willbe コラム

暑いからといって、あまり冷たいものを飲み過ぎるのはいけませんよ。とわかっていても猛暑から帰還したときの冷たい一杯の清涼はかかせないものです。

更新日付:2009/07/28
Vol.16
食材を訪ねて産地へのフィールドワークをここ10年の間専らとしてきた。
特に岩手県の食材の魅力にすっかりはまりこんで足繁く通っているうちに、気がつけば県下の豊かな食の担い手の人たちと緊密な連携をもつようになってきている。
肉食の文化が日本でもかなり成熟してきたということなのだろう、最近では赤身牛肉の和牛、「短角牛」のおいしさが注目されているが、この短角牛も岩手が原産。お肉やさんの店頭では白い牛肉は売れても、赤い牛肉は売りずらいと、10年前にはなかなか評価されず消え入りそうだった短角牛を、担い手の方々と私もいっしょになって押し上げてきた。
短角牛振興の意味合いで、イタリアスローフード運動の岩手支部は短角牛産地岩泉町に設立。そういえば町長さんを案内して、築地のスローフード事務局に開設手続きにでかけたこともあった。甲斐あって現在岩手短角牛は、スローフード「味の箱船」という「世界レベルで守るべき食システム」との位置づけに認定されている。
ひとつひとつの食材の未来に、精いっぱいのイマジネーションをはたらかせて、ちょっとだけ自分のできるおせっかいをする。短角牛の振興をはじめとしてこんなパタンを続けるうちに、食べることを大事に考える人の輪に私も繋がり、その輪が大きく増殖していく勢いになってきたのを感じる。
先日、岩手花巻から素敵なお誘いを受けた。花巻温泉から程近い国有林の中に拓けた、ほろほろ鳥の農場で有名な石黒農場。この敷地内の囲炉裏のある古民家で美食会をするのでぜひ来てください、という。花巻を故郷とする宮澤賢二の童話の世界のイメージが明滅する。
カラっと青い夏空の昼下がり、国有林の林道を石黒農場に向かった。なつかしい馴染みのお顔ばかりがみえてくる。よりすぐりの岩手食材づくしの本日の料理は、前沢牛博物館の隣りにあって北上川の眺望もみごとなフレンチレストランの伊藤勝康シェフによるもの。彼とは今月はじめに三陸漁港「大船渡」の早朝の水揚げをみてきたばかり。県下の食材の勘どころを彼からずいぶん学ばせてもらってきた。雫石わさび田主の横澤昭博さんは大きなわさびの一株を抱えて登場。夏本番大船渡メジ鮪はフレンチソースで、前菜ほろほろ鳥炙りと雫石わさびソースの相性は軽やか。メインのほろほろ鳥料理は巨大な南部鉄器のオーバル型を二段に重ねて囲炉裏の炭火を仕込んでロースト。ドイツ・ニュルンベルグBIO見本市で評判の鉄器デザイナー広瀬慎さんの南部鉄器エコロジー鍋の出番だ。カシスデザートはフランスのものとおもっていたら、昔から庭木に1本カシスが植わっているという岩手一関。カシスに最近ぞっこんの塚本圭さんは福祉作業所の所長さん。近々カシスフレーバーシュガーをデビューさせるらしい。
そして、こういった方々を繋ぎ、励まし、黒子となって力を注いでくれるキーパーソンたちがいる。「○○でいわてを元気に!」○○には自分の得意なことをいれてください。と県下フットワークよくコーデイネーション役に撤しておられるのは県職員の阿部博さんだ。
こうした人たちとかこむ宴が愉快でないはずがない。夜がふけるのも忘れて話込むのは、お互い相手の仕事への提言。お互いの仕事を大事に思って、相手の仕事に対して心底プロデューサーになっているのだ。
花巻の国有林の中の古民家の囲炉裏端で、村が生まれ、町が起こり、産業となってたちのぼっていくような、これは童話なのか、夏の夜の夢なのか、笑顔で別れた後に残るこの信頼感だけは現実の手応えだった。
特に岩手県の食材の魅力にすっかりはまりこんで足繁く通っているうちに、気がつけば県下の豊かな食の担い手の人たちと緊密な連携をもつようになってきている。
肉食の文化が日本でもかなり成熟してきたということなのだろう、最近では赤身牛肉の和牛、「短角牛」のおいしさが注目されているが、この短角牛も岩手が原産。お肉やさんの店頭では白い牛肉は売れても、赤い牛肉は売りずらいと、10年前にはなかなか評価されず消え入りそうだった短角牛を、担い手の方々と私もいっしょになって押し上げてきた。
