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第9回 熱中症

2016.08.02



50代は健康の曲がり角。体が大きく変わり始める頃です。
元気だと思っていた人も、以前のような健康管理は通用しません。
そして今や人生90年、100年という超高齢社会。
50代からの体のメンテナンスが、後々のシニアライフを左右します。
私たちのもっとも身近なお医者さん=ホームドクターの常喜眞理さんに
予防医学の視点から、健康管理の秘訣を語っていただきます。

☆常喜眞理さんプロフィール

☆このコーナーでは、常喜さんへのお便り・体に関する疑問を募集しています。
こちらまでmember@club-willbe.jpまで。


知らぬ間に暑さに弱い体になっています



151023joki_karada_icon加齢とともに体の水分量は減少

いよいよ夏本番ですね。元気にお過ごしでしょうか。
さて、夏というと話題になるものの一つが「熱中症」です。熱中症で救急搬送されたというニュース、耳にしたことがありますよね。

熱中症と言っても経験のない方はピンと来ないかもしれませんが、これがなかなか馬鹿にできません。暑くてぐったりするくらいならまだいいのですが、頭痛、めまい、こむら返りなどの症状が夏場に出たら、熱中症を意識してください。さらに症状が進むと、吐き気、嘔吐、発熱でダウンということにもなりますし、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす場合もあります。

昔は熱射病、脱水症などの呼び方もありましたが、今では「熱中症」と総称します。かつて脱水症と呼ばれた通り、熱中症は体内の水分が低下した結果、汗をかくなどの体温調節機能が上手く働かず、熱が体内にこもってしまうものです。

実は私たちは、加齢とともに熱中症になりやすい体へと変化しています。
まず老化により、もともとの体内の水分量が減少します。細胞の保湿能力が低下し、指先がカサつきやすくなったり、皮膚の潤いがなくなっているのを実感しますよね。また、筋肉量が減少するので血流量も減り、そのぶん体の水分量が減っています。
さらに「物忘れ」の時にもお話ししましたが、五感のコントロールを司る、脳の視床下部の機能が低下します。要するに若い頃よりも「暑さや渇き」を感じにくくなっています。それゆえ暑さを避けたり水分補給などの対応策が遅れ、気づいた時には‥‥となりがちなのです。

平成27年の5月から9月の間に、熱中症により救急搬送された人は全国で5万5,852人。その半数以上が
高齢者(65歳以上)でした。

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(※消防庁発表:熱中症により救急搬送された人の年齢別割合/平成27年5〜9月)



151023joki_karada_icon自分の五感を過信していると手遅れに

予防方法は、もちろん早めの暑さ対策と水分補給です。

暑さ対策ですが、外出時の帽子、日傘は言うに及ばず、室内の過ごし方も注意が必要です。
「クーラーは嫌いだから使わない」という方がいらっしゃいますが、度が過ぎるのは考えものです。毎年、多くの方が室内で熱中症になっています。最近の住宅は密閉度が高いので、窓を開けたぐらいでは、室温はそうは下がりません。そして何しろ、年とともに暑さを感じにくくなっているのですから! 自覚している以上に体温が上昇してしまう可能性があります。
自分の五感だけでなく室温計をチェックし、夜間も28度以下を保つように適切に冷房を利用してください。



151023joki_karada_icon「渇く」前に飲む

次に水分補給ですが、こちらも同様です。「渇き」を感じてからでは遅いので、早め早めの補給を心がけてください。
夏は自分の五感よりも、量のチェックと回数で水分を確保した方が安全です。

ではどれくらいの水分補給が必要なのでしょうか。三食をきちんと食べるとして、一日に約800mLを食事から水分を摂取していると言われます。この他に飲料水として約1.5Lが目安。食事を一食抜いているのなら、さらに300〜500mL多めに摂取することを心がけましょう。お茶でもいいのですが、カフェインの入っているものは、あまり飲みすぎないように。

飲むタイミングは、基本は起床時、各食事の時、入浴前後、寝る前です。実は室内で熱中症になって救急車で搬送されるケースは、朝方が多くなっています。睡眠中は水分補給ができないので、トイレに何度も起きたくないからといって、夜に極端に水分を控えるのは考えものです。
一回に飲む量は200mL程度が適量。スポーツ時や外出時は汗をかきますので、上記に加えて30分に一回の水分補給をおすすめします。
塩分の補給も言われますが、通常は食事から塩分は摂れていますので、よっぽど激しいスポーツや労働でもしない限り不要でしょう。

自分や周囲の人間が熱中症になってしまった場合は、まず涼しくすることです。衣服をゆるめる、または脱がせる。濡らした布を体にかけ、扇風機などで風を送る。アイスノンなどで、首や脇、太ももなど、大きな血管のある部分を冷やすのも有効です。可能ならもちろん水分補給を。

幾つになっても夏はアクティブに過ごしたいものですが、年齢とともに熱中症になりやすい体になっていることをお忘れなく。くれぐれもご自愛ください。

(終わり)




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