ホーム>Programs & Events>50代から始める マリ先生のからだメンテナンス>第6回 下痢と便秘

第6回 下痢と便秘

2016.05.20



50代は健康の曲がり角。体が大きく変わり始める頃です。
元気だと思っていた人も、以前のような健康管理は通用しません。
そして今や人生90年、100年という超高齢社会。
50代からの体のメンテナンスが、後々のシニアライフを左右します。
私たちのもっとも身近なお医者さん=ホームドクターの常喜眞理さんに
予防医学の視点から、健康管理の秘訣を語っていただきます。

☆常喜眞理さんプロフィール

☆このコーナーでは、常喜さんへのお便り・体に関する疑問を募集しています。
こちらまでmember@club-willbe.jpまで。


腸の老化で下痢も便秘も増えてきます



151023joki_karada_icon“いいウンチ”にあまりこだわらないこと

腸の老化は排便に大きく関わってきます。加齢により下痢も便秘もしやすくなるのですが、この正反対の症状がなぜ起こるのか。今回はこのことについて考えてみたいと思います。

加齢により腸の筋肉も衰えてきますし、内臓を包み吊り上げている膜もたるみ、下垂が起こります。これにより腸が全体にダランとした状態になってきます。
もともと大腸は約1.5mほどの長さで、5箇所の曲がり角をつくることで体内に収まっています。特に左右の脇腹肋骨下あたりは、ちょうど吊り橋の端と端のような感じです。端っこだけしっかり吊られている腸が“ダラン”とすることで、間に溜まっている消化物は停滞しやすくなり、曲がり角では空気が溜まりやすくなるのです。
また腸自体の動きも鈍くなり、便秘になりやすい状況が生まれます。

特に女性はもともと体のサイズが小さい上に、子宮や卵巣もあります。長い腸を折りたたみ収めるスペースが狭いことになり、男性より曲がり角がきつくなっています。下垂により、腸の消化物がますます停滞しがちです。

下痢も起こりやすくなります。
腸の中で食物は一方通行に動くのではなく、腸が蠕動(ぜんどう)運動することで、行きつ戻りつしながら、粘土をこねるように便が作られていきます。ところがこの動きが老化により悪くなることで、粘土を上手くこねられなくなります。
言ってみれば、うどん粉やそば粉をこねて麺にしようとしても、まとまらない、といった状態でしょうか。これが下痢につながります。

このように腸の動きが悪くなることで、他の要因と複雑に関係しながら、便秘になる人もいれば、下痢になる人も出てくるわけです。

さて、私のクリニックでも中高年の方で、朝の排便が一回で済まず、3回、4回とトイレに行ってしまうと訴える患者さんが少なくありません。
「若い頃はバナナのようないいウンチが出ていたのに‥‥」と言う方もいらっしゃいます。
しかし医師の私にしてみれば、「出るだけいいじゃないですか」と言いたくなるところがあります。

老化により腸の動きが悪くなるのは、どうしようもありません。下痢気味であっても出血がなく、痔に気を配れば、若い頃のような「バナナウンチ」には、あまりこだわらない方がいいでしょう。
それよりも老廃物が体にとどまること、つまり便秘の方が要注意です。腸閉塞の最大の原因は便秘ですし、様々な面で体に悪影響を与えます。二日に一回はきちんと排便して欲しいところです。



151023joki_karada_icon時には下剤も必要。でも中身をよく吟味して

便秘がひどい場合は下剤を使ってでも排便を促すべきなのですが、この際に、センナ、ダイオウ、アロエなどのアントラキノン系といわれる薬は、おすすめできません。
これらの薬は腸管の神経に直接作用して、無理やり腸を動かして排便させるため、長期連用することで腸管の神経をダメにしてしまいます。
漢方のものもありますので、一見、副作用が小さい印象がありますが、そうとは限りません。

腎臓に問題がなければマグネシウムという塩類系の下剤が良いでしょう。こちらは水分を大腸内に引っ張り込むことで、便を柔らかくする働きがあります。
また、水分で便を膨らませることにより、腸に適度な張りを感じさせ、腸の活動を促すことにもなります。つまりアントラキノン系が無理やり神経に作用するのと違い、腸が自分で“張り”を判断して動いている自然な状態です。飲んで数時間後にお腹が痛くなるということもありません。
少し下痢気味になるかもしれませんが、習慣性もありません。

それにマグネシウムはカルシウムとともに働くものなので、骨にも血管にもいい影響を与えてくれます。薬局でも買えますし、安価なお薬です。病院で処方する場合も、全商品ジェネリックです。

・若い頃の「バナナウンチ」にこだわらない
・下痢よりも心配すべきは便秘
・下剤はよく選んで

というのが、今回のポイントでしょうか。
もちろん適度な運動、睡眠、食生活など、腸の動きを良くする生活習慣も大切です。特に食物繊維を摂ることを心がけてください。

食物繊維は腸で吸収されることがなく、言わば内部で“かさばる”ものです。これが重要で、内からの刺激となって腸の動きを良くします。食物繊維には水溶性と非水溶性の2種類があるのですが、気をつけたいのは、この両者をバランス良く摂ること。

水溶性はニンニク、りんごやミカンなどの果物、海草類、芋類など。非水溶性ほどかさは増えませんが、ドロドロと粘りのある状態となって腸内を整え、有害物質を吸着する働きもあります。
一方で非水溶性は大豆やごぼう、穀類、野菜など。腸の中で水分を抱え込んでかさを増やし、便の量を増やして排泄を促進します。ただし、非水溶性の食物繊維に偏ると、便秘しがちの人はかえってお腹が張ったりしますのでお気をつけください。

腸の衰えにうまく対処しながら、少しでも腸の活性をキープしたいものです。
くれぐれもご自愛ください。

(終わり)





Projects

willbe Interview