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第2回 筋力の低下

2015.11.24



50代は健康の曲がり角。体が大きく変わり始める頃です。
元気だと思っていた人も、以前のような健康管理は通用しません。
そして今や人生90年、100年という超高齢社会。
50代からの体のメンテナンスが、後々のシニアライフを左右します。
私たちのもっとも身近なお医者さん=ホームドクターの常喜眞理さんに
予防医学の視点から、健康管理の秘訣を語っていただきます。

☆常喜眞理さんプロフィール

☆このコーナーでは、常喜さんへのお便り・体に関する疑問を募集しています。
こちらまでmember@club-willbe.jpまで。


中高年こそ筋トレが必要です!



筋力の低下は万病を招きます

今回のテーマは「中高年からの筋力トレーニング」
「この歳から筋トレ? 私はウォーキングで十分です」
などと言わないでください。
“人生五十年”の頃とは違い、中高年にも筋トレが必要な時代です。
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何も運動をしなければ、年齢とともに筋肉量・筋力は徐々に低下していきます。
筋力の低下→疲れやすくなる→運動・外出がおっくうになる→運動不足でますます筋力低下→さらに疲れやすくなる→さらに………。この「負のサイクル」の中で、骨折などの怪我、大きな病気などで長期にわたって動けなくなると、一気にサイクルは早まります。
また中高年の転倒事故の原因のひとつは、足腰の筋肉の衰えからすり足気味になることで、つまずきやすくなることがあげられます。
こうした負のサイクルの行き先は……そうです「寝たきり」予備軍になるのです。

筋力の低下は関節へのサポート力の低下でもあります。筋肉の支えが弱くなると、腰痛、膝痛などの関節のトラブルも起きやすくなります。これに運動不足からくる肥満が加わると、関節が悲鳴をあげるのも無理からぬことです。
最近ではこうした身体の虚弱化から運動障害が引き起こされる状態を、「ロコモティブシンドローム」と呼び、要支援・要介護のきっかけとして注意が促されています。

さらに運動機能の低下だけでなく、ロコモは先ほどあげた肥満、内臓疾患、消化吸収力の低下など、万病につながる由々しき事態をも招きます。また、最近の研究では、運動不足と認知症は関連している可能性が高いとも言われています。

クオリティ・オブ・ライフの向上。そしてやりたいことをやれる人生のために、今日からでもトレーニングを始めませんか。次ページではトレーニングの基礎を少々述べたいと思います。

<日本整形外科による簡易診断ロコモチェック>
以下の項目に思い当たる方は要注意。足腰が弱り始めているサインです。

・片脚立ちで靴下がはけない
・家の中でつまづいたりすべったりする
・階段を上がるのに手すりが必要である
・やや重い家事が困難である(布団の上げ下ろしなど)
・2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である
・15分くらい続けて歩くことができない
・横断歩道を青信号で渡り切れない。

※引用元:ロコモパンフレット2015年度版
※ロコモティブシンドロームについては、日本整形外科学会のサイトをご参考に


151023joki_karada_icon効率よく筋力アップするなら、まず下半身(足腰)から

中高年からの運動というとウォーキングが最も一般的かもしれません。確かに息が弾むほどのペースで行うウォーキングは、全身運動であり、有酸素運動として有効です。精神的なリフレッシュなど、副次的な効果もあるでしょう。
しかし筋力をしっかり維持するためには、それだけでは不十分です。ある程度の負荷をかけながら筋肉を伸縮させる、いわゆる筋力トレーニングが必要になってきます。

トレーニングジムでインストラクターと相談しながら、年齢や体調、持病などを考慮して運動メニューを作成してもらうのがベストですが、誰にでも出来ることではありません。そこで自宅でもできる簡単な筋トレ「スクワット」をご紹介しましょう。
黒柳徹子さんが1日に何百回もやっているなど、最近ではよく聞かれるようになりましたが、立った状態から膝を曲げて、腰を落としたり上げたりする運動です。

