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第11回 老人性うつ病(後篇)

2016.11.18



50代は健康の曲がり角。体が大きく変わり始める頃です。
元気だと思っていた人も、以前のような健康管理は通用しません。
そして今や人生90年、100年という超高齢社会。
50代からの体のメンテナンスが、後々のシニアライフを左右します。
私たちのもっとも身近なお医者さん=ホームドクターの常喜眞理さんに
予防医学の視点から、健康管理の秘訣を語っていただきます。

☆常喜眞理さんプロフィール

☆このコーナーでは、常喜さんへのお便り・体に関する疑問を募集しています。
こちらまでmember@club-willbe.jpまで。


治療法とうつに負けないメンタルの保ち方



前篇に続いて、今回は老人性うつ病の治療法、予防法などについてお話しします。

151023joki_karada_icon気になったら一度診てもらう。

精神科にかかるというと、抵抗がある方もいらっしゃるかもしれません。しかしメンタルクリニックや心療内科という言葉が生まれ、また世間の意識も少しずつ変わり、以前ほど大げさなものではなくなりました。気になったら、軽い気持ちで一度相談するといいと思います。

治療法にはまず薬物療法があります。
様々な抗うつ剤や、加えて抗不安薬。睡眠がしっかり取れれば元気になる方には、そのための薬が処方されます。
ホルモンバランスの崩れが原因と考えられる場合は、性ホルモンや成長ホルモンを皮下注射することもあります。

薬に抵抗がある方には、「認知行動療法」というのが、最近ではよく行われています。これはうつ病に限らず、不眠や神経症、認知症などにも広く使われている方法です。うつ病で休職していた方が、復職する際にもよく利用されていて、厚生労働省も力を入れています。
大まかに言うと、自分の行動を客観視し、医師やカウンセラーと相談しながら、より前向きな考え方や行動をする習慣を身につけようとするものです。

例えばお店にボールペンを買いに行ったとします。その時に自分の欲しいペンが一本しか残っていませんでした。その時にどう感じたか。
「あ、一本しかない。自分が手を伸ばす前に売れてしまうかも」と考えるか、あるいは、
「ラッキー! 私のために残っててくれたんだ」と考えるか。
この場合は、後者の方に考えた方がいいよと、アドバイスしていくわけです。うつ病になると何かと否定的な考えに陥りがちです。

レポートを書かせる場合もあります。一日の生活を振り返り、その日に起こった良いこと、悪いことをリストアップします。次にそれぞれの出来事で、自分がどう考え、どう行動したかを書いてみます。それをカウンセラーと話し合うことで、自分の考え方の癖を自覚することができるわけです。
元来、こういったカウンセリングの目的は、それ自体が病から救ってくれるというより、自分の考え方を整理するものと言えるでしょう。

うつ病の認知療法・認知行動療法/患者さんのための資料(精神療法の実施方法と有効性に関する研究/厚生労働省)
心の健康(厚生労働省)


ただ、この種の治療は医師やカウンセラーとの相性に左右される面があります。また、人間関係で悩んでいる人などに相対する場合は、治療する側にもある程度の人生経験を必要とするでしょう。
単に話が合うとか、不平や不満をただ黙って聞いてくれるのではなく、自分の行動を客観視できるよう、上手く導いてくれるかどうかが重要になってきます。この見極めはなかなか難しいものです。



151023joki_karada_iconありのままの自分を受け入れる。鍵は「オープンマインド」です

最後に予防法について申し上げたいと思います。
前篇で原因として、「脳の老化やホルモンバランスの崩れ」と「環境の変化による喪失感」を挙げました。

「脳の老化」については以前認知症の話題(物忘れ)の時も申し上げましたが、規則正しい生活とバランスの良い食事、適度な運動、楽しいと感じる情動行動、五感を鍛える生活、そしてしっかりと睡眠を取ることです。
特に午後10時~午前2時は成長ホルモンが分泌され、体の疲れを取ってくれる時間帯。この時間に深い睡眠を取ることが大切です。

続いて「環境の変化による喪失感」にどう対処するか。変化に負けないメンタルをどう保つのか。
やはり人との関わりが大切だと思います。何かを失っても、仲間が心の支えになるものです。

本当は在職中や子育て中から、地域や趣味などで多様な人間関係を作っておくのがいいのですが、それを始めるのに時期は関係ありません。
新しい人間関係を築く鍵は、自分の殻を破れるか、ありのままの自分をさらすことができるかです。要はオープンマインドでいられるか。それがあれば、いずれ新しい仲間や居場所を見つけることができると思います。仕事で生まれた人間関係よりも、しがらみがない分、むしろいい関係が築けるかもしれません。
特に男性は在職中の価値観やメンタリティに囚われがちです。今一度、自分を見つめ直してはいかがでしょう。

実はうつ病治療として、「自然の中に身を置く」「動物と触れ合う」「農作業」などが有効だと言われています。それは自然や動物・植物が、“ありのまま”だからではないでしょうか。動物や植物は、清々しいほどに、ただ生きているだけです。
それだけで十分ではないですか。ありのままの自分を受け入れてあげてください。

(終わり)




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