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体の変化に耳を傾けてください 1/3

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先日、内科医の常喜眞理(じょうきまり)さんが初めての著書を発表しました。題して『オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』。40代以降に女性に訪れる体の変化を、年代別に整理するとともに、その対応策をわかりやすくアドバイスしています。諸姉、最近、体は暴れていませんか?(残間)

常喜眞理さんのプロフィールはこちら
(聞き手/残間里江子 撮影/岡戸雅樹 構成/髙橋和昭)
vol.1 加齢としっかり向き合いましょう


残間
今年になって発表された 『オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』、読ませていただきました。40代から70代まで、女性の体に何が起きるのか、何に気をつけないといけないか、年代別にポイントを絞って書かれてあります。

40代の更年期から始まって、50代にはがんになりやすくなったり、さらに60代70代と、様々な女性の健康トラブルを取り上げていますが、健康って個人差が大きいのにも関わらず、あえて年代別に切っていますね。

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常喜
おっしゃる通りで、自分が該当する年代を読んでも、私はまだ全然大丈夫という人もいると思います。ただし、この本に書かれている体の変化は、多少時期はずれても必ずやってきます。
ですから実年齢よりも若い方も、「いずれはこれが来る」と心構えをしておくことで、ずいぶん違うはずです。「あれ!?」と思うのか、「あ、来たな」と思うのか。

残間
これから起こりそうとわかっていれば、早く手が打てますよね。

年代別に書かれていて良かったと思うのは、人間って、何と言うか、ボーッとしてる間に歳を取っちゃいますよね。親が歳を取る様子などを見てはいるはずなんですが、やはり老化って誰にとっても初体験なんですよね。
歳を取ることにどこか実感がない。 だから、ある日自分の体の変化に気づいて「アレアレッ!」となってしまいがち。これから自分の体に何が起きるのかが、あらかじめ見通せるのはいいと思います。

と言っても、この本に書かれているのは70代までなので、私にはあまり読む分量がないんですが(笑)。

常喜
(笑)いえいえ、半分くらいは大丈夫でしょう!

本では「体のモード変化」という言葉を使いましたが、モードが変わったということは、それまでとは違う健康へのアプローチというか、アジャストするための工夫が必要になってきます。

例えばウォーキングっていいものですよね。少し息が弾む程度のペースでやれば有酸素運動になりますし、そこまでしなくても気分をリフレッシュしてくれます。
でも50代の後半ぐらいからは、ウォーキングは結構なんですが、ひざ関節のことを考えれば、階段は避けるべきだと思います。この年代になると、関節は傷めたり擦り減ってしまうと、もう元には戻りません。過度な負荷は避けるべきですね。

とにかく、自分の体の変化に耳を傾けて欲しいです。加齢を見ないふりするのではなく、しっかり向き合うことが健康への近道だと思いますよ。

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男性にも読んでほしい本です

残間
この本は一応、女性向きということになっていますが、男性にも有効ですよね。

常喜
ええ、40代は更年期対策を中心に女性ホルモンがらみのテーマが多いですが、50代からはがん対策など、基本的に“加齢対策”なので、男性にも読んでいただきたいです。

残間
男性は自分のためだけでなく、パートナーへの理解を深めるためにもいいと思いますね。妻の体調、機嫌というのは想像以上に重要みたいですね。
妻が元気じゃないとダメ。妻が暴れると怯えてしまう。そういう方は夫婦で読むといいかもしれません。

常喜
母娘で読んだという声を聞きました。直接話題にするより、本で読んだ方が理解が進むそうです。

残間
「ああ、お母さん、今こういう時期なんだ」と。そしてその状態は、いずれ自分にも訪れる。

常喜
その通りです。

残間
それから医師の立場から一方的に語るのではなく、更年期のことですとか、常喜さんの身に何が起きたのかもきちんと書いてあって、これは説得力がありました。

常喜
更年期のことは自分でも書いて良かったと思っています。自分自身のことは少し言いづらいことですが、普通に誰にでも起こることとして取り上げられたと思います。

残間
がん検診についても、常喜さん自身が何をどこまで受けているのか、それは何故なのか。そして受診する頻度まで、すっかり書いてあります。

常喜
がん検診には2種類あって、ひとつは市区町村で受けられる「対策型検診」。これは検診を受けることで死亡率の減少効果が科学的にも証明されていますし、費用もわずかです。
問題はこの「対策型検診」に、人間ドッグなどで行われている「任意型検診」をどこまで加えるかです。例えば大腸がん検診として、対策型の便検査だけで済ますのか、任意型の大腸内視鏡検査までやって万全を期すのか。

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なんでもかんでも受ければいいわけではなく、これには正解はありません。個人の体質や年齢、さらに親や親類の病歴、つまり遺伝的な要因も絡んできます。どこがウイークポイントかは人それぞれです。
それに「任意型」を受けると、進行するおそれのないがんでも指摘を受けます。つまり本来心配すべきでない病変まで見つけてしまう場合があるんですね。
そこまでして見つけたくないか、あるいはすべて知っておきたいのか。こうなると個人の生き方にも関わってきます。

じゃあどうするのかと言えば、一人ひとりがしっかり考えるしかありません。そのための目安になればと、私の場合はこうなので、だからこういう検診を受けているというのを書かせてもらいました。

残間
『オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』は常喜さんの初めての著書になるわけですが、書き終えてみて、何か思うところはありますか?

常喜
ここに書かれていることは、どれも私がふだん診察していて、患者さんに言っていることばかりです。でもこうやって年代別に分類して並べてみると、ああ、人はこうやって歳を取るんだなと、改めて感じましたね。

ただし、加齢対策をたくさん載せていますけど、この本はアンチエイジングがテーマではありません。加齢ときちんと向き合い、受け入れ、その上でクオリティ・オブ・ライフをどう向上させるか、というものです。

あとがきにも書きましたが、いくら健康に気をつけても、老い衰えていくのは止めようがないのです。やりようによってはかなり踏みとどまれますが、老化は止められません。だって最後には死ぬんですから。

でも心まで衰える必要はなくて、そこは体よりは何とかなると思うんですね。なにせ気は「持ちよう」です。もちろん、少しでも長く自立して、自分がやりたいことができるよう、体に気を配ることは大事です。そのための対策がこの本には載っていますが、それ以上に心の健康が大事だなって思いましたね。

残間
この本、表紙のデザインはコミカルなタッチなんですが、ひもとくと中身は深いんですよね。結果的に加齢と正面から向き合うことになりますから。

常喜
(笑)いえいえ、どうぞ気軽に手に取ってください。



(つづく)

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vol.1 加齢としっかり向き合いましょう

vol.2 母に乗せられ、気がつけば医師

vol.3 私は話を聞くことしかできない

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