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海外で仕事をするという夢が、ついに動き出す

残間 このあいだ、新大阪の駅でバッタリお会いしましたね。
刺繍教室があるので、名古屋に向かう途中ということで。
しばらく会ってませんでしたが、
とても溌剌とした雰囲気で、
順調そうな雰囲気が伝わってきましたよ。
田川 (笑)そうですか?
残間 さて、大震災からもう半年経ちまして、
世の中がずいぶんと変わってきたように思います。
私自身もそうですし、人々の意識にも変化を感じます。
田川さんはいかがですか?
田川 震災に関しては僕ができることと言えば、
いくばくかのお金を集めて届けることぐらいなんですが………、
震災を経て、確かにはっきりわかったことはありますね。
それは自分の夢は追わないとダメだということ。
なんだか大変な目に遭っている人がいるのに、
自分のことだけ考えてるのか、と思われそうですが。
残間 そんなことはないですよ。
ああいう大災害って、生き残った人に
「どう生きるのか」を問うところがありますから。
田川 僕は10年くらい前から、
ずっと海外で仕事をしてみたいと思っていたんですね。
実際、これまでも何度も海外から
展覧会の話などはありました。
でも国内の仕事で手いっぱいで全部断っていたんです。
教室もありますし、国内の展覧会もあります。
もしかしたらリスクはあっても、
さっさと海外でやってた方が
効率が良かったのかもしれませんけど、
ほったらかしにしていた。
やっぱり海外でやるのは難しいのかなって。
残間 田川さんは刺繍教室も人任せにしない。
細かいところまで見ているし、
ご自分で教えたりもしてますからね。
田川 一方で僕は会社の社長として、
20人の社員とその家族の生活を守らないといけない。
僕自身は結婚もしていないし、
子どももいないので、どうにでもなるんですが、
今いる仲間たちと長いあいだかかって
居心地のいい場所を作ってきました。
それは僕にとって大切なものなんですが、
果たしてこれからも守り続けていけるのか。
残間 夢とその社長としての責任は、
重ならないものなんですか。
つまり、自分の夢を追うと、
会社がおろそかになっていくのでしょうか?
田川 そこを重なるように持って行きたいんですよ!

会社を存続させていくには、
自分たちのやっていることへの需要の変化というのを
見極めないといけないですよね。
変化に合わせて、先に手を打っていかないと。

実はいま日本の百貨店では、
展覧会などの催事が減ってきています。
不況や、百貨店自体の変化、統合なども
影響があるかもしれません。
要するに作品を発表する場が、
日本で減ってきているという実感があるんですね。

それなら日本以外に機軸を作っておけば、
日本がダメでもリスクを軽減できますよね。
そうこうするうちに、
日本の市場がまた元気になるかもしれません。
それで今ならと、ハワイに会社を構えることにしました。
残間 なるほど、見事に夢と重なりましたね。
でも、なぜハワイだったんですか? 
一気にニューヨークとか、
ロサンゼルスとはいかなかったのは?
田川 意外と僕は石橋を叩いて渡るほうなんですよ(笑)。
自分が見通せるところでないと
ゲームはできないと思ったんですね。
するとアジアかハワイだろうと。
カリフォルニアも考えましたが、
ちょっと僕にはまだゲーム盤が大き過ぎます。

僕自身がハワイが大好きなのもありますが、
ハワイは日本人だけで年間75万人の
リピーターがいると言われています。
向こうに家をもっている人も少なくないですし、
日系の社会があります。この人たちがいることは、
ビジネスをする上でとても心強いですね。

でも、まずは地元のロコの方に
親しまれることを目指して、その後から
日本の方がついてきてくれればと思っています。
残間 ハワイでは何を? 刺繍教室ですか。
田川 教室の需要は十分にあるので、
やりたいと思っていますが、
まずはショップですね。お店を出します。

それから、僕の作品や商品を向こうに
持って行くだけでなく、ハワイのカルチャーを
日本に紹介したいと思ってるんですよ。
ハワイには、まだ日本人の知らない素晴しいものが、
いっぱいありますから。特に生き物や植物。
アメリカで絶滅危惧種になっている生物の、
かなりの部分がハワイに生息するものなんです。
その保護や環境問題でも、力になりたいと思っています。
残間 ビーチや買い物だけでない大人のハワイですね。
私たちの世代って、新婚旅行で行ってる人がけっこういて、
ハワイが好きな人が多いんですよね。
ショップのオープンはいつごろになりそうですか?
田川 来年にはオープンさせたいと思っています。
まず5年は頑張るつもりです。
ゆくゆくは日本とハワイの活動の比率を、
半々ぐらいにするのが理想ですね。
(続きます)