スクワットの良さは、下半身の筋肉をくまなく鍛えられることです。人間の筋肉の7割が下半身にあります。お尻と腿の筋肉を中心に、正しい姿勢で行うことで背筋や腹筋にも刺激を与えられます。
「下半身(足腰)を制する者、筋トレを制す」なのです。

正しいやり方、フォームについては「スクワット 正しいやり方」で動画をネット検索すればたくさん出てきますので、いくつかを見れば、共通する注意点があることに気づくことでしょう。
例えばこちらです。



主なチェックポイントは次のようなもの。
・足は肩幅に開き、できれば爪先はまっすぐ(無理なら少し開きましょう)。腕を前に伸ばすとバランスが取りやすくなります。
・背筋を反らさず、お尻の穴が地面に向くように下腹に力を入れ、そのままの体勢で膝を曲げる
・膝を曲げる時、膝は爪先より前に出ない
・膝に負担がかかるので、膝は90度以上は曲げない
・腰を下ろす時にはゆっくりと、立ち上がる時にはやや素早く
・お尻と腿の筋肉を意識しながら行う

椅子に座って、そこから立ち上がった状態から始めるのもいいかもしれません。万一バランスを失っても、椅子が受け止めてくれますし、座面に触れる前に体を伸ばせば、膝を曲げすぎることもありません。
膝に故障のある方には坐ったり、寝ながらできる筋トレもありますので、是非、ご自分にあった運動のやり方をお探しください。

筋トレといえば、ダンベルやマシントレーニングを想像しがちですが、自分の体重だけでも十分な負荷がかかります。まずは無理のない範囲で、1日おきに5〜10回を2〜3セットぐらいから始めてはいかがですか。

「無理のない」といえば、中高年からの筋トレはいくつかの注意が必要です。


151023joki_karada_icon中高年からの運動は「無理しない、されど甘やかさない」

さて、ここまで運動、特に筋トレの重要性について述べてまいりましたが、中高年からの運動については、若いころとは違った注意が必要です。
それは決して「無理をしない」ということ。

若い頃に筋力トレーニングの経験がある方は、インストラクターにこんな指導を受けたことはありませんか?
「トレーニングの翌日に筋肉の張りをしっかり感じるくらいのウエイト(負荷)を使い、翌日はトレーニングを休み、まだ少し痛いかな……というあたりでトレーニングを再開するのがいいですよ」と。

これは言い換えれば、強い負荷を与えて筋肉をいったん壊して、それが再生するときに前よりも太くなるという、筋肉の超回復の特性を利用しましょうということです。要するにこれは、「ムキムキになる」ための運動、アスリートのための筋トレです。
しかし中高年からの筋トレは、アスリートになることが目的ではありません。あくまでも筋力の維持です。筋肉の再生力が落ちている中高年が、いたずらに筋肉を壊すことは逆効果、本末転倒です。

また、強過ぎる負荷は関節の怪我にもつながります。無理は禁物です。特に真面目な方はつい頑張りすぎてしまいがちですので、お気をつけ下さい。

最初はダンベル等は使わず、少し疲れを感じるくらいの負荷で充分です。どうしても物足りないという方は、段階的に回数を増やしたり、ごく軽いダンベルから使うのがいいでしょう。負荷を上げるのは一月以上の単位で、慎重に行うことをおすすめします。

痛みを感じたら、すぐに運動をやめてください。あまり痛みが激しい時は専門医に相談しましょう。しかしここが肝心なのですが、痛みが引いたら、また少しずつ運動を再開することです。ここで止めてしまっては元の木阿弥です。自分を甘やかし過ぎるのもいけません。大事なのは運動する習慣を維持することです。

無理しない、でも甘やかさない。
なかなか忍耐が入りますが、人生90年時代なのですから、是非、頑張ってください。

(第二回 終わり)



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