短角牛振興の意味合いで、イタリアスローフード運動の岩手支部は短角牛産地岩泉町に設立。そういえば町長さんを案内して、築地のスローフード事務局に開設手続きにでかけたこともあった。甲斐あって現在岩手短角牛は、スローフード「味の箱船」という「世界レベルで守るべき食システム」との位置づけに認定されている。
ひとつひとつの食材の未来に、精いっぱいのイマジネーションをはたらかせて、ちょっとだけ自分のできるおせっかいをする。短角牛の振興をはじめとしてこんなパタンを続けるうちに、食べることを大事に考える人の輪に私も繋がり、その輪が大きく増殖していく勢いになってきたのを感じる。
先日、岩手花巻から素敵なお誘いを受けた。花巻温泉から程近い国有林の中に拓けた、ほろほろ鳥の農場で有名な石黒農場。この敷地内の囲炉裏のある古民家で美食会をするのでぜひ来てください、という。花巻を故郷とする宮澤賢二の童話の世界のイメージが明滅する。
カラっと青い夏空の昼下がり、国有林の林道を石黒農場に向かった。なつかしい馴染みのお顔ばかりがみえてくる。よりすぐりの岩手食材づくしの本日の料理は、前沢牛博物館の隣りにあって北上川の眺望もみごとなフレンチレストランの伊藤勝康シェフによるもの。彼とは今月はじめに三陸漁港「大船渡」の早朝の水揚げをみてきたばかり。県下の食材の勘どころを彼からずいぶん学ばせてもらってきた。雫石わさび田主の横澤昭博さんは大きなわさびの一株を抱えて登場。夏本番大船渡メジ鮪はフレンチソースで、前菜ほろほろ鳥炙りと雫石わさびソースの相性は軽やか。メインのほろほろ鳥料理は巨大な南部鉄器のオーバル型を二段に重ねて囲炉裏の炭火を仕込んでロースト。ドイツ・ニュルンベルグBIO見本市で評判の鉄器デザイナー広瀬慎さんの南部鉄器エコロジー鍋の出番だ。カシスデザートはフランスのものとおもっていたら、昔から庭木に1本カシスが植わっているという岩手一関。カシスに最近ぞっこんの塚本圭さんは福祉作業所の所長さん。近々カシスフレーバーシュガーをデビューさせるらしい。
そして、こういった方々を繋ぎ、励まし、黒子となって力を注いでくれるキーパーソンたちがいる。「○○でいわてを元気に!」○○には自分の得意なことをいれてください。と県下フットワークよくコーデイネーション役に撤しておられるのは県職員の阿部博さんだ。
こうした人たちとかこむ宴が愉快でないはずがない。夜がふけるのも忘れて話込むのは、お互い相手の仕事への提言。お互いの仕事を大事に思って、相手の仕事に対して心底プロデューサーになっているのだ。
花巻の国有林の中の古民家の囲炉裏端で、村が生まれ、町が起こり、産業となってたちのぼっていくような、これは童話なのか、夏の夜の夢なのか、笑顔で別れた後に残るこの信頼感だけは現実の手応えだった。
夏ジンジャーエール
暑いからといって、あまり冷たいものを飲み過ぎるのはいけませんよ。とわかっていても猛暑から帰還したときの冷たい一杯の清涼はかかせないものです。
そこで、からだを温めるという定番食材「生姜」を冷たくいただくジンジャーエールで手をうつことにいたしましょう。ジンジャーシロップを作り置きしておいて、冷たいソーダで割るだけです。キリッとした辛みは手作りの醍醐味。夏だけではなく、通年の飲み物としてもおすすめです。ジンジャーシロップに湯を注げば、生姜湯ですから。
新生姜300g
グラニュー糖、またはお好みの甘み200g
水 500cc
生姜は皮をむいて、5mmくらいの厚さにカットします。
砂糖を水で煮溶かしてから生姜を加え、一煮立ちさせます。
あとはゆっくり40分から50分かけてエキスを煮出します。
*甘煮の生姜は、別途パウンドケーキに仕込んだり、菓子素材としても美味。
冬木れい / FUYUKI Rei
料理研究家
1959年栃木県藤岡町生まれ。学習院大学法学部卒。寺院の家に生まれ、幼少時より行事料理、郷土料理に興味を持つ。古典レシピを研究しつつ、現代人の食卓事情に合わせた料理法を研究テーマとしている。現在、料理研究サロン「大きな竃」を主宰するかたわら、薬膳料理の定着にも取り組んでいる。著書に「つくって楽しい、食べておいしい お取り寄せ」(法研)がある。夫は作家の大岡玲。
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