齢社会をどう生きるのか。社会も個人も手探り

第1回の『老化とは』でもお話ししましたが、日本人がこんなに長生きするようになったのは、つい最近のことです。1947年時点で、日本人の平均寿命は男性で約50歳、女性で約53歳でした。1960年時でも男性で約65歳。かつては55歳定年でしたから、退職後、10年ほどでかなりの方が亡くなっていたことになります。

その後、さらに平均寿命は伸び続け、2015年には男性で約80歳、女性で約87歳に達します。少子化とあいまって、日本は世界でも類を見ないスピードで高齢化が進んだ社会なのです。
その高齢化のスピードゆえに、これほどまでに人が長生きすることに、未だ社会は対応しきれていません。医療にとどまらず、政治や経済もとまどっている状態ではないでしょうか。
加えて個人にとっても、加齢は誰にとっても初めての経験です。長生きすることに、社会も個人も慣れていないのです。

かつて日本の経済は右肩上がりでした。人生も右肩上がりで来て、少しピークを過ぎた頃に終末を迎えていたと言えるでしょう。しかし今、日本人には、長い長い「右肩下がり」の期間を過ごす覚悟が必要なのです。
これはなかなか難しい問題です。

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151023joki_karada_icon衰えを受け入れつつも諦めない。でも、無理はしない

この連載を振り返ったところ、私がよく同じような言い回しをしていることに気がつきました。
「年をとれば‥‥‥は当たり前」
「‥‥‥することは誰にも起こります」
「知らぬ間に‥‥‥になっています」

要するに、加齢による体の変化にいたずらに動揺しない。また、そんなはずはないと変化を無視しない。
「年をとったらそんなもの」と、いったんは自然に受け入れた方がいいと思います。

体がある程度、衰えていくのは仕方がないのですが、それに影響されて心まで衰え、気力を失っていくのはもったいない話です。幸せはもっと違うところにあるものでしょう。
ただし「受け入れる」とは言いましたが、「諦める」のとは違います。体の変化に合わせた、新しい健康管理が必要だということです。

この連載では、「負のサイクルに陥らない」という言葉も何度か出て来ます。例えば第2回の『筋力の低下』では、筋力低下の負のサイクルについてお話ししました。
加齢による筋力の低下を放っておくと、心身に悪影響を及ぼし、それがさらに筋力の低下を招き、深刻な病気や寝たきり状態につながります。ですから中高年こそ、筋力トレーニングが必要なのです。

衰えを受け入れつつも諦めない。生命の危機やクオリティ・オブ・ライフの低下を避けるために、無理のない範囲でどんなことができるのか。そんなことをお伝えしてきたつもりです。

しかし“長生き”の難しいところは、それだけでは済まないことです。



151023joki_karada_icon長生きの先にあるもの

老化を止めることは誰にもできません。どんなに“負のサイクル”に陥らないように気をつけても、長い年月をかけて人は老い、最後には死に至ります。これは貧乏な人もお金持ちも避けられません。
それに向かって老いていくことに、耐えられないと感じる方もいることでしょう。私たちはどんな心持ちで、長い「右肩下がりライフ」を生きていけばよいのでしょうか。

これは簡単に結論が出る問題ではありませんが、先日、ちょっと救われるようなデータを目にしました。
100歳を超える高齢者たちに「あなたは今、幸せですか」という問いを投げかけたところ、その過半数が心から「幸せです」と答えたそうです。目や耳、味覚などの五感の衰えも進み、ほとんどの人が車椅子や寝たきりに近く、外出もろくにできない生活なのに。
はたから見れば何の楽しみもなさそうなのに、「今が幸せ」と言えるということ。年を重ねた先には、若い頃の想像とはまた違った世界が開けているようです。

先ほど、体が衰えたからといって、心まで衰える必要はないと言いました。体の衰えに左右されない心の力。そんなものが人間には元々備わっているのではないでしょうか。その力をどうやって目覚めさせていくのか、私もこれからじっくり考えていきたいと思います。
鍵になるのは、第11回『老人性うつ病』でも申し上げた、「ありのままの自分を受け入れる」気持ちでしょうか。



『からだメンテナンス』は、今回でいったん休止となりますが、近いうちに装いも新たな形で健康情報をお伝えしたいと思っています。またお目にかかれることを楽しみにしています。
この一年余り連載をお読みいただき、ありがとうございました。

(終わり)




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