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一期一会の“今”をいける。1/3

假屋崎省吾さん(華道家)

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時とともにうつろい、変化していく、花という素材。日本を代表する華道家である假屋崎省吾さんは、そんな花とともに、「今この瞬間」をエネルギッシュに生きています。その元気はどこから生まれるのでしょうか? 今回のインタビューで、假屋崎さんの原点を垣間見た気がします。(残間)
(聞き手/残間里江子  撮影/岡戸雅樹  構成/髙橋和昭 大垣さえ)


vol.1 花がつなぐもの、つたえていくもの。


残間
本日はよろしくお願いします。

假屋崎
よろしくお願いします。

残間
ビルの入り口からお花でいっぱいで、驚きました。
今日もインタビューのあと、教室があるんですよね。


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※注:このインタビューは銀座にある假屋崎さんの花・ブーケ教室で行われました。

假屋崎
そうですね。月に15回位、毎回2~3時間ずつ開催しています。

残間
人に教えることって、また違う意味でエネルギーを使うでしょう。
直接教えるというのがすごいですよ。假屋崎さんぐらい有名であれば、創作活動に専念したって良いですよね。

假屋崎
そうですね。教室の生徒さんとのお話を楽しんでいます。
北海道、沖縄、上海、パリ、ロンドン、世界各国からいらして下さるんですよ。

残間
生徒さんの人生に付き合うという感じですね。エネルギーをもらえそう。
どれぐらい続けていらっしゃるんでしたっけ?

假屋崎
24、5年前からです。一番最初は、代官山の「同潤会アパート」(※)でした。

※注:財団法人同潤会が建設した鉄筋コンクリートの集合住宅。当時としては先進的な設計や装備がなされていた。


残間
あの有名な! UR都市機構の歴史館に建物が展示してありますよね。

假屋崎
そうなんですか!
あそこ、ワット数が低かったんですよ。だから夏に全部の部屋で電気を使うと、ヒューズが飛んじゃったりして(笑)。 あるアーティストが一部屋を借りていて、その部屋を別のアーティストに又貸ししていたんですね。そこを毎週水曜日に借りて。

残間
それからずっと続けていらっしゃるんですね。

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假屋崎
ちょっとずつ、変化はしていますけどね。昔はディスプレイだけ教えていたんです。
今はいけ花、フリースタイル、アレンジメント、ブーケ、ディスプレイの5つ。
それから最近は、教室の外ですが“花育”をやってみることにしたんです。

教室には80歳ぐらいの方から小学生までいらして下さるんですが、小学生の子が楽しそうに花をいけるのを見て、思いつきました。
小学校で、いけ花の過程をデモンストレーションをするんです。それから子供たちにも花をいけてもらって。

「美しいものを愛でる」という行為がすごいパワーを持っていることを、子どもたちに知ってもらいたいんです。

残間
今は花をいけない家庭も多くなってきているそうですよね。

假屋崎
そうなんです。
だけどやっぱり花がある空間って素敵でしょう。

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私、子供のころ、家で薔薇を育てていたんです。
一番最初に花が咲いたとき、嬉しかったので母に「薔薇が咲いたよ」と言いにいくと、母はせっかく咲いた花をチョキンと切ってしまったんです。
どうしてそんなことを! と思いながら見ていると、それを新聞紙でくるんで「学校に持っていきなさい」と言うんです。

持っていって教壇にいけてもらいました。牛乳瓶みたいな、なんでもない器に。
しばらくすると、水を吸って薔薇の花びらがフワッと開いたんです。

……その瞬間、教室の空気が変わりました。みんなの眼が花に惹きつけられたんです。


残間
そういうことって、確かにあるかもしれませんね。花が咲いているって、それだけで嬉しくなりますもの。

朝顔は学校で育てていましたよね。私も息子が持ち帰ってきた朝顔を今も毎年咲かせてるんですが「お前も頑張って生きてるのね」なんて言ってます(笑)。

假屋崎
朝顔と違うのは、いけ花が花を育てないところです。お花を水切りして、器にいけて。
どう切って、どんな空間の中で、どんな器に、どう挿すのか。自分で選んで、表現する必要がありますよね。
自然界が生んだ美をもとにして、自分の手で新しい美を創りだすんです。

人間もお花もですが、個性があります。その個性を使って、自分なりの世界を産みだすことは、朝顔を咲かせるだけでは得られません。

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残間
なるほど。“花育”、確かにあってもいいですね。


假屋崎
さっきも話しましたが、花をいけない時代ですよね。美しいものを愛でることが当たり前ではなくなってきている。
そんな時代だからこそ、花を通して伝えられることがあるんじゃないか、花によって人と人との真心を通わせることができるんじゃないか、と思うんですよね。

それで思い出したんですが……見てください、これ。
フクロウのマスコットです。可愛いですよね。被災地の方が送ってくださったんです。

震災のときにお花を被災地にお送りして、それがきっかけになり、被災地にお花を送るという流れが生まれたんですね。そのお礼にと。

あの時ニュースで流れていた現地の映像って、色がなかったんです。緑とか、花とか。
亡くなった方に手向ける1輪すらも用意できない。
自分が出来ることを考えて、お花を送る事にしたんです。

フクロウの福ちゃんっていう名前がついているんですよ。
2匹のフクロウが付いていますが、「1つは皆さまへの感謝。もう1つは私たちの希望です」って。素敵でしょう。

※注:假屋崎さんのブログで、「福ちゃん」のことが紹介されています。記事はこちら。


残間
まだまだこの国も、捨てたもんじゃないですね。

假屋崎
お花が人と人を繋げてくれるんですよね。 (つづく)

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vol.1 花がつなぐもの、つたえていくもの。

vol.2 両親の眼差しが作った「假屋崎省吾」

vol.3 人生を通じて、作品を変化させていきたい。











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