「クラリス」編集長・赤岩州五さんが見つけた日本の宝物〜この土地だから、この人だから〜
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長崎県五島列島へ行ってきました。
五島といえば、思い浮かぶのは隠れキリシタン。
教会がそれぞれの島にいくつもあり、
祈りの島とも呼ばれています。
(例えば「中通島」「若松島」の
上五島町だけでも29の教会が!)
しかし、今回の目的は「五島うどん」。
このうどん、「秋田・稲庭」「讃岐」と並んで、
日本三大うどんに数えられているといいます。
とはいうものの、稲庭、讃岐は超がつくほどの有名うどん。
一方、五島うどんはあまり聞いたことがない。
しかも、その食べ方も「地獄炊き」。
聞き慣れないですよね。
一体、どんなうどんなのか? 
ぜひとも目にし、口にしたいものと、
空路で長崎へ。長崎の港から船に乗り込みました。

波を越えてやって来たのは新上五島町の中通島。
五島列島でもうどんの製造がさかんな島。
上陸後、(せっかくだからと)教会と岬巡りをして、
うどん店「竹酔亭本店」で地獄炊きを注文しました。



中通島の頭ヶ島(かしらがしま)
教会堂(国指定重要文化財)
 
青砂ヶ浦教会堂(国指定重要文化財)。
竹がアーチ状に組まれたコウモリ天井。
島の素材を使って建築された。

運ばれて来たのは大きな鉄鍋とうどんの束。
白く細いうどんです。
たっぷりの湯を沸かし、沸騰したところで
うどんをパラリパラリ。
やがてぐつぐつ湯が煮えたぎり、
鍋の中で、うどんがぐるぐる回転し始めました。
のたうつうどん、一目瞭然、これぞ地獄炊きと納得。

麺が茹で上がるのを待ち(かたさを残さず茹で過ぎず)、
直接箸でとり、アゴダシ(アゴはトビウオの方言)のつゆで、
いただきました。つるっとひと口!
おどろきました。そうめんと見まがうほどの細さ、
その控えめな姿形にこんなコシの強さがあるとは。
細い麺、もっちりした独特のコシ、
そしてのど越しの滑らかさ。するするのどを通っていきます。


豪快な地獄炊き。昔から船での漁師の食事でもあった。
★竹酔亭本店(新上五島町七目郷1396-1  0959-42-0821)


使われている食材は、五島のものがほとんどとか。
まずはうどんには、
海水を蒸発させて作る「五島の塩」が入っています。
島の製塩所で作られた塩を口に含むと、ほのかな旨味。
一般に販売されている食卓塩は、
塩化ナトリウムがほぼ100%ですが、
この天然塩は塩化ナトリウムは約80%で、
他は何種類ものミネラルが含まれています。

美しい海に囲まれた五島は、今も天然塩作りがさかん。



天然ミネラルが豊富な塩


塩アイスクリームも! 矢堅目の駅にて
★矢堅目の塩本舗(新上五島町網上郷684-4
  0959-53-1007

そして椿油。椿は五島のあちこちで自生しており、
椿の実を搾って作る椿油は、五島の特産品。
麺同士がくっつかないように、
この椿油を、麺の表面にうすく塗って延ばすのですが、
これが五島うどんの独特の風味を生んでいるのでしょう。
(椿油を塗らない五島うどんもあり、
こちらのすっきりした味わいも捨て難い)

椿油は五島の特産品
福江島に咲く玉之浦椿
(写真提供・五島市)


うどんを干す。ますだ製麺所にて
食事をした「竹酔亭本店」は、ここの直営店。

忘れてならないのが「五島の焼きアゴ」でとっただし。
アゴはトビウオの方言ですね。
五島沖で漁れたアゴを炭火でむらなく焼き、
さらに天日でじっくり乾かしたアゴだしです。
あっさりとして香ばしく、上品な味わい。
細い麺の五島うどんによく合っていました。



とれたトビウオを炭火で焼き、天日で乾かす。
あっさりしてコクがある。
★はたした(新上五島町小串郷556-1  0959-43-8995)

素朴でありながら繊細な五島うどん。
その味わいは、まるで島の暮らし
そのもののような気がしました。
島ではこんな言い伝えがあるそうです。
「地獄炊きの最後の一本を食べた人には幸せが訪れる」。
シンプルでいいよなあ。




遣唐使船に乗った空海が、
日本最後の見納めの地として立ったという福江島「辞本涯」
五島にうどんを伝えたのは遣唐使という説がある。
中国に最も近い五島は、遣唐使船の帰港地。
うどんの起源である中国の麺食文化が、
まず五島に伝わったのはごく自然だったかも知れない。




●「五島手延うどん」「飛魚だしつゆ」の入手法、問い合わせ
  株式会社 長崎五島うどん
   0120-451-560
  http://www.510udon.com/



●東京では築地の直売所で「五島うどん」を扱っています。
  JF長崎漁連 東京直売所
  東京都中央区築地4-16-2-1
   03-5550-8161(休み 日・祝、市場休市日)






赤岩州五さんが編集長を務める雑誌「女の隠れ家クラリス」


2月号(VOL.10)発売中


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