ゼロ成長時代の日本の家族、若者、そして大人。
山田昌弘さん
第4回
日本にカップル文化を普及させたい

残間 これからは子供の数が少ないし、子供には頼れない時代のようですが、日本の大人はどんな生き方があるんでしょうか。
特に女性は、ずっと家族を支えに生きてきた人も多いと思います。

山田 実は私は、日本にもカップル文化を普及させたいと思ってるんです。

残間 私もそうです!

山田 どうも男性は男性同士、女性は女性同士で固まるんですよね。
学生もそうなんです。
実習などで「5人組を作れ、10人組を作れ」と言うと、見事なくらいに男性だけ、女性だけに分かれちゃうんですよ。

残間 へえー。その方が楽なんですかね。
私たちの時は、ただ意識してただけですけど。
でもウィルビーのメンバーからは「シングルの会」をやって欲しいとか、既婚者でも異性の友達が欲しいという声を良く聞きますね。

今日、ラジオで作家の高樹のぶ子さんと話したんですが、彼女が言うには、ある種の設えが与えられたら、みんな恋愛的な世界に一歩踏み出せるって言うんですね。
それは例えば旅先だとか、移住先。
ずっと同じところに住んでいる人はダメみたいですね。
それから五十を過ぎたら、恋愛は100人声をかけて2人ぐらいしか引っかからないと思った方がいいと。

山田 (笑)それは昔からというか、アメリカやヨーロッパはみんなそうですよ。
失敗を恐れずにチャレンジし続けるんです。

残間 とにかくいいと思ったら、あなたのそこがいいとか、今日着てる洋服がいいいとか何でもいいから、思ってる事を"男と女"という目線の回路で一回つないだら、って言うんです。
つまり、「この人はカルチャーセンターの先生」「この人はただの職場の人」じゃなくて、男と女という角度で自分とつないでみろと。
「つなぎたい男なんて滅多にいない」と思っても、そこをこらえて回路をつなぐと、1つ2つの可能性が出てくるんだそうです。

でも高樹さんとは、女がそう思っていても、そう思う男が少ないという話にはなりましたね。
日本の男は不器用というか………。

山田 グローバルに負け組な日本人男性ですから(笑)。

残間 女性は既婚、未婚問わず、65歳で55%が"おひとりさま"だそうですし、80歳になると83%がひとりです。
80代はともかく、60代、70代がカップルで、あるいは2対2でもいいですから、そういう感じの文化は、確かに欲しいですね。

山田 私が婚活を提唱した時も、結婚というより、とにかくカップルをつくろうよ、ということだったんですね。
だいたい若い未婚者で、彼氏彼女がいる率は3分の1なんですよ。
いろいろ資料を見ても女性4割、男性3割ぐらいで、30前後でも2割ぐらいの人は一度も異性とつきあったことがないですね。
日本というのは、カップル不毛な国なんですよ。

残間 それはお金でも場所でもなくて、意識の問題でしょ?

山田 日本人というのは、安定したい、面倒くさいというのがあるんですかねえ。

残間 ですから「カップル文化」は是非、広めて欲しいですね。
先生にもいろいろと伝授していただきたいです。

「パラサイトシングル」もそうなんですが、言葉の力というのがあって、先生が何かキーワードを提示なさると、それによって誰かが楽になったり救われたり自由になったりしている部分ってあると思うんです。
拡大解釈する人もいますが、それは社会学の大きな意義になっていると思うんですけど。

山田 私もそう思ってるんですけど、結局、誤解されると二通りになっちゃうんです。
「婚活」にしても、おかげで「結婚したい」ってはっきり声や行動に出せるようになったと言う人もいれば、そのことで焦り出す人もいる。
「パラサイトシングル」も、私だけじゃないんだという意味で安心してくれた人もいますが、けしからんと言われている気がする、という人もいるわけです。
まあ、両方出てくるのはしょうがないですね。

残間 でも、どっちにしろ、視野は広がりますよね。
団塊世代というのは流行に乗りやす人が多い上に、エネルギッシュというか、実際に健康です。
この「カップル文化」という新しい文化を切り開くことも、充分可能性があると思いますよ。
ただ一方で自分たちの居場所を探しあぐねてもいて、エネルギーが余ってるものだから、運動オタクになって「健康のためなら死んでもいい」という感じでジム通いや歩いてばかりいる人もいます。

山田 恋愛すればいいと思うんですけどね。

残間 そうなんです。考えてみたら恋愛って、総合文化で総合芸術なんですよね。
旅をしたり、映画を観たり、お洒落をしたり、美味しいものを食べたり。

山田 私、歌舞伎とか演劇を見に行くんですけど、この間なんかバレエに行ったら、客の99%が女性なんです。
休日なのに。あれは異常ですよ。
私、外国でもコンサートやミュージカルに行くんですが、向こうはカップルとか家族で来るんですよ。
日本だけが女性だけでワッと行く。

残間 団塊世代だと、男2女3のグループ的な行動の仕方はあると思いますよ。
この男2は使い走りというか、使い勝手が良くないとダメなんですけど(笑)。
そんな風に友達で動かす。
もちろん、その中に夫婦がいてもいいんですけど。

山田 その時に注意しないといけないんですが、アメリカなどでは、夫婦二組で一緒に出かけるとなると、お互い、自分のパートナーじゃない異性と話さないといけない雰囲気があるんですね。

残間 日本だと、妻は妻と、夫は夫と話しがちです。
夫同士が初対面だったりすると、「どうも」とか言いながら、ぎこちなくやってるんですよね。
バッテンに話せばいいのに。

山田 (笑)そうそう。

残間 これは、なんとか仕向けないといけないですね。
『willbeアカデミー』では、先生の演題は「保守化する若者たち」ということですが、このカップル文化も含めて、大人たちのこれからについてのお話も是非お願いします。
では、講義を楽しみにしています。

山田 こちらこそ、よろしくお願いします。

(終わり/2010年7月)